コラム

おまえは仕事をエンジョイしているか


あるとき、上司から「おまえは仕事をエンジョイしているか」と初めて聞かれ、「はい、面白いです」と答えたところ、その上司は「ならいい!」と言ってくれたそうです。もし「面白くない」と答えていたらどうなるかというと、「理由は?私がどのようにしてその問題解決に協力できるか教えてくれ」と逆に聞き返してくれるそうです。

この話、一体誰の話なのかというと、先日にNHKで22時から放送していた「プロフェッショナル・仕事の流儀 シリコンバレー流“破壊分子”のすすめ・技術者・渡辺誠一郎」に登場した、渡辺誠一郎氏のインタビューへの受け答えの一幕です。再放送予定は来週月曜日の16時5分から。しかしこのNHKの番組だけだと、一体どういう仕事をしていて、その結果ああいう受け答えをすることになったのかが理解できないので、ちょっとまとめてみました。

詳細は以下から。
JTPA: 渡辺 誠一郎

上記インタビューは2002年の話。起業するための苦労が詳細に書かれています。日立メディコに就職してからインテルに転職、そして自分で会社を作るまでの経緯が分かりやすいです。「こんなハイリスクなことに友人やその家族を巻き込んでいいのか」という葛藤は確かに理解できます。また、大企業にいたからこそその中で自分自身が育ったのであって、大企業にいるからすり減るというわけではないという一節も興味深い。


また、今回のNHKの番組の内容は概ね、以下の記事の内容とほぼ合致する。というかこれを下敷きに作ったような気がする。

フォーサイト11月号フォーサイトスタイル

次は2003年のインタビュー記事。

【最前線】「デジカメの頭脳」を専業で開発――ニューコアテクノロジーの渡辺誠一郎CTO・共同創設者?PC&デジタルカメラ-デジタルカメラ:IT-PLUS

デジカメのエンジンを作る仕事という表現はわかりやすい。また、デジカメの動画機能が貧弱だったり、逆にデジタルビデオカメラの静止画撮影機能が貧弱な点に触れ、その双方を高いレベルで実現していきたいという姿勢はこの会社の目指すべき地点を指し示している気がする。

次は2004年の記事。

Silicon Valley Japanese Entrepreneur Network(SVJEN)

ベンチャーキャピタルから資金調達する厳しさについて細かく書いてあります。特に、新技術をもとにして起業し、ビジネスをするための資金を獲得するわけですが、桁違いのブレークスルーが3つは必要とされるというのは非常に興味深い。既存の技術の2倍とか3倍程度ではお話にならないというわけです。これはあらゆることに言えることですね、メモメモ。

また、自分たちの技術の専門性や将来性について大学教授に見てもらうという「洗礼」もあるそうなのですが、その際にプレゼンテーションした内容をベースにして、その教授自身がビジネスを立ち上げてしまったと言うこともあったそうで。何を見せて何を隠すのかは重要、というわけです。これはGIGAZINEが審査員として参加予定のビジネスプランコンテストでも同じ事が言えると思います。読者からもメールで指摘されたのですが、学生の出してきたプランをスポンサー企業がビジネス特許を先に出してしまう……ということもなきにしもあらずなのではないか、と。しかし、そういうことまで考慮に入れられないようでは、そもそも起業してはいけないということなのかもしれません。日本ではそういう教育がないので失敗する事例が多いような気もするのですが……。

で、これがその紆余曲折の果てにたどり着いた会社のホームページ。

NuCORE Technology
http://www.nucore.co.jp/

人生、いろいろありますね。

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in メモ,   コラム, Posted by darkhorse

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