冬の健康にまつわる10のウワサとその真偽
冬は寒い天候のために風邪やインフルエンザにかかりやすく、お正月やクリスマスなどといったイベントも多いため、他の季節と比較して特に健康に気を遣う季節と言えるかもしれません。そのためか、他の季節に比べても、冬には「風邪をひかないように○○するのは避けるべき」であるとか、逆に「○○は体にいい」といった通説が多く存在します。
冬の健康についてのウワサについて専門家に質問し、その真偽を確かめた内容が挙げられています。冬だからといってつい家にこもりがちになってしまう生活を改めようという気持ちになるような、意外な事実がいくつもあります。
「寒いところにずっといると風邪をひく」「冬はたくさん寝る必要がある」など、何となく信じられている事柄の真偽は以下から。Health Tips - Healthy Living Tips at WomansDay.com
1:屋外に長く出ていると風邪をひく
「ずっと外にいると風邪ひくわよ」と言われた経験がある人は少なくなく、そしてそれを事実だと思っている人もまた多いと思います。しかし、耳咽頭科医のD.J.Verret氏はこれは迷信だと主張しています。
屋外に出ることは、実は風邪をひかないようにするための最良の方法の1つと言えます。なぜなら周囲の気温が低いのは、風邪をひく危険性と関係がなく、逆に屋内で他者と至近距離での接触を持った時の方が、ウイルスやバクテリアが狭い空間にまん延しているので感染しやすいのだそうです。
2:冬は一番うつになりやすい季節
灰色の陰気な空に、イベントまみれの日々。そして苦しさすら感じる寒さ。これらの要素を考えると、冬の間気分が落ち込んでしまうと考えることは自然に思えます。しかし、健康の専門家は、それは単なる迷信だと言います。「俗説に反して、冬はほかの季節と比べても、うつ病を発症する人の数が多いということはありません」と、ハーバード大学のJohn Sharp教授は語ります。
しかし、実際に冬になるとどうにも暗い気持ちになりがちだという人もいるかもしれません。それに対して、Sharp教授は「一時的なストレスによって『休日うつ』が引き起こされていることもありえます」とコメントしてます。ただし、この症状の呼び名は医学界で認められているものではありません。
うつ病の発症件数が他の季節と比べて増加はしていないのは確かですが、「季節性情動障害(SAD)」という脳機能障害を冬の間に経験する人もいるかもしれません。この病気の症状は不眠症状や物事に集中しにくくなるなど、うつ病に似ている徴候を持っていますが、冬の間に発症しやすい傾向があります。
こういった徴候に苦しんでいたり、単に無気力な状態から抜け出したいと思っている場合、Sharp教授は光線療法を試してみてもいいかもしれないと勧めています。
3:チキンスープを飲むと風邪が治る
米国では風邪の時にチキンスープを飲ませるのが定番で、母親や祖母が子どもや孫に、チキンスープは魔法の食べ物だと教え込むこともままあるようです。しかし、これはただのおまじないに過ぎないのでしょうか?
「いいえ、チキンスープには風邪を治す効果があります」とSharp教授は答えています。「チキンスープは身体に良い効果がいくつかあることが科学的に分かっていて、食べることで白血球を集めて免疫系によい効果があるとも言われています」
他の種類のスープや温かい飲み物に同様の免疫系への利点があるかどうかは明らかにされていませんが、Sharp教授は熱い液体は鼻腔や喉の痛み・不快感を取り除き、風邪やインフルエンザの症状を和らげることができるとコメントしています。
4:体温は頭から放出されるので、帽子をかぶった方がいい
冬の寒いさなか、特に雪が積もっているような時に子どもが外で遊ぶ時、帽子をかぶっていない子がいると何だか寒そうに見えて心配になるかもしれません。しかし、帽子をかぶっていないと、体調に影響を及ぼすほど体温が放出されてしまうものなのでしょうか?
Sharp教授によると、それは真実ではなく、ほとんど迷信に近いといいます。外気にさらされているところはすべて体温を放出しているので、服を着ていない部分、たとえば手袋をつけていない手や顔などからも体温は放出されているます。そのため、帽子をかぶり忘れただけで体調を崩す原因になるとは考えにくいとのこと。要するに、子どもに短パンと毛糸の帽子を着せるより、帽子はなくとも長ズボンをはかせた方が、体温が放出されにくくなるということです。
帽子は極寒の地では大切な役割を果たしますが、ちょっと犬の散歩に行くくらいなら忘れても大きな影響はありません。それよりも、体をすっぽりと覆う温かいコートを着る方がずっと効果的です。
5:冬は外で運動しない方がいい
寒い中ジョギングシューズを履いてランニングに出かけるのはなかなか気が進まないもの。まして、「寒い中で運動することは健康に悪い」というのが本当であれば、わざわざ外に走りに行く人はいないのではないでしょうか。しかし、「きちんとウォーミングアップをすれば、冬に屋外で運動するのはとても健康にいいことです」とSharp博士は言っています。
寒い時にいきなり激しい運動をすると心臓の血管に負荷がかかってしまうため、体が外気になれるまで歩き、慣れたら走り出すという風に、段階的に運動するといいようです。心臓に病を抱えている人は運動を始める前に医師に相談する必要がありますが、そうでない場合は段階的に活動することを意識していれば、運動は季節に関係なく健康にいいそうです。
6:冬は他の季節より多くの睡眠を必要とする
冬になると特に、温かい布団の中でずっと眠っていたいと感じたことは誰しもあると思います。しかし、冬になると襲ってくる睡眠欲は、長い間布団の中でうとうとしていた方が健康のためにいいことを示しているわけではありません。
「快適なベッドの上でゴロゴロしていたいと思うのはごく自然な欲求ではありますが、冬だからといってより多く眠らなくてはいけないということではありません」とSharp教授は説明しています。
冬の間は日照時間が短く、太陽の光に当たる時間が短いので、眠さを感じる原因となっています。早く寝るのは対策として悪くありませんが、あまりにも早い時間に寝るのは考え物。長く寝過ぎると日中に目まいがする程の眠気が襲ってくることもあるからです。
7:冬は日焼け止めを塗る必要がない
冬は曇りがちなので、つい日焼け止めをさぼって「晴れた日だけつければいいや」と思っている人もいるかもしれませんが、そういった対処の仕方は間違っていると、皮膚科医のDebra Jaliman氏は指摘します。
紫外線は春夏秋冬いつ何時も降り注いでいるので、SPF30程度の日焼け止めをつけておいた方がいいとのこと。また、紫外線にはUVAとUVBの2種類があるので、その両方を防ぐものをつけるのがベストだそうです。
8:めったな事をしない限り凍傷にならない
凍傷というと、冬山に挑戦する登山家や、スノースポーツを熱心に楽しむ人がなるものだというイメージがあるかもしれません。しかし、そんなイメージとは裏腹に、意外と簡単になってしまうものだと、自身も凍傷を体験したJaliman医師は語ります。
手足のような末端の皮膚は冷たくなりやすく、また湿気やすくもあるので、感覚がマヒした後に水疱(すいほう)ができてしまいやすいそうです。極端に寒く、また湿潤な状態にたった30分身を置いただけでも凍傷になる可能性は十分あります。
Jaliman医師は凍傷の症状について、「まず患部が熱を持ったようになってだんだん感覚がなくなり、その後途端に冷たくなったような感覚に陥ります。皮膚表面は徐々に黒く変色し、その後水疱が生じます。強い痛みを感じることもあり、さらに症状が悪化すると神経にダメージを受けて指やつま先といった末端部分が壊死(えし)する可能性もあります」と説明します。
「極端に低い温度でなければ凍傷は起こらないだろう」という油断は禁物です。たとえ気温が0度程度であっても凍傷は起こりえます。
9:乾燥肌は単にわずらわしいだけで無害なもの
乾燥した空気にさらされた手足の皮膚はかゆみを帯びたりかさついたりして、見た目にも痛々しいものとなりがちです。しかし、こういった肌の乾燥はただ面倒で不快なだけのものではなく、感染症を広める一因ともなります。
「肌を保湿しておくことは非常に重要です」とJaliman医師は語ります。皮膚が乾燥すると表面にごく小さな割れ目ができ、そこから伝染病の原因となる病原体が入り込むことがありえます。こういった感染経路を断つために、手のように乾燥しやすい部分は毎日必ず肌の保湿を行うことが大切です。
10:冬の間はアレルギーに悩まされることはない
「花粉アレルギーを患っている人は、冬には花粉がほとんど飛散しないので調子がいいと思われます。しかし、ペットの毛やふけ、あるいはダニのようなハウスダストに敏感に反応する場合、アレルギー症状は悪化するかもしれません」と、Verret医師はアレルギー物質によっては冬の方がつらい症状に見舞われる可能性があることを示します。
季節柄、くしゃみや鼻水に悩まされるとつい「風邪か?」と疑いがちですが、なかなか治らない場合はアレルギーの線を疑ってみてもいいかもしれません。
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