インタビュー

世界シェアNo.1のサンディスクに今後のフラッシュメモリ製品や販売戦略についてインタビューしてみました


本日サンディスクが独自開発の新技術「パワー・コア・コントローラ」を採用することで従来の2倍という圧倒的な超高速転送や高耐久性、高信頼性を実現した「サンディスク・エクストリーム・プロ・コンパクトフラッシュカード」を正式発表しましたが、今度のフラッシュメモリ製品や同社の販売戦略についてインタビューしてみました。

また、フラッシュメモリ市場の世界シェアNo.1に輝く同社がライバル視している会社、SSDで発生しているプチフリーズ問題、記者発表会に現役スケート選手の荒川静香を起用した理由などについても触れています。

詳細は以下から。
新横浜にあるサンディスク本社


入口にはサンディスクがこれまで手がけてきたフラッシュメモリ製品が飾られています


過去の製品の容量を見ていると、時代の移り変わりを感じざるを得ません


さまざまな賞が贈られています


トロフィーの数々


インタビューに応じてくれたのはサンディスクコーポレーション バイスプレジデント プロダクトマーケティングのエリック・ボーン(Eric Bone)氏です。


GIGAZINE(以下、Gと省略):
今回の新製品「サンディスク・エクストリーム・プロ・コンパクトフラッシュカード」の開発にはどれくらいの期間がかかりましたか?

エリック・ボーン(以下、エリックと省略):
1年半くらいですね。

G:
今回の製品は従来の2倍にあたる速度を実現しましたが、次の製品も速度の向上を目指しているのでしょうか。それとも違うアプローチを目指しているのでしょうか?

エリック:
やはりデジタルカメラなどの「ホストデバイス」を製造しているメーカーの要求を取り入れることが重要であると考えています。我々はすべてのメジャーなホストデバイスのメーカーと非常に良い関係を持っているので、「そのデバイスがどう使われるのか」ということに注目して開発しています。

また、サンディスクは主にコンピューティング、イメージイング、モバイル、ゲームなどのエンタテイメントという4つの大きなカテゴリに分けて製品開発を行っているので、それぞれのカテゴリごとに開発の傾向は異なりますね。

G:
今回、高速転送や高信頼性、高耐久性を実現する「パワー・コア・コントローラ」という独自開発の新技術を新製品に投入しましたが、今後microSDカードやSSDといった自社製品に適用して高速化することは考えていますか?

エリック:
とても良い質問だと思います。コントローラとNANDフラッシュメモリを一緒に開発しているメーカーはサンディスクだけなので、そのようなことも考えています。

G:
一部の他社製SSDの場合、データを書き込もうとするとパソコンの動作が一瞬止まる「プチフリ(プチフリーズ)」を起こす場合があり、プチフリーズを解消するソフトウェアを開発しているメーカーもありますが、そのことについてどう考えていますか?

エリック:
私はSSDのエキスパートではないのですが、フラッシュメモリをパソコンのOSで利用するということと、カメラなどで利用するということは非常に異なるということをメーカーは理解しなければならないと考えています。

HDDのメーカーとWindowsなどのOSメーカーは長きにわたって最適化を行ってきているのに対して、SSDのメーカーとOSメーカーは2~3年の付き合いしかないため、HDDの場合に高速化できる技術を
SSDに導入しても、うまくいくとは限りません。

すでに長い歴史を持っているOSと新たに始まったSSDについては、今後協力関係を深めて新たな繋がりを作り上げていかなければならないと考えているところです。

G:
サンディスクのフラッシュメモリを「世界の四日市モデル」としていますが、そもそもどうして三重県四日市市に工場があるのでしょうか?

エリック:
弊社はフラッシュメモリ事業で東芝と合弁しているため、東芝がフラッシュメモリ工場を置いている三重県四日市市に工場があります。なお、東芝はジャイアントカンパニーですが、このように長期間合弁を続けられるのは奇跡だとサンディスク創設者で会長兼CEOのエリ・ハラリ(Eli Harari)は述べています。

G:
すでにパソコンユーザーを中心として、ブランドが浸透している感がありますが、ブランドイメージの強化に臨むということは、ブランド力の低さを感じたことがあるということなのでしょうか。

エリック:
サンディスクは世界シェアNo.1のフラッシュメモリメーカーですが、日本市場におけるブランド認知が低いため、ブランドイメージの強化に乗り出すことにしました。

ヨーロッパ市場では「メモリースティック」などでシェア2位となっているソニーがライバルとなっており、アメリカ市場では2位のフラッシュメモリ専業メーカーがライバルとなっていますが、日本市場のライバルはソニーだけでなく、東芝やパナソニックなどといった巨大メーカーとなっています。


サンディスクは日本市場でのライバルとなるソニーや東芝、パナソニックと比較すると、まだまだブランド力が低いと認めざるを得ません。日本市場でも「フラッシュメモリカードといえばサンディスク」と言われるようになりたいと思っています。

G:
具体的にどのようなことを行ってブランドイメージを強化するつもりですか?

エリック:
「テレビCMを使って大々的に」とはいきませんが、量販店のフラッシュメモリカード売り場でサンディスクの製品を目立つ場所に配置したり、量販店での販売方法を模索することによって認知度を高めようと考えています。

フラッシュメモリを購入するときに、容量を気にするお客さんが最も多いことから、製品のパッケージに容量を大きく書くことでインパクトを与えるという手法も取り入れていますね。

G:
荒川静香をPRに用いた理由は?

エリック:
私たちの製品はカメラなどのハードウェアがあって初めて性能を実感してもらえるものなので、「スピードのあるものを撮影した時にどれだけ効果があるのか」を追求したところ、日本人はフィギュアスケートが好きという傾向や、来年バンクーバーオリンピックが開催されることなどを見越して荒川静香さんをPRに起用しました。

G:
複数のデータ復旧業者が、物理的なダメージを受けたNANDフラッシュメモリからのデータ復旧はHDDよりも難しいということを異口同音に言っており、フラッシュメモリの方が万が一の場合における信頼性は低いのではないかという声が寄せられていますが、本当なのでしょうか?

エリック:
世界中から寄せられるユーザーの声には「デジタルカメラが壊れたけれど、メモリカードは無事だった」「間違って洗濯してしまったけれども無事だった」といったものもありますね。

G:
世界規模で考えた場合、サンディスクの最大のライバルは?

エリック:
地域ごとや4つのカテゴリごとに違ってくるので、世界規模で考えるということは難しいですが、もし日本でということであれば、パナソニックさんだと考えています。ブランド力もあるし、一緒にSDメモリカードの規格自体を作り上げてきたため、倒すべきライバルとしてではなく、共存共栄で良いライバル関係を築きたいと考えていますね。

G:
ありがとうございました。

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in インタビュー,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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