JASRACへの立ち入り検査について、JASRACと公正取引委員会に電話してみました
先日GIGAZINEで、JASRAC(日本音楽著作権協会)に対して独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会が立ち入り検査を行ったことをお伝えしましたが、毎日新聞社の報道によると、公正取引委員会は5年前に公表した報告書の中で、今回立ち入り検査が行われた原因となった、JASRACと放送局との「包括契約」について「競争阻害要因となり得る」と指摘していたにもかかわらず、JASRACが無視して独占状態を続けていたとしています。
そこで本日、JASRACと公正取引委員会に対して、電話で聞いてみました。
詳細は以下から。
まず、公正取引委員会が2003年3月に公表した「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」報告書の概要は以下。
(PDFファイル)「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」報告書(概要)
この報告書の中では、独占禁止法上問題となるおそれがある、新規参入による競争を阻害する要因として、以下のことが指摘されています。
1.著作権等管理事業者が,権利者と管理委託契約等を結ぶ際,当該権利者が現在持つ,又は将来持つことになる著作権法上のすべての権利を管理委託契約の対象とすることを条件とすること
2.既存の著作権管理事業者が,ある分野について独占的な地位にある場合に,新規参入事業者と競合する分野についてのみ管理手数料を引き下げたり,独占的分野及び競合する分野の双方とも自らに委託する者を優遇すること
3.既存の著作権等管理事業者が,新規参入した管理事業者に管理の一部又は全部を委託した権利者に対して,その後一定期間は自らとは契約できないことを条件とすること
そして今回はJASRACに対して、「毎日新聞社の報道によると、5年前に問題点を指摘されていたにもかかわらず、一向に改善する動きがなかったことが極めて悪質だと判断され、今回の立ち入り検査につながったようだが、警告を無視してきた理由は?」という質問をしてみました。
JASRACからの回答は以下の通り。
JASRAC:
公正取引委員会が2003年3月に公表した「デジタルコンテンツと競争政策に関する研究会」報告書の内容は承知していましたが、公正取引委員会から直接指摘や警告を受けた事実は確認できていません。現在そのような事実があったのかどうかを調査中です。
また、立ち入り調査を受けた理由につきましては、すでに報道されているとおり、放送事業者との包括契約が新規参入を除外している疑いがあるというもので、調査は現在も続けられていますが、すでに発表しているとおり、全面的に協力しています。
なお、この件について公正取引委員会に電話して確認してみたところ、今回立ち入り検査を行った理由については、「個別の案件であるため答えられない」そうです。
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