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途上国の飛行機は先進国の13倍落ちやすい


「飛行機事故は自動車事故より少ないが、飛行機が落ちると絶対に助からない」あるいは「金属の塊が空を飛ぶなんて信用できない」といった理由で絶対に飛行機に乗らない主義を貫いているという人も存在しますが、大抵の人は、旅客機に乗るたびに「今日死ぬかもしれない」と意識することはないのではないでしょうか。

しかし、わずかな確率ながら、旅客機に乗る際にはその飛行機が事故に遭って死んでしまう可能性は確かにあるわけで、その確率は、開発途上国の旅客機では先進国の13倍も高いことが明らかになりました。

詳細は以下から。Airline passengers in developing countries face 13 times crash risk as US

MIT Sloan School of Managementマサチューセッツ工科大学スローン経営学校)のオペレーションズ・リサーチの教授で航空安全の専門家であるArnold Barnett教授がTransportation Science誌に発表した論文によると、途上国の旅客機に乗る人は先進国で旅客機に乗る場合の13倍、途上国の中で近年経済的な躍進を見せている国でも先進国の7倍という、フライトあたりの死亡リスクに直面しているそうです。

Barnett教授の計算によると、2000~2007年の旅客機(ジェット機とプロペラ機を含む)の1便あたりの死亡リスクは、アメリカや日本、アイルランドなどの先進国では1400万分の1(0.000007%)だったとのこと。これはつまり「1400万回旅客機に乗れば大抵の人は死ぬ」という数字ですが、1日1回旅客機を利用する人でも1400万便に乗るには3万8000年もかかるので、旅客機はかなり安全な乗り物と言っていいようです。


それに対し、途上国の中で経済的に進歩した国(台湾・インド・ブラジルなど)では旅客機1便あたりの死亡リスクは200万分の1(0.00005%)、経済的により遅れをとっている国では80万分の1(0.000125%)だったとのこと。

80万分の1というのは、たとえ飛行機事故で死ぬと心に決めた人が途上国で毎日旅客機に乗っても致命的な事故に遭うまでに平均で2200年ほどかかる、という数字で、先進国で飛行機に乗るよりは13倍も死にやすくなっていますが、それでも旅客機は安全な乗り物と言えそうです。Barnett教授はこの調査結果について、先進国と途上国の旅客機の安全性の差は「とても安全」と「安全」の違いであって、「安全」と「危険」の差ではない、と強調しています。

分析されたデータは2007年までのものですが、ごく最近でもこの傾向は続いていることを示す事例として、2010年に入ってからこれまで旅客機の定期便で起きた死亡事故は8件ですが、その8件すべてが途上国で起きているそうです。

Barnett教授は途上国の中で経済的に進歩した国々では平均寿命も一人当たり国民所得も先進国と並びつつあるのに、なぜ旅客機の安全性はもっと先進国に近い数字となっていないのか疑問に思ったそうですが、「権力に対しての服従や個人主義といった価値観の文脈では、経済的に進歩した途上国は先進国よりもほかの途上国とはるかに近い水準にある」と示唆する論文を引用したうえで、「経済成長著しい途上国での飛行機の安全性が、いまだ先進国に遅れをとっているのは、経済的変化に文化的変化が追いついていないことで説明できるかもしれない」と述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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