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ノイタミナ2011年新作のスタッフ座談会、ノイタミナだからできたこと、ノイタミナじゃなければできたこと


ノイタミナ新作ラインナップ発表会が行われ、その様子をその1その2と2回に渡って記事にしましたが、最後は第2部として行われた座談会の様子です。

「フラクタル」から東浩紀さんと花澤香菜さん、「放浪息子」からあおきえい監督、「C」から中村健治監督と橋本敬史さん、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」からは長井龍雪監督と田中将賀さんが参加。ここに特別ゲストとして「ノイタミナ」枠の山本幸治プロデューサーが加わり、とてもUstreamで配信されているとは思えないような濃いトークを行いました。

詳細は以下から。
さきほどまで発表会の行われていたスペースの中央に長机が置かれて、座談会が始まりました。


司会の吉田尚記アナウンサーから出されたお題は「ノイタミナ枠について思うこと」。誰から話を振るのか困った結果、最初のターゲットは花澤香菜さんに。


花澤:
ノイタミナですか……憧れのところですね。

吉田:
憧れの場所。それは、東京大学に入るぐらいかっこいいことですか?

花澤:
そうですよ、私ずっとノイタミナ枠見てましたから。

吉田:
何を見てました?

花澤:
ハチクロです。

吉田:
長井さん、ハチクロですって。

花澤:
毎週楽しみでした。「海月姫」をやったとき、ふだんはアニメを見ていない友達からも「見たよ」って言われて嬉しかったです。

吉田:
そうか、大学だとアニメを見る人も見ない人もいるんだね。


花澤:
うちのじいちゃんも見てますから。

吉田:
(海月姫は)作品としては、かなり濃い目なネタをわかっていないとって気がしますが。

花澤:
いやいや、結構みんな楽しめる作品だと思いますよ。

吉田:
おじいちゃんは「Angel Beats!」とかは見てなかったんですか?(花澤さんが「天使」役で出演)

花澤:
見てなかったかなあ……。

吉田:
失礼ながら、あの世に近い人にあの世の話を見せるというのは…

花澤:
なんてこというんだ!(笑)

吉田:
東さんも「Angel Beats!」は……

東:
「Angel Beats!」見てますよ。

吉田:
ちなみに、僕ももちろん見てますよ。

花澤:
「Angel Beats!」、ノイタミナと関係ないですよね。

吉田:
今日は何を話してもいいって言われているので。

花澤:
そうなんですか、じゃあ私も。「とらドラ!」好きです。

吉田:
ノイタミナって、アニメを見る側の人からしても、違うことをしているなって感じがありますよね。

東:
ぼくは外の人間なので「ノイタミナならこういう事ができるんだな」って感じがします。


あおき:
「放浪息子」って、実は最初はノイタミナでやるというのは決定していなかったんですよ。別の枠でやる予定だったんですけれども「普通のアニメ枠でやってもこれはプロジェクトとしてうまくいかないんではないか、しっかりした枠でやらないとダメなんじゃないか」という話をして、アニプレックスの清水さんから山本(幸治)さんに話を振ってもらって、ね。

山本:
清水さんからは「ノイタミナでないとやれない企画だ」って言われたので、はいと答えたんですよ。

あおき:
そのとき本当にノイタミナでやれるとは思っていなくて、やれればいいなと言っていたんですけれど良かったです。僕もノイタミナの作品は見ていましたから。


吉田:
ちなみに、どなたの作品を見ていたのか聞いてみたいんですが。

あおき:
中村健治監督の作品を見ていて、ぜひ会いたいなと思っていたんです。

中村:
僕もあおき監督には会いたくて、今日初めてお会いしたんですが第一声でいきなり「会いたかったんです」と言ってしまいました。今もまだちょっとドキドキしています。

吉田:
今までの何年かの状況から見て、インパクトある映像の1つは中村監督の「空中ブランコ」だったと思います。

花澤:
「空中ブランコ」、面白かったぁ。

中村:
ありがとうございます。

吉田:
「空中ブランコ」では、半分実写みたいなとても実験的な映像だったわけですが、ああいうものをテレビに出すのは怖くなったりしませんか?

長井:
あんな大胆な映像構成は僕ではちょっとできなかったかも知れないです。

吉田:
これ、本気か褒め殺しかわからないですね(笑)

長井:
本気ですよ

中村:
ありがとうございます、やべえなあ。

山本:
中村さんが何を考えているのかわからないんですよ。シナリオの時に言っていたことはだんだんわかってくるんですけど、オンエアまでわからないんですよ。

吉田:
映像を見てゴーサインという感じですか。

山本:
もう放映ギリギリですからね。「あの花。」との映像の動き方の違いを見て欲しいです。

中村:
これ、Ustreamで流れていても山本さんが普段と変わらないんですよね、やばい感じがそのまま出ている気がします。

吉田:
映像制作をしているチームからすると、チームを背負うということにハードルはないんでしょうか、監督?

中村:
ハードルはあります。でも、やっちゃったものは(放送で)流れちゃうので……。細かい調整とか小さいものであれば戻りますけれど、戻るか戻らないかというタイミングで、自分のストライクゾーンに入っていればそのままです。ユーザーにはどう響くかさっぱりわからないので。それでオンエアで「ぎゃー!」とか感想を書かれたら「ああ、ごめんなさいっ」て思います。基本的には、僕は作品に対して最善を尽くそうと思っていますね。


吉田:
橋本さんが、そんなの初めて聞いたよみたいな顔を。

橋本:
聞いたことはないですけど、だんだん話が深く入っていって、その形が変わってきたりするので、それについていくのが大変です。テレビでは絵が潰れちゃうかもしれないけれど、やってみようみたいなことを飲みながら話をしたり。

中村:
さすがに3、4日たってから「あれはないな」と思って、すぐ橋本さんに電話して「あれはなしで」って。

橋本:
電話はないよ。メールもなくて、気付いたらCG班が別の作業をしているから「ああ、そうなのか」っていうことがあります。

中村:
あ、そうか。

橋本:
似顔絵をもっと劣化させて背景と一体化したような不思議なものとか、新聞の犯人の顔写真を拡大コピーするとか、そういうものをやったら面白いんじゃないのと言う話をしていたりして、何となく準備はしていたんです。そうしたら、CG班からチェックに来てくれと頼まれて、見にいってみたら全然別のものだったり。監督はそれで選んでいいものを作っていたりします。とてもこれ以上は言えないこともいっぱいあったりしますね。


吉田:
これ、気になっているのは長井チームもだと思いますが……。田中さん?

長井:
そういうことはないです


吉田:
監督、すみませんが監督は被疑者ですから。

田中:
この人は決めたら早いですよ。打ち合わせも何もかも。


吉田:
「とらドラ!」を始め、すでに他の枠で大ヒット作品を作っておられるわけですが、そういう作品を作っていらっしゃる方がノイタミナに乗り込んでくるわけですよね。あおきさんの作品は「ノイタミナじゃないとできない」みたいなのがありましたが、そういうのはありますか?山本さんはきっと悪いことを言われたいと思っているのではないかと。

長井:
ノイタミナじゃなかったら12、3本できるのに、かな。

あおき:
確かに11本は少ないですね。あと2つあれば……というのはあります。

山本:
よく言われます。

橋本:
「空中ブランコ」はあと1話あったらやばかったね。

吉田:
花澤さんは、11話だとやっぱり短いと思いますか?

花澤:
そうですね、やっぱり普通だと12話ぐらいあるところ、11話しかないというのは短いですね。できるものならずーっとやりたいです。


吉田:
「フラクタル」の場合、(花澤さん演じるネッサは)どういう扱いかわかんないですよね。

東:
僕はネッサをすごく目立つキャラとして作りましたが、ヤマカンさんがどう考えているかはわかりません。

吉田:
ここのチームにもちょっと亀裂が……!?

東:
脚本を読む限りではちゃんと目立ってますよ

吉田:
ノイタミナだとこれは必ずやろうと決めているルールとか、そういうのはありますか?

山本:
ないですね。どちらかというとルールは決めずに広く取ろうということで考えています。本質的なことをなるべくやってほしいというのはありますね。

吉田:
「屍鬼」に関してはそれなりの描写がないとあの作品にはならないし、ということですね。さすがにこれはノイタミナでも無理だったというのはありますか?

山本:
中村さんに「Twitter連動でアニメをやりたい」と言われて、それはどうやるんだろう?というのがありました。

中村:
これは、何か絡めてやりませんかみたいなことだったと思います。そうしたら山本さんは「えーっ」とか言いながら、気付いたらUstreamでノイタミナの新作発表会をやっていて、この人は対応が早いなと思いました。

山本:
今回、お金の話をやるというときも「ホリエモンに会えますか?」って試してくるんですよ。

中村:
そんなこと言いました?


吉田:
今日、Twitterでのタイムラインは「ダダ漏れ」のそらのさんにオペレートしてもらっています。

そらの:
Twitterでいろいろな質問が来ています。「山本(寛)監督はなぜ帰ってしまったのですか?」とかありますが、これを聞いてみたいと思います。「『C』で、ロゴの後ろに見えているのは東京証券取引所?」

中村:
それっぽいですね。

吉田:
もっとズバッという質問でもいいですよ。

そらの:
「あのはな。」の「あなるちゃん」というニックネームはどうにかならなかったんですか?という質問もあります。

長井:
あれは岡田麿里さんの一番のこだわりで、あれを外すと物語にならないと言われたので残っています。放送コードはアレかもしれませんが、口にしていると、だんだんとマヒしてきます。

吉田:
じゃあ「あなるちゃん」は放送で流れるんですか?

田中:
ぼくらも口に出すのが恥ずかしいので勘弁してもらえないかと言ったんですが、そこは曲げてくれなかったですね。

吉田:
喫茶店とかで打ち合わせをしていると、隣の人が「あなる」の話をずっとしていたりするわけですよね。……とりあえず、花澤さん、すみません。

花澤:
本当だよーっ!(笑)

そらの:
あと、みなさんに都条例について一言二言いただけたらなと思います。

吉田:
山本さん、僕としては山本さん一人に答えてもらうか、ジャンケンで負けた人が答えるかで考えているんですが。

山本:
いやいや、ここは東さんに……。

東:
僕はTwitterで散々ツイートしていますんで、Twitterの方で頑張りますよ。

吉田:
そもそも、この業界で規制賛成派はいないですよね……ということで、次に行きましょうか。

山本:
ノイタミナについて、東さんがどう思っているかちょっと聞いてみたいです。


東:
萌えがないアニメ枠ですよね、普通に見たら。そんな感じじゃないですか。あまりに一般的な答えですみませんが…。今回やることになった「フラクタル」、タイトルはかなり前から山本監督の意向で決まっていました。それでライバルは「東のエデン」だなと思っていました。現在は違っていますけれど。

吉田:
かなり時間が押していますが、会場からどなたか質問を受け付けたいと思います。

質問:
俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の中でアニメ制作者と原作者が揉める話がありましたが、そういのはあるんですか?

吉田:
これは……黒猫さん、どうでしょうか。

花澤:
やめてください!(笑)(注:「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」で花澤さんは黒猫というキャラクターを演じている)

吉田:
では、やはりここは山本さんに。

山本:
立場の違いが表面化することはあります。

吉田:
したあとはどうするんですか?

山本:
監督に相談するとか、上司に相談するとかですね。

吉田:
空中ブランコであれだけやっている世界でも、上司に相談することがあるんですね、それでどうなるんですか。相談したあとは……

山本:
上司にパスするとか。

吉田:
なんだか、最後はみんなで傷つくような展開になってしまいました。時間いっぱいとなりましたので、これでノイタミナ新作ラインナップ発表会は終了とさせていただきます。みなさん、ありがとうございました。

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in アニメ, Posted by logc_nt

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