取材

災害時の救助拠点となる「究極のプレハブ」、自力で変形も可能な「EDV-01」を実際に見てきました~外観編~


災害地にそのまま輸送するだけで電気や水といったライフラインを約1ヶ月間自給できる、災害救助の拠点となる仮設住宅のコンセプトモデル「EDV-01」の実物が展示されている奈良県・大和ハウス総合技術研究所に行って、その実物をあますところなく見てきました。

CGで見ただけでもその高機能さは伝わりますが、実際に形になったものを見ていると、災害救助の場面で活躍する姿を想像しやすく、かなり見応えがあります。搬送用の状態から2階建てに自動で変形する様子や電力供給の要となるソーラーパネルなど、外から見た部分だけでも見どころは盛りだくさんだったため、まずは外観を中心にその機能をレポートします。

EDV-01 誕生!!〔新商品〕緊急災害地の最前線基地として「EDV-01」スペシャルサイト-by 大和リース株式会社
http://www.daiwalease.co.jp/EDV-01.html

大和ハウス総合技術研究所に到着。


敷地内には「Dミュージアム」や「実験住宅」など、大和ハウスグループの技術を見ることができる施設があります。マップには載っていませんが、ここに半年間特別展示されている「EDV-01」を見に来たというわけです。


「実験住宅」の隣の空きスペースに「EDV-01」は鎮座していました。これは輸送されてきた状態で、ISO規格の20フィートコンテナサイズにすべての機能が収められているので、貨物用のコンテナと同様に輸送可能です。


アルミ製の外壁には、ばっちりロゴが印字されています。


側面もアルミのパンチングメタルで囲われていて、すっきりした雰囲気。


大和リースのロゴマークがさりげなくあしらわれています。


裏側に回ってみました。


これは見学用の足場。トントンと上がっていくと……


本体上部に搭載されている太陽光パネルが見えます。太陽光発電では10kwの電力を発生させることができるとのこと。


ひとしきり輸送モードを見終わったので、2階建ての居住モードに変形させてもらいます。このリモコンのボタンを押すだけで油圧ポンプシステムが作動し、コンテナの外壁が上昇して2階建ての住居に変形します。


ゆっくりとコンテナ外壁が上がって行き、2階建ての建物になっていきます。

EDV-01が二階建てに変形するところを完全公開 - YouTube


輸送モードの時に見えていた部分が真上に移動し、居住可能な2階建てモードに自動で変形が完了しました。


輸送時の安全を考えて、外壁のカドにはバンパーが取りつけられています。デザインを手がけた建築家の吉村靖孝氏が出した最初の案ではバンパーは取りつけられていなかったのですが、輸送時の安全性を考慮した結果取りつけることにしたのだそうです。


外壁のパンチングメタルにゴムボールをはめこむと、災害現場で必要な表示を自由に表現することができます。


横から見てみると、入れ子構造になっているのがよく分かります。


輸送モードから2階建て本体側面についているタッチパネルで、昇降時の細かい設定もできるようです。


見学用に側面はガラス張りになっていて、昇降に使われている機構も観察することが可能。


中央の鉄の柱の中に見えているチェーンのようなもので引っ張る形で力を加え、2階部分を上に持ち上げる構造になっています。


自立するために本体4スミから伸びてくる足。本来は地面に踏ん張って自立できるのですが、展示の都合上、台を下にかませて浮かせた状態になっています。


輸送中は2階の部分の内部にある穴にこのロックピンを刺して固定し、安定して格納できるようにしているとのこと。


上面だけでなく、1階部分の側面にもソーラーパネルが設置されています。逆サイドにはパネルは設置されていないのですが、それはあくまで展示する際に内部の機構を外から見やすくするための配慮で、機能を考えれば両側に配置することがよりベターなのだとか。


ソーラーパネルの設置されたガラス扉を開けると、太陽光発電システムや水素ガスを使った燃料電池による発電で発生させた電気を蓄電しておくリチウムイオンバッテリーがありました。


バッテリーに付属のタッチパネルで、発電の状況を確認することができます。「PV入力電力」というのが、太陽光発電システムによる発電量で、「FC入力電力」が予備の燃料電池による発電量。この時は太陽光発電システムのみがオンになっていました。


画面をタッチして切り替えると、電池の充電パーセンテージも見ることができます。取材当日は天気もよかったため、太陽光発電システムのみの稼働で95パーセント充電できていました。冬の短い日照時間でも効率よく発電できているようです。


室内で電気を消費することがあれば「インバーター出力」の値が上昇するのですが、変形したてで誰も中にいないので0kwとなっています。


扉の中にはリチウムイオン電池が所狭しと格納されていました。


ぐるりと裏側に回っていきます。裏側の1階部分は展示することを想定してガラス張りにしてあるのだそうです。


太陽光発電が使えない夜間や悪天候時など、電力が不足すると思われる状況下でも発電を可能とするために、もう1つ発電が可能な機器が設置されています。


これは燃料電池。


圧縮した水素を格納しているタンク。


タンクの扉を開けるとこうなっています。「EDV-01」には大人2名が約1ヶ月間物資供給なしで生活できるという特徴があるのですが、この「1ヶ月」という期間は水素タンクの中に入っている水素の量と、生活用水の貯水タンクに入っている水の量によって算出された期間なのだとか。


燃料電池が空気中の酸素とタンク内の水素を反応させて、発電します。水素を使った発電方法以外にも家庭用給湯器に使われている仕組みと同じガスや石油を使うという選択肢もあったのですが、その場合は排出熱が多く、大人2名では使い切れないほど大量のお湯を作って熱を消費しないといけないため、被災地での生活にはそぐわないと判断し、この発電方法を採用するに至ったそうです。


トイレもスケスケですが、これはもちろん他の場所と同様、壁面部分にガラスをはめこんで見学しやすくしているから。実用化されるとしたらここは外壁と同じアルミなどの別素材に置き換えられるとのことです。


それではいよいよ内部に潜入していきます。コンパクトにまとめられている機能や、「EDV-01」に値段をつけるとしたらおおよそいくらになるのかということも聞いてきたので、それは内部を見ていく際にお伝えします。


・続き
災害時の救助拠点となる「究極のプレハブ」、自力で変形も可能な「EDV-01」を実際に見てきました~内部編~ - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
緊急災害地の最前線基地、水や電気を自給可能な未来の仮設住宅「EDV-01」 - GIGAZINE

あの「阪神・淡路大震災」で本当は一体何が起きていたのか、その真実がよくわかるムービー集 - GIGAZINE

マグニチュード7.0の大地震に襲われたハイチ、生と死の様子を伝える写真いろいろ - GIGAZINE

緊急地震速報をパソコンに表示する「The Last 10-Second」で訓練してみた - GIGAZINE

自分の家が大地震にあった場合の被害などをチェックできる「あなたの街の地震危険度MAP」 - GIGAZINE

in 取材, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.