メモ

なぜ「退屈な大人」になるのは悪いことではないのか?

by Miss Treats House of Delights

大人は安定を好み、やかましい音楽やワクワクするようなイベントを避け、子どもたちに人生についてよく考えなさいと言い、それに対し子どもたちは「あんな大人には絶対になるまい……」と堅く心を決めるもの、いつの間にかありし日の大人のようになってしまいます。しかし、生物学的に見ると、それは必ずしも悲観すべきこととは言えないようです。

Why we are going to be like our parents, and why that’s ok | Daniel F Lopes
http://danielflopes.com/why-we-are-going-to-be-like-our-parents-and-why-thats-ok/

いわゆる「退屈な大人」を生み出す生物学上の犯人は脳のうち前頭皮質と扁桃体の2つの部分。扁桃体は脳のうち、非常にプリミティブなパートで、感情や飢え、性欲といった情動反応の処理と記憶において主要な役割を持つもの。一方で前頭皮質は感情を抑制したり、喜びを先に延ばしたり、将来的な計画を立てるといった実行機能を有します。実行機能とは現在の行動によってどのような未来の結果が生じるかを決定する能力であり、いわば理性を担うパート。前頭前皮質の機能が低下すると抑止力が鈍るのもこのためです。

脳の発展は扁桃体から始まり前頭皮質へと続いていきます。扁桃体は脳の中で最も早く円熟する部分であり、前頭皮質はそれに遅れる形で15~25年をかけて形作られ、最終的に成熟脳と呼ばれるものが完成します。その間、人の脳の中では戦いが生じているのです。

by djclear904

脳が発展する過程において、少年少女たちは激しい感情の上がり下がりを経験します。喜びや報酬を切望し、不確かな結果には関心を示しません。新しい経験や友人を求め、世界は真っ白なキャンバスで、自分たちをとどめるものは何もなく、大きな結果をもたらすものにひかれます。この期間に人はさまざまな選択や行動をし、スキルを得ますが、この時点において私たちの脳はまだ形作られていません。

そして30代に近づくにつれて、扁桃体と世界の間でフィルターの役割を担う前頭前皮質は成熟していき、理性的な面に重きを置くようになります。それによって、成熟した前頭前皮質を持つ人は大きな決断を恐れ、大きな冒険よりも安定を好む大人が生まれるというわけです。

by Professionals WA - NT

では、どうしてこれが必ずしも悪いこととは言えないのでしょうか?

それは、成熟脳はあなたが若いうちに生み出した成果に関心を払うからです。もしあなたが情熱的な魂を使って20代後半までにビジネスを始めたり、愛を追い求めたり、何ヶ月も異文化を体験したりといったようなリスキーな行動を決断したなら、30代でそれを形にすることができるということ。ビジネスはさらに大きく、愛は家庭に、異文化だった土地は居心地のいい場所にすることが可能になります。

by Amanda Mabel

つまり、20代であなたが行うべきことは情熱を燃やし、リスキーな決断を行い、愛を追い掛け、正しいスキルと習慣を身につけて脳を成熟させることなのです。30代を迎えるまでに空虚な時間を過ごさないことが大切です。

また一方で、この脳の仕組みは人が30代に足を踏み入れた時に損をするような原因を作らないようにもします。

そして一度成熟を迎えてしまっても、私たちの脳は十分な柔軟性を持ちます。実際に年を重ねても世界や新たな物事に対する好奇心を失わない人も存在し、だからこそ私たちは多かれ少なかれそうありたいと願ってしまうのです。

by Caroline

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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