「亡霊汽車」を見に行ったアマチュアゴーストハンターの男性、本物の列車にひかれ死亡

ノースカロライナ州Statesvilleで119年前、1891年8月27日午前3時ごろに起きた列車事故では、約30名の乗客が亡くなったと言われています。

「事故の起きた場所で、毎年その同じ日の同じ時刻になると、汽笛の音や人々の悲鳴が聞こえる」という「亡霊汽車」の伝説を確かめようと、地元の超常現象愛好家たちが深夜の線路に集まったところ、本物の汽車がやってきてしまい、29歳の男性1名が亡くなる事故が起きたそうです。

詳細は以下から。'Ghost train' hunter killed by train in North Carolina - CNN.com

1891年8月27日午前3時ごろ、Statesville近郊の鉄道橋で旅客列車が脱線し、7両が転落、約30名の乗客が亡くなるという事故が起きました。この場所で毎年8月27日には車輪のきしむ音や車両が転落する音、乗客の叫び声などが聞こえ、鉄道会社の制服を着て金時計を手に持った男性の幽霊が現れることもある、という昔からのうわさがあるそうです。

事故から100年の1991年8月27日には、幽霊を一目見ようと150人もの人々がこの場所に集まり、便乗して記念のTシャツなどの土産物を売る人々も出るお祭り騒ぎとなったとのこと。

119周年となる今年は、10名から12名ほどの幽霊愛好家が、列車の音を聞いたりあるいは何かを目撃することができるのでは、と期待して深夜の鉄道橋を訪れました。

しかし、午前3時少し前に、単線で長さ約90メートルの橋の中ほどで「亡霊汽車」を待っていた人々のもとへ現れたのは、本物のノーフォーク・サザン鉄道の列車（機関車3台・貨車1両）でした。カーブを曲がって接近する列車に気付いた人々は必死で約45mを走り、ほとんどは無事逃げ切ることができましたが、2人が逃げ遅れてしまったとのこと。

規則どおり時速35～40マイル（56km/h～64km/h）で走行していた電車の運転士は、人々に気付くと警笛を鳴らし急停止したそうですが、29歳の男性1人は電車にはねられ、この男性ははねられる直前にガールフレンドを助けるために橋から突き飛ばしたそうです。その女性は30～40フィート（9～12m）ほどを転落し、現在病院で治療を受けているとのこと。女性の身元や容体は明かされていません。

今回の事故で死亡したのはシャーロット出身のChristopher Kaiser氏、享年29歳。

Christopherさんの両親は、「思いやりがあり感受性豊かな子だった」と悲嘆にくれています。母親のNancy Kaiserさんによると、Christopherさんは超常現象を調査することを、友人とともに趣味として楽しんでいたとのことで、墓地へ行って墓に話しかけたり記録をとったりしていたそうです。

近郊の超常現象愛好家グループ「CAPS」のメンバーTina McSwainさんは、「現在も使用されている線路なので、わたしたちのグループはあの場所を避けています」と証言しています。

群保安官によると、今回事故現場を訪れていた幽霊愛好家の中には、鉄道会社の私有地である線路に不法侵入していたという後ろめたさから、逃げてしまった人もいるそうですが、目撃者の多くはすでに聴取済みとのこと。今後も捜査は続きますが、今回の件は不幸な事故であって、事件性は低いと見られているそうです。

地元出身の担当保安官のDarren Campbell氏（38歳）は、この「亡霊汽車」についてあらゆるうわさを聞いたことがあるが、実際に幽霊を見たり音を聞いたりしたという人には会ったことがないとのこと。ただし、時おり「電車が来ないのに踏切が降りた」という届け出はあるとのことで、これも「亡霊汽車」に結びつける人もいるようです。

死亡したChristopherさんの両親は、死の直前まで人を助けようとするのはいかにも彼らしい行動で、「わたしたちはいつまでも、Christopherのことをヒーローとして思い出すでしょう」と語っています。