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世界をめちゃくちゃにした、書かれるべきでなかったかもしれない10冊の本


書物は知識の宝庫であり、いつの時代も人類にインスピレーションを与え続けてきたものですが、時には間違った情報や偏った物の見方を流布したり、戦争や大量殺害、恐怖政治の大義名分に使われることもあります。

影響力のある本というのはすべて、人類に対して良い影響と悪い影響の両面を併せ持つものかもしれませんが、歴史上で強い影響力を持った本の中で、著者の意図するしないにかかわらず読者をあざむくことになった本、多くの人の死につながった本など、悪影響の方が大きかったと言わざるを得ない「世界に悪をもたらした本」を10冊挙げたリストを紹介します。

必ずしも「読むべきでない本のリスト」ではないので、読書好きの人はその本がもたらした結果を念頭に置いて読んでみると興味深いかもしれません。10 Books that Screwed Up The World - Top 10 Lists | Listverse

◆「魔女に与える鉄槌」(1487年、Heinrich KramerJames Sprenger著)

ドミニコ会士で異端審問官であったハインリヒ・クラマーとヤーコプ・シュプレンガーによって書かれた魔女に関する論文は、ヨーロッパ全土で最大4万人が処刑されたと言われる血塗られた魔女狩りの時代を開くきっかけとなり、1487年から1520年にかけ13版、1574年から1669年にかけてさらに16版が出版され、異端審問官たちのハンドブックとして愛読されました。


◆「君主論」(1532年、ニッコロ・マキャヴェッリ著)

「慈悲深く、人を裏切らず、人道的で、正直で、信心深い。こういった資質は君主にとって必要不可欠ではないが、これらの資質を持っているように見えることは、必要不可欠である。これらの資質は実際に持つと君主にとって邪魔にしかならないが、見かけ上これらの資質を持っておくことは実に有用である」と説くマキャヴェッリの政治書はナポレオンムッソリーニヒトラーなどさまざまな独裁者にインスピレーションを与え続け、中でもスターリンは毎晩枕元に置いて愛読していたほどとのことで、後世の多くの人々の死につながった本と言えます。


◆「共産党宣言」(1848年、カール・マルクスフリードリヒ・エンゲルス著)

真にマルクス主義を実現した共同体が存在したことがあるか否か、この本に満ちた悪意が意図的な悪意であるか否かを横に置いておいても、土地の私有の廃止、移民の財産の没収、重税、相続の廃止などの必要性を主張したこの本は、実に多くの残虐な行いを触発した本であり、人類に害をもたらした本を挙げる際には欠かすことのできない本と言えます。


◆「シオン賢者の議定書」(1903年ごろ、作者不明)

1897年8月29日から31日にかけてスイスのバーゼルで開かれた第一回シオニスト会議の席上で発表された「シオン二十四人の長老」による決議文であるという体裁をとったこの本は、ロシア帝国内務省警察部警備局によってねつ造された「ユダヤ人による世界征服計画」の書で、1903年にロシアで出版されて以来イギリスやアメリカ、ドイツなどさまざまな国、言語で出版され、反ユダヤ主義者やユダヤ陰謀論者の論拠となり、ナチスにも影響をあたえ、結果的にホロコーストを引き起こしたとも言えます。


「すべての愛国心あるアメリカ人は読むべきである」とうたわれた、1934年にシカゴで出版された版の表紙。


◆「民主主義と教育」(1916年、ジョン・デューイ著)

「知識を詰め込むより考えることを教えるべき」という聞こえの良い教育論はアメリカの公立学校教育に多大な影響を与え、結果として事実に基づく知識に欠ける「学のない」若い世代が生まれたとして、世の中への悪影響の大きかった本に挙げられています。1916年に書かれたのならかなり先進的だったのではという気がしますが、日本の「ゆとり世代」みたいなものなのでしょうか?ニュージーランドなどではいまでもデューイの教育論に基づくカリキュラムが組まれているそうです。


◆「The Pivot of Civilization」(1922年・マーガレット・サンガー著)

現代的避妊法や家族計画を広めたマーガレット・サンガーは優生学と民族純化の提唱者で、そもそも避妊の知識や避妊具を広めようとしたのは、「精神的・身体的に障害のある者の繁殖を防ぐ」という優生学的な動機からでした。


◆「我が闘争」(1925年、アドルフ・ヒトラー著)

「ユダヤ人を大量殺害し、フランスやロシアと戦争してドイツ人の住む土地を得よう」というヒトラーの構想が書かれた本は、1925年の出版時にはほとんど無視されていたのですが、1945年の終戦時までにはドイツで1000万部が出版されたと言われています。


◆「Coming of Age in Samoa(サモアの思春期)」(1928年、マーガレット・ミード著)

サモアの少女たちが冗談まじりに大げさに語った性生活を、23歳で学問的・ジェンダー論的な野心に満ちた文化人類学者のミードが大まじめに受け取り「事実」として書いてしまったと言われています。意図的な「ねつ造」ではなかったにせよ、事実と異なる知識を広く流布し読者をあざむいてしまった本であり、書かれた内容が事実誤認であると判明した後も、フェミニストにとって都合のよい研究結果だったため引用されることの多い本のようです。


◆「スポック博士の育児書」(1946年、ベンジャミン・スポック著)

世界中で5000万冊が売れたと言われる大ベストセラーで、多くの母親や父親、教育者や医療従事者に影響を与えたのですが、その「育児の聖書」とも言われた本が「うつぶせ寝」を提唱したため、5万人の乳幼児がこの本のせいで睡眠中に窒息死した(乳幼児突然死症候群)とも言われています。


◆「Darwin's Black Box: The Biochemical Challenge to Evolution(ダーウィンのブラックボックス 生命像への新しい挑戦)」(1996年、マイケル・ベーエ著)

生化学レベルでは進化の結果としては十分説明できないほど複雑な構造が存在すると言う概念を「還元不能な複雑さ(Irreducible complexity)」と呼び、進化への反証であると主張する「インテリジェント・デザイン」論を、あたかも科学であるかのように説くこの本は、キリスト教原理主義者が進化論を否定する論拠となっています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log