緊急災害地の最前線基地、水や電気を自給可能な未来の仮設住宅「EDV-01」
災害が起こった時にはとにかく一刻も早く現地に向かうことが要求されますが、被災地はライフラインが断絶されていることが想定されるため、最低限の活動を保証する装備も併せて必要とされます。
そんな厳しい緊急時に即活用できるよう、どんな手段でも輸送でき、しかも外部からの物資支援なしで約1ヶ月活動できるだけの水や電気を確保可能な設備を搭載した緊急災害救援ユニットのプロトタイプが、大和リースの「EDV-01」です。
仮設住宅というキーワードからイメージするプレハブ住宅の外観とはかなり異なり、パンチングメタルの外壁が未来を感じさせます。また現地で2階建てに変形し、2倍のスペースを確保することも可能です。
「EDV-01」が搭載している装備の詳細や、洋画風でやたら格好いいムービーは以下から。EDV-01 誕生!!〔新商品〕緊急災害地の最前線基地として「EDV-01」スペシャルサイト-by 大和リース株式会社
これが「EDV-01」のイメージ図。ちなみに「EDV」は「Emergency Disaster Vehicle(緊急災害輸送手段)」の頭文字を取ったもので、01は開発番号となっています。
大和リースは、創業51年の歴史のなかで国内外の災害時に応急仮設住宅を数多く供給してきた実績があり、阪神淡路大震災では1万4千772戸に及ぶ数の仮設住宅を建設したそうです。このような経験を元に、緊急時に最前線で活用できる前線基地として「EDV-01」が開発されました。
搬送時はこのような状態で運ばれます。コンテナISO規格を採用しているため、陸・海・空のあらゆる輸送手段が利用可能。
設置場所に到着してからリモコンを操作するとコンテナの外壁が上昇し、約260秒で2階建てモードに変形。現地で2倍の活動スペースを確保することができます。
外壁のパンチングメタルは飾りではなく、被災地で必要な情報を表示する機能も果たします。
2階建てになった状態の内部イメージ。洗面スペース、ワークスペース、2段ベッドなど、必要なものは一通り揃っています。
屋上と壁面に合計2kWの太陽光発電パネルを搭載していて、平均的な戸建て住宅と同等の発電量を確保できるとのこと。
太陽光発電システムで電力が不足した場合に補助として機能する燃料電池。水の電気分解とは逆の化学反応を用い、水素と空気中の酸素で電気を発生させます。
太陽光発電システム、ならびに燃料電池で発生させた電気はリチウムイオンバッテリーに蓄えておきます。
蓄えた電気を使って調理を行えるIHキッチン。
空気中の水蒸気を集め、水を作り出す無給水製水器。1日最大20リットルの飲み水を確保できます。
飲み水とは別に800リットルの水が入っているタンクを搭載しているので、長期滞在中でもシャワーを浴びられます。災害地でも清潔さを保てて、気持ちの上でも安心につながるのではないでしょうか。
トイレは水を使わないバイオトイレを採用。微生物に排せつ物を分解させるのでいやなにおいが発生しません。これだけの設備を搭載した「EDV-01」の気になる値段ですが、プロトタイプで販売予定がないため、価格は公表されていないとのことでした。
2階部分には2段ベッドが配置されています。
ベッドの逆サイドにはワークスペースが。ここで必要な作業を行うことができます。
通信衛星アンテナを装備しているので、衛星電話やデータ通信が可能となっています。
「EDV-01」特設ページで、「EDV-01」の開発経緯や機能がまとめられ、かつ洋画風のやたら格好いいストーリーが挿入されるスペシャルムービーが見られます。「EDV-01」が輸送されたり2階建てに変形するのを見ていると、実際に活用されている様子がイメージしやすく、実用化される日も近いのではと感じてしまいます。
スペシャルムービーの全編は下のリンクから見ることができます。
スペシャルムービー~全編|EDV-01[緊急災害救援ユニット]|大和リース株式会社
「EDV-01」の実物は奈良県奈良市にある大和ハウス総合技術研究所に設置されていて、半年間展示公開されます(見学は事前に要予約)。
大和ハウス総合研究所で実物を見学してきた際の記事は下記リンクから見ることができます。
災害時の救助拠点となる「究極のプレハブ」、自力で変形も可能な「EDV-01」を実際に見てきました~外観編~ - GIGAZINE
災害時の救助拠点となる「究極のプレハブ」、自力で変形も可能な「EDV-01」を実際に見てきました~内部編~ - GIGAZINE
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