取材

ひまわりで放射性物質を吸い上げる仕組みやレールガンも研究中、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の「構造機能試験棟」を見学してきました


映画「はやぶさ/HAYABUSA」の製作記者会見に伴い、JAXA(宇宙航空研究開発機構)内部の「飛翔体環境試験棟」を見学してきた様子をお伝えしましたが、今度はロケット各部や衛星構体の強度などを測定する「構造機能試験棟」の見学です。

詳細は以下から。JAXA|相模原キャンパス

JAXAの相模原キャンパスには今回見学した「飛翔体環境試験棟」と「構造機能試験棟」のほかに、ロケットなどの高速飛行に関する空気力学の研究や実験を行う「風洞実験棟」と、宇宙理工学実験の実験室である「特殊実験棟」があります。特殊実験棟では、放射性物質をひまわりで吸い上げる研究開発や、レールガンでクレーターを作る試みなども行われているということで、非常に気になります。


今回は特殊実験棟ではなく、構造機能試験棟を見学。M-Vロケットの開発もここで進められました。


構造機能試験棟の中には、さまざまな探査機やロケットのパーツが並べられていました。


M-Vロケットの先端部。こちらには表面の素材に一部コルクが使用されています。コルクが高熱になると熱反応を起こして炭化をする際にガスが出て、一種の粘膜のようになって機体を守ってくれるそうです。はやぶさの再突入カプセルも、材質はコルクではなくCFRP(繊維強化プラスチック)ですが、同様に炭化による防御機能を持っているとのこと。


右側の円筒はロケットの3段目で、頂上部には軌道投入用推進装置であるキックモーターがつき、さらにその上にはやぶさなどの探査機が乗る構造です。材質にはカーボンが入っており、軽くて破裂しにくくなっています。


こちらはロケットの1段目で、材質は高張力鋼


これは液体燃料ロケット。中央のタンクに液体水素を入れます。


上のタンクには液体酸素を入れて、通常の燃料電池と同じ仕組みで動きます。


エンジンは下部に接続されますが、今は取り外されています。


これが取り付けられる予定のエンジン。


さらに外殻が取り付けられ、ロケットの形になります。このロケットは、フルパワーで大気圏を脱出する通常のロケットとは異なり、一度飛び上がると上空で力を緩めて一度ホバリングし、さらに力を緩めて下降、最後にロケットを噴射して着陸するように作られています。


通常のロケットは噴射を調整する仕組みを持っていませんが、このロケットはいわゆるアクセルペダルのような機構を持っています。このような仕組みを持たせることにより、従来は使い捨てだった宇宙機を、何度も繰り返し使用できるようにしていきたいとのこと。


このロケットの再利用プロセスの精度が上がってきたら、ロケットの上に座席をつけることも視野に入れて研究を進めているそうです。


飛翔体環境試験棟を見学した時の話では、2020年に水星に探査機が到着する予定とのことでしたが、数十年後にはレールガンが実用化されたり、個人でも安価に大気圏離脱を経験できたりするようになっているのでしょうか。

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in 取材,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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