ARと位置情報を組み合わせたサービスへの布石か、KDDIが「セカイカメラ」の頓智・と資本提携
KDDIがAR (Augmented Reality、拡張現実) 技術を利用したアプリケーション「セカイカメラ」を展開する「頓智・(とんちドット)」と資本提携しました。
2003年からGPSを利用した「EZナビウォーク」サービスを開始し、他社に先駆けて位置情報を利用したサービスに注力してきたKDDIですが、位置情報とAR技術を活用することで、今までよりも大きく踏み込んだサービスを手がける可能性も考えられます。
詳細は以下から。
KDDIと頓智・の資本提携について | 2010年 | KDDI株式会社
このリリースによると、KDDIは本日、頓智ドットが実施する第三者割当増資を引受け、4億4800万円を出資したそうです。
今回の資本提携によって、スマートフォンや携帯電話による「セカイカメラ」の会員数の拡大を図り、KDDIの課金プラットフォームを利用したゲームの課金や広告などのビジネスを推進していくほか、KDDIが持つコンテンツの調達力や研究開発力をAR事業に活用して、より魅力的なサービスの提供を推進していくとのこと。
これが「IS01」で「セカイカメラ」を利用してみたムービー。フワフワと浮かんで見えるのは、カメラを通じて風景に仮想的に添付できる情報「エアタグ」で、位置座標情報をアドレス代わりに利用しています。そしてこの「エアタグ」をインターネット上にある専用サーバーを介して共有するというのが「セカイカメラ」の仕組み。
YouTube - auのAndroidスマートフォン「IS01」でセカイカメラに投稿してみた
なお、すでにKDDIと頓智・は2010年6月に「セカイカメラ」のAndroid版を世界で初めてauのスマートフォン「IS01」に搭載しており、2010年7月にはKDDIおよびKDDI研究所が共同で培ってきた「実空間透視ケータイ」と頓智・の「セカイカメラ」が連携した、携帯電話でも利用可能なARアプリケーション「セカイカメラZOOM」を提供開始しています。
ちなみに「セカイカメラ」は実際の現場に行ってカメラをかざす必要があるアプリケーションであり、KDDIは「EZナビウォーク」などのGPSを使った位置情報サービスに力を入れてきたことを考えると、海外で急激にユーザー数を伸ばし、今や1週間に10万人ずつユーザーが増え続けている「foursquare」のような位置情報を利用したサービスを将来的に日本で展開しようとしているのではないか?ということが考えられます。
foursquare
http://foursquare.com/
「foursquare」のサービス自体については以下のリンクで詳細に解説されていますが、要するに「自分が今どこにいるか」を記録していくサービスで、店の中に入ればその店に来たのが何回目なのかという「チェックイン」情報も記録でき、さらにチェックイン回数によってもらえるバッジや称号がどんどんと変わっていく……というように、ゲーム性があるものとなっています。
また、店側からすれば何度も来店してくれるということは「常連になってくれている」ということであり、一定以上のチェックイン回数に達して「メイヤー(市長)」認定された人に割引サービスを出したり、無料で何かが飲み食いできる特典を用意することは、より一層多くのお客を呼び込むことにつながるというわけ。
Twitterの次はこれじゃね?今一番イケてる(と僕が思っている)『foursquare』について調べてみた - IDEA*IDEA ~ 百式管理人のライフハックブログ
「foursquare」自身のビジネス展開の可能性については以下で述べられていますが、端的にまとめると地域のミニコミ誌に出稿されている広告のように、その地域にある店などが「foursquare」にローカルな広告を出稿するようになるといった、地域に根ざしたプラットフォームを構築することがビジネスモデルにつながると考えられています。
湯川鶴章のIT潮流 powered by ココログ: 注目位置情報サービスの「FourSquare」日本で利用可に=狙うはローカル広告
そしてこのような形のビジネスモデルをauが取り込み、セカイカメラと連動させることによってさらなる発展を遂げる可能性があるだけでなく、さらに、日本の携帯電話にはGPSを搭載することが義務づけられている以上、auの携帯電話以外にもマーケットを広げることができる可能性も考えられるため、もしこの予想が当たりなのであれば、KDDIはかなり大きく舵を切った感じがする……というわけです。
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