サイエンス

恋をしているとき、人は脳の一部をシャットダウンしている

By Toni Blay

恋をすると人は愚かになるというのは古今東西共通の事実ですが、実際に恋に落ちているとき人の脳では何が起こっているのか?ということで、MRIを使って恋愛中の人の脳を調べてみたところ、一部が活性化している一方で、判断や恐れに関わる部分はシャットダウンされていることがわかりました。

Crazy in love: What happens in your brain when you really do have chemistry | Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/health/article-2230969/Crazy-love-What-happens-brain-really-chemistry.html


大脳皮質の前頭葉は人間が判断(行動選択)を行う重要な部分です。MRIスキャンの結果、人は夢中になっている相手の写真を見せられた時、この部分が非活性化し、疑いを抱いたり批判をしたりする機能が全てストップすることがわかりました。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者Semir Zekiさんによれば、これは「より高度な生物学上の目的」のために起こっている可能性があるとのこと。もし判断能力が停止すれば、通常最も起こりにくいペアが生まれ、生殖が行われるというわけです。しかし、恋に落ちていても人は日常生活の中での行動選択を誤るわけではないため、軽率な行動を取ったとしても友人たちは「君はおかしくなっているよ」と説得しづらい、という事態が生じることも。

またスキャンの結果、恐れを感じる部分やその他のネガティブな感情をコントロールする部分も「スイッチオフ」になっていることがわかりました。恋愛中、物事が悪い方に進むことを恐れずに幸福を感じるのはこのためです。下図が、恋愛中に脳のどの部分が非活性化しているかを示したもので、1が恐れをコントロールする部分、2がネガティブな感情をコントロールする部分、3が判断をコントロールする部分、4が共感をコントロールする部分です。


さらに、恋をしている時、脳ではドーパミンのレベルが非常に高くなっています。ドーパミンは喜びや痛みなどの経験のカギとなるもので、願望や渇望、多幸感といった感情の高まりと関わっており、恋愛を諦めることを非常に困難にします。このような恋愛中のドーパミンはコカインのようなドラッグの効果とよく似ているとのこと。ドーパミンレベルの上昇の副作用として、食欲や気分に作用するセロトニンをはじめとする他の化学物質は減少します。セロトニンレベルの減少の仕方は強迫性障害の人々に見られるものとよく似ており、恋愛中、至福を感じる一方で不安に駆られて神経が過敏になるのはこのためだと考えられます。

愛に関係する化学物質のうち、最もなじみがあるのはドーパミンでしょう。好きな人を見たときに動悸が激しくなり、のどが乾き、手に汗を握ってしまうのはこのホルモンが原因です。アドレナリンは恐怖を感じている時にも同様に放出されるため、互いにほんの少ししか引かれ合っていない2人でも、一緒に怖い思いをすると激しい恋に落ちることもある(吊り橋理論)とのこと。禁断の恋が魅力的なのもこのためです。

By Christopher.F Photography

研究者たちは脳における恋愛の作用を理解しようと現在も研究中とのことです。いずれは「なぜ恋愛すると度を過ぎた行動を起こしてしまう人がいるのか?」ということも明らかになると考えられています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
恋愛感情は熟年になっても衰えないことが判明、恋愛初期のドキドキ感は冷めない - GIGAZINE

家庭内に異性が多い人ほど、恋愛にガツガツしない傾向があることが明らかに - GIGAZINE

男が恋に落ちるのに必要な時間は8.2秒 - GIGAZINE

「意識していなかった人からの告白でもOKする女性が過半数」、恋愛と告白に関する貴重なアンケートデータ公開 - GIGAZINE

ひと夏の恋の相手は体形を、長期的なパートナーは顔を重視して選ぶ男性が多い - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.