取材

アニメ宣伝マンが小説家デビュー、まるでラノベのような現実を見せつけられた「高橋祐馬氏同人誌即売会」


徳島で行われているイベント「マチ★アソビ vol.7」の中で、10月8日と10日には人気シナリオライター・脚本家の虚淵玄さんによるサイン会が実施されました。昨今のアニメの中でも特に大きなヒット作品である「魔法少女まどか☆マギカ」のシリーズ構成と全話の脚本を担当し、さらには10月から放送の始まった期待作「Fate/Zero」の原作者でもあるということで、サイン会の整理券は「順番を把握するためのチケット」ではなく「サインをもらえるかどうかの抽選券」ともなり、10日のサイン会の時には定員100名に対して250名近くがチケットを求めて集まったそうです。

そんな中、虚淵さんに負けず約100人の行列をほぼ告知無しで作り出した男が現れました。「アニメ作品の宣伝を担当していた男が、ひょんなことから小説を書いて即売会で販売することに。しかし、二足のわらじにしては宣伝の仕事は忙しく、原稿が進まないままに即売会の日が近づいてくる……」と、そのあらすじはまるでライトノベルかドラマのようなのですが、これはわずか半年の間に起こった現実のこと。しかも、これが「まどか」の前に非常に高い人気を集めていた作品である「化物語」の宣伝を担当していた人物のもとに起こったというのが面白いところ。不思議な因果を感じます。

ufotable cafeの階段下に設けられたテーブル。同人誌即売会というと多くのサークルが出展して行われるものを想像してしまいますが、今回はたった1名による同人誌即売会です。


階段を駆け下りてきたこの人が本日の主役、高橋祐馬さん(以降、ゆまさんと表記)。本業はアニプレックスの宣伝担当で、現在放送中の作品では「アイドルマスター」を担当、過去には「空の境界」「アイドルマスター」「ひだまりスケッチ」「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」なども手がけました。


そもそもゆまさんが小説を書くに至った理由は5月に行われたマチ★アソビ vol.6にさかのぼります。このとき、業界関係者が結成したバンドのゲリラライブが公園で行われたのですが、ゆまさんはこのバンドに対してアンコールを要求。実際にアンコールが行われましたが、その代わりに何かをやらなければならないことになり、小説を書くことになった、というわけ。イベントごとでは司会者としてゲストを盛り立てる役に徹していた人物が主役になったという、ちょっとドラマティックな話です。

会場には業界関係者からのコメントが寄せられていましたが、この即売会当日の朝9時まで執筆を続けていたため、みんな内容を読まずにコメントしています。中には製本作業を手伝っていたという人まで……。


この本が作られているということは9月に開催された第4回マチ★アソビ前夜祭にてすでに明かされていましたが、実際にイベントの開催日時が発表されたのはこの前夜に開催されたエンターテイメント業界関係者トークイベントでのこと。他の会場ではまた別のイベントが実施されているという環境の中、特に有名な小説家というわけではないにも関わらずしっかりと行列が形成されていました。


自著「ユウキノアニメ」表紙にどんどんサインを入れていくゆまさん。1部100円という手頃な価格設定も購入を踏み切らせる理由だったのかもしれません。


サインはかなり手慣れた様子でした。


途中、このあとに同じくサイン会が控えている虚淵玄さんが様子を覗きに来て、うろたえるゆまさんの姿。


「マチ★アソビ、怖ぇ!」とゆまさん。


行列が少し短くなってもまた後ろに次の人が並ぶという繰り返しで、まったく購入者の列が途切れません。


そうこうしている間に、在庫の箱は底が見えてきました。


朝まで執筆したのちコピー機で印刷して製本したものなので、正確に何部あるのかはわからなかったようですが、もう机の上にあるものが全てという状態。


完売が確定して新規の行列はストップとなりましたが、それでも何人か買いに来た人の姿が見られました。


いよいよ最後の1部。


最後のサインを書き上げました。


ゆまさんを中心として記念撮影。内容は二部構成となっているため、次のマチ★アソビで後編の発売が行われるのかもしれません。


何かと突発的なイベントが発生するマチ★アソビですが、その極みがこのイベントであるといっても過言ではありません。ファンからは「挿絵は誰がつけるんですか?」「アニメ化はあるんですか?」との声もありましたが、マチ★アソビでのふとした業界関係者同士のトークから生み出された企画が形になるということは「魔法少女まどか☆マギカ ポータブル」が実証しているため、今は夢物語に見えるこの「ユウキノアニメ」アニメ化も、ひょっとすると……ということはないこともないかもしれませんね。

2012年10月追記:
2012年10月に行われたマチ★アソビ vol.9の中で、ユウキノアニメ続編の即売会が開催されました。表紙をユーフォーテーブルの石塚みゆきさんが担当し、約30分で完売しました。

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in 取材, Posted by logc_nt

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