9月10日は世界自殺予防デー、意外と知られていない自殺にまつわる数字いろいろ
9月10日はWHO(世界保健機関)が定めた「World Suicide Prevention Day(世界自殺予防デー)」ということで、自殺予防のために意識を高めようと、自殺に関するさまざまなデータや自殺を減らすにはどういった取り組みが必要なのかといった情報が公開されています。
詳細は以下から。WHO | World Suicide Prevention Day
WHO | Suicide prevention (SUPRE)
WHO | How can suicide be prevented?
世界では、年間100万人近くの人々が自殺により亡くなっています。これは40秒間に1人地球上のどこかで誰かが自殺しているという数字です。なお、死には至らなかった自殺未遂はその20倍の件数とのこと。
過去45年間で世界全体の自殺率は60%上昇しています。
これまで世界的に見て、自殺率は高齢の男性で最も高い傾向がありました。これは2000年の世界の男女別・年齢別自殺率のデータ。
しかし、近年では若い世代の自殺が増加傾向にあり、下図のように自殺者のうち5歳~44歳までの人が占める割合と45歳以上が占める割合は、過去50年間で逆転しています。世界的に見ると、現在自殺は15~44歳の人の三大死因のひとつとなっているそうです。
自殺により失われた人々の余生は、Global burden of disease(世界疾病負担:傷病の始まりや、それによって引き起こされる疾患と、その疾患の継続年数、あるいは不慮の死で死亡した人の失われた余生の年数といった数値を統計処理したもの)の1.8%を占めると言われています。
ヨーロッパや北米では精神疾患(特にうつ病とアルコール依存症)が自殺の主な危険因子となっていますが、アジアでは衝動性が重大な因子となっているとのこと。自殺は心理的・社会的・生物学的・文化的そして環境的因子が絡んだ、複雑な行為・現象なのです。
世界の自殺率マップ。日本は10万人あたり13人を超える「赤」ゾーンに入っています。ヨーロッパではイギリスとイタリアの自殺率が低く、南米ではガイアナ・スリナム・ウルグアイで自殺率が高いようです。
では、自殺を予防するにはどういった手段をとるべきなのでしょうか?WHOでは「すべての自殺を防ぐことはできないものの、自殺の大部分は防ぐことが可能なものです」とした上で、以下のようなコミュニティーレベル、国家レベルでの方策を挙げています。
■自殺の道具(農薬、薬物、銃など)に簡単にアクセスできないようにする。
■精神疾患(特にうつ病、アルコール依存症、統合失調症)患者の治療に取り組む。
■自殺未遂を起こした人の経過を追跡調査する。
■メディアは責任のある報道を行う。
■医療従事者を訓練する。
個人レベルでは、自殺の多くは明白な前兆・警告のあとに起きることを知っておき、自殺予告や自傷といった警告はすべて真剣に受け止めるべきとされています。また、自殺者の多くは死ぬことについて相反する両面的な感情を持っていて、絶対に死ぬと完全に心に決めた状態ではない、つまり説得の余地がある状態とのことです。
自殺の多くは、一度精神的に沈み込んだ人の「回復期」に、絶望的な考えを破壊的な行動に移すだけの「意思」と「エネルギー」を回復したころに起きます。しかし、一度自殺傾向のあった人が、その後ずっとリスクにあるというわけではないとのこと。自殺願望が再び訪れることはありますがそれは必ずしも永続的なものではなく、一度は自殺を試みたもののその後二度と自殺願望を持ったことがないという人もいるそうです。
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