2D×3Dで飛行恐怖症の鳥の冒険を描いた「FEAR OF FLYING」
世の中には先端恐怖症や、閉所恐怖症などのさまざまな恐怖症を持つ人がいます。そんな数ある恐怖症の中の一つに「飛行機恐怖症」というものがあります。人間であれば不便を強いられますが、空を自由に飛ぶ鳥が、「飛行恐怖症」だったらどうなるのでしょうか。そんな飛べない鳥の物語を、フェルト人形のアニメーションで描いた作品が「FEAR OF FLYING」です。
FEAR OF FLYING on Vimeo
雷雨の中から叫び声とともに青い鳥が落ちてきました。
「うわあああああ~」と恐ろしそうな声が聞こえます。
地面に激突するかと思われましたが......
ハッと気づくとそこは自宅のベッドの上。
「ハァ......」とため息から始まる朝。
朝食を準備しています。
台所にミミズが現れ、お互いに「おはよう」とあいさつを交わします。
そんなのほほんとした雰囲気と思ったら......
ペロリと食べてしまいました。
朝食を済ませるとどこかへおでかけです。
「FEAR OF FLYING」
主人公の家は木のとても高いところに建てられており、入り口で立ち止まって下を眺めています。
飛ぶのではなく、ハシゴを使って下まで降りていきます。
地面を歩いていると、上から白いフンが降ってきました。
「ごめんね。下をよく見ていなかったの。地面で一体何をしてるの?みんな数時間したら南へ行くところよ」と女の子らしい鳥。
「あの、その、落とし物をしたというか......。君も、その、南へ行くつもりなの?」と、もごもごとうまく話せない主人公。
ゴーグルをかけた鳥も現れました。少し迷惑そうに、「この人は誰?」と女の子の鳥に尋ねます。すると「あなたの名前を聞いてなかったわ」と主人公に話しかけます。
「ドゥーガルだよ」と自己紹介をします。
「ドゥーガル。私の名前はルーシィで、彼はディックっていうの」とルーシィ。
「やあ。ディック」と不機嫌そうなディックにも声をかけますが......
ディックはドゥーガルへのあいさつもそこそこに飛び去ってしまいます。
「じゃあね、ドゥーガル。また向こうで会うかもしれないわね」とルーシィ。
二人は飛び去ってしまい、ドゥーガルは落ちたフンを見つめながらさみしげな感じ。
雑貨屋にやってきたドゥーガル。
冬に備えるための食べ物が必要なリスと違い、南に渡るはずの鳥が姿を現したので、訝しげな表情をドゥーガルに向けます。
気にせずにすれ違います。
店員のネズミ。横には「冬はすぐそこ」とボードが出ています。
メモを読み上げて大量の食料品を注文するドゥーガル。
リスを越える買いもの量に、注文品を並べてくれるネズミも段々訝しげな表情に変化。
必要なものはそろいましたが、カウンターの端のあるものに気づきます。
小ぶりなポットツリー。
買い物を済ませて自宅に帰りました。
購入したポットツリーを窓辺に飾り、「パーフェクト」と一言。
すると、窓の外に鳥の群れが飛んでいます。空を飛べる鳥たちは冬を前に南へと飛んでいく様子。
切ない雰囲気で鳥の群れを見つめて「その内うまくいくさ」と独り言をこぼします。
茶色い木の周りを木枯らしが吹き、雨が降ると、木の葉は全て散ってしまいました。
またまた雷雨。
天高くから落下していくドゥーガル。
飛行恐怖症によって悪夢が繰り返されます。
先日買ったナッツをポリポリ。
暗い部屋でテレビのチャンネルを回しているドゥーガル。
すると、「Sunny South」という番組で、ビーチにたくさんの仲間たちがいる様子が映し出されます。
目を見開いてテレビを見るドゥーガルは、仲間の中にいたルーシィを見つけました。
魅力的なピンクカラーがルーシィのバックで輝き始め、ドゥーガルにはもうルーシィしか見えません。
ビーチで再会するルーシィとドゥーガル。
羽と羽を取り合いながら雲の上まで浮き上がり、見つめ合う二羽。
しかし、ドゥーガルの羽ばたきはむなしく空を切り、真っ逆さまに地面へと落ちていきます。
気がつくと目の前にはルーシィも誰もいません。
砂嵐を映すテレビだけ。
孤独な様子でポットツリーを眺めます。
季節は冬へと移り変わりました。
ドゥーガルの家も雪に包まれて真っ白に。
毛布にくるまってもガタガタと体が震え、かなり厳しい寒さであることがわかります。
その時、隣から「バンバン!」と物音が聞こえ......
扉が開き、何者かが侵入した様子。
なんと、冬に入る前に雑貨屋ですれ違ったリスが家捜しをしています。
おびえるドゥーガルは身を潜めてやり過ごします。
リスが帰った後、室内はひどく荒らされて雪が入り込んでいます。
ため込んだ食料は全て奪われてしまいました。もうここにはいられないと考え始めますが......
「でもどうやって?僕は飛べる。必ず飛べる。ここにいても凍るだけだけど......」と決心がつかないドゥーガル。
しかし、倒されたポットツリーを見て「彼の二の舞になってはいけない」と南に向かうことを決意。
決心を固めたドゥーガルは身支度を済ませ、走り出しました。
しかし途中でおじけづいてしまい……
止まりきれずに頭から地面に落下。
それでもめげずにコンパスで方角を確かめ、Sunny Southを目指します
もちろん飛べないので、徒歩で向かいます。
吹雪が吹きつける山を登りますが、体力が尽きてしまい、そのまま倒れ込んでしまうドゥーガル。
吹雪の中で倒れこんでいると、上空を何かが通り過ぎ「は?」とあっけにとられるドゥーガル。
体力を振り絞り到達した山の頂上からドゥーガルが見たものとは……。飛べない鳥だったドゥーガルははたして南へと向かえるのでしょうか?ムービーのラストではドゥーガルのその後が意外な展開で明かされています。
このムービーは2Dと3Dの技術が組み合わされており、2D演出と背景・音楽の効果によって、フェルト人形のキャラクターたちの喜怒哀楽が多様に表現されています。子供も大人も楽しめるこの作品は、アメリカを中心に世界各地でアニメーションの賞を獲得しており、続編についても考案中とのことです。
FEAR OF FLYING- HOMEPAGE
http://www.fearofflyingfilm.com/
ウェブサイトではどのようにして作品が作られたのかがわかる写真や、ムービーが公開されています。
高所を表現する撮影は、家を横に倒して撮っていました。
雑貨屋のシーン。
季節を表していた木に葉をつけているところ。
ぬいぐるみは以下のように動かしていました。
A glimpse into the MAKING OF "FEAR OF FLYING" on Vimeo
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