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Appleのデザインの秘密と根本原理が豊富な写真やデータではっきりわかる「Apple Design 1997-2011 日本語版」


スティーブ・ジョブズが復帰してから亡くなるまでのApple製品のデザインの秘密と変遷が豊富な写真入りで解説されているのが「Apple Design 1997-2011 日本語版」です。Appleにおいてデザインはどのような位置づけにあり、製品のデザインはどのような進化を遂げてきたのかということが、Apple製品の写真集とともにたっぷり収録されており、Apple好きはもちろんのこと、インダストリアルデザインに興味がある人や、とにかく美しいデザインを見たい人も非常に楽しめる内容となっています。

こちらがApple Design 1997-2011。


開いてみて1ページ目には「Welcome」というメッセージ。


目次


目次は以下のようになっています。

◆Design Makes the Difference


◆Stylectrical: On Electro-Design that Makes History

◆Mac Evolution

◆Think Different !

◆戦略的デザイン:新しきは古きをどう凌駕していくか

◆Appleのデザインに潜む嘘

◆クロンベルクがクパチーノに出会うとき

◆フルメタルジャケット

◆"All New Design" - まったく新しいデザイン

◆Gardens of Earthly Delights - 快楽の園

◆カリフォルニアでのデザイン

Cinema DisplayやiMacなど、Apple製品がどのように進化してきたのかが一目でわかる「Mac Evolution」


iMacは1998年に発売。


キャンディーカラーで多色展開されたものから、プラスチックやアルミニウムなど、使用素材も変化していきました。


Cinema Displayも1998年にはじめて発売、Power Macシリーズはその翌年の1999年から始まり、2003年発売モデルが最後となりました。


現在のCinema Displayは非常にシンプルなデザイン。


マウスやキーボードも凝ったデザインから段々シンプルになっていきます。


iPhoneやiPod、iPadの進化も見られます。


iPod nano、iPod shuffleなど


ページの隅っこにはイヤホンのデザインが少しずつ変化する様子。


iBook、PowerBook、MacBook、AirMacなど。


丸みを帯びた形から、シュッとしたデザインになっていくiBookとPowerBook。


iBookやPowerBookが2003年に終了したあと、2006年にMacBookが発売。


デバイスの薄さもどんどん紙に近づいています。


Appleのインダストリアルデザイングループ担当上級副社長であるジョナサン・アイブは、1997年にスティーブ・ジョブズからインダストリアルデザイン担当シニアバイスプレジデントに任命されました。この人事によってAppleにとってデザインが単なる売り上げを伸ばすためのスタイリングではなく、「経営上の問題」であると位置づけられ、ビジネス上の戦略的意志決定を行う幹部と同等な立場で協力していくことが可能に。


「Appleのデザインに潜む嘘」では、インダストリアルデザイナーであるディーター・ラムスが提唱する「グッドデザインの10の原則(Ten Principles for Good Design)」を逆説的に利用してAppleの現実を検証しています。


以下がディーター・ラムスの「グッドデザインの10の原則」です。

◆01:グッドデザインは革新的である

◆02:グッドデザインは製品を機能的にする

◆03:グッドデザインは美しい

◆04:グッドデザインは製品を分かりやすくする

◆05:グッドデザインはでしゃばらない

◆06:グッドデザインは誠実である

◆07:グッドデザインは恒久的である

◆08:グッドデザインは細部まで一貫している

◆09:グッドデザインは環境にやさしい

◆10:グッドデザインはできる限りデザインない

「クロンベルクがクパチーノに出会うとき」では電気シェーバーなどを生産するブラウンとAppleのデザインの関係について記述されます。


iPhoneの「計算機とクロック」は70年代に発売されたブラウンの「ET 33 Control」という電卓のデザインに非常に似ており、インターネット上の一部では盗作であることを示そうとする人もいました。ジョナサン・アイブはブラウンのデザイナーであったディーター・ラムスを自分のお手本と言っています。


また、近年ではSteelcase社のThink(「ゆりかごからゆりかごまで」の概念に基づき環境に優しい素材が使われたオフィスチェア)のように視覚的なデザインだけでなく素材の選択も重要なポイントとなっていきています。ジョナサン・アイブもデザインプロセスの中で特に素材を意識するデザイナーの1人であり、Apple製品にアルミニウム素材を用いたことは彼の業績の中でも先駆的かつ重要な点です。


「カリフォルニアのデザイン」ではAppleをはじめ、FacebookやGoogle、Yahoo!、YouTube、Adobeなどの拠点がいかに密集しているかをあらわした図が登場。地理的な環境もデザインに影響を与える要素の一つになっていることが示されます。


ジョナサン・アイブがデザインした歴代のApple製品も見ることが可能です。以下は20周年記念Macである「Twentieth Anniversary Macintosh」


「Studio Display」


本の後半では歴代のApple製品のデザインがどのようになっているかをカタログのように美しく並べた写真集状態になっており、以下のムービーを見ればそのことがよく分かります。

後期Appleのデザインの秘密がギッシリつまった「Apple Design 1997-2011」 - YouTube


なお、本は全320ページというかなりのボリューム。


右端はかじられたようなデザインになっています。


かなり大きなサイズのハードカバー本なので、おうちでじっくり見るのをオススメします。


なお、Amazonでの価格は4410円となっています。

Amazon.co.jp: Apple Design 1997-2011 日本語版 -ハードカバー- Sabine Schulze(ザビーネ・シュルツェ), Ina Gratz(イナ・グレーツ), 平谷 早苗, 株式会社Bスプラウト 本

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in レビュー,   動画, Posted by darkhorse_log

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