優勝者に300万円、学生のビジネスプランコンテスト「SEEKS」を取材した
学生を対象にしたビジネスプランコンテスト「SEEKS」が、2007年3月10日~12日に京都で行われます。今回、GIGAZINEは依頼を受けこのビジネスプランコンテストの審査をすることになったので、せっかく審査員として参加するのだから……というわけでSEEKSの実行委員に取材を行ったのが今回のインタビュー記事です。
参加者は学生を対象にしていて、実行委員もみんな学生。一体なぜこんな企画が生まれたかなど、いろんな話を聞くことができました。
SEEKSの実行委員長・山田さんと実行委員の立松さん。
・そもそも企画委員はどうやって集まったのか?
GIGAZINE(以下、G):
まず、山田さんと立松さんは立命館大学なのに藤本さんは京都大学ですよね。どうやってつながりができたんでしょうか?
藤本(以下、藤):
京都では学生同士、イベントをやったり遊びに行ったりする横の交流がかなりあって、今回のこの企画を考えたときに興味を持ってくれた学生に参加してもらいました。特に彼女(山田さん)はウリが踊れる実行委員長ということで、当日こうご期待です。
G:
こういうイベントで女性が実行委員長というのはかなり珍しいですね。
山田(以下、山):
踊る実行委員長というのも珍しいですよね。
G:
実行委員には他にもメンバーがいましたが、そういったイベントとかのつながりで集まったんですか?
藤:
そうですね。あとは学生向けのIT開発合宿で集まったメンバーにも声を掛けたりして、コンテストのアドバイザー的な立場で参加してもらっています。
・ビジネスプランコンテストの企画はどうやって生まれたか?
G:
ビジネスプランコンテストという発想は海外では多いですが、日本ではあまり聞いたことがないですね。特にIT関係はITバブルの時はいろいろあったのですが、それ以降は見たことがないので珍しいなと。ITバブル時に比べても、このコンテストは金額が大きいですね。これはどこから集めてきたんでしょうか。
藤:
これはメインスポンサーであるセレブリックスホールディングスさんにかなりご協力をいただいてます。それがあったから運営できるといった形ですね。
G:
なるほど、それでお金が集まったんですね。てっきりお金を集めるために必死で走り回ったりしたのかなと思ってました。バックについている企業が少ないのはそういう理由なんですね。
藤:
今も回っているところです。スポンサーが10ぐらいですね。通常のビジネスプランコンテストならつかないベンチャーキャピタルがスポンサーとして数社ついていただいてます。普通はベンチャーキャピタルは学生のイベントにお金を出してもプラスがないので出さないのですが、今回のコンテストは学生のプランにプロのコンサルタントが入って、将来的に伸びる可能性があるので。学生のやるイベントにキャピタリストのビジネスの目を向けて学生に求められるレベルを上げてみようって感じの試みです。
G:
本来あるべき姿というやつですね。海外のビジネスプランコンテストなんかだと、ベンチャーキャピタルが来るからスタートアップでなんかやってね、となるのですが、それを日本でもやってみようという話ですね。
藤:
そうですね。
G:
確かに、なぜ今まで日本ではなかったんだろうという感じがしますね。山田さんは1年生で、大学に入ったとたんにこういうものをやることになったわけですが、一体どんな陰謀でやることになったんでしょうか。大学に入る前からなんとなく興味があったんですか?
山:
ウィルコムカップというビジネスプランコンテストの交流会で藤本さんと出会ったんです。その時の交流会でで踊ってたら…
藤:
山田さんは酒を飲んでないのに飲んでいる人よりテンションが高かったので、その面から盛り上げ役としてキャラ採用ですね(笑)。
G:
なるほど、非常にわかりやすい理由ですね。キャラ採用されてこういう風になってしまったわけですね。
山:
私自身は高校からビジネスや株をやっていたわけではないのですが、このキャラがビジネスとして何か役立つことがあれば、と。
G:
アイドルかタレント業みたいですね。立松さんはどうして巻き込まれたんですか?
立松(以下、立):
山田さんと友達だったので、純粋にビジネスに興味があったので参加しています。
G:
隣でしっかり支える役ということですね。ということは、SEEKSの実行委員は山田さんが表に立って盛り上げていて、立松さんが支えていて、藤本さんが裏方といった形ですね。
藤:
そうですね。ビジネスにするためのコンテストをやる関係で、実際に会社をやっている人間が、自分たちに必要なものを作るというのを念頭に置いて、しっかりと必要なものをそろえて、あとは学生に任せてしまって形を作っていくという感じです。
G:
藤本さんに質問ですが、学生のころから結構いろいろとビジネスをやっておられるんですね。最初に学生でビジネスを始めようと思ったのはなぜですか?
藤:
もともと投資関係をいろいろとやっていまして、それでソフトバンクやライブドアなどのやっていることを見て、ITと金融をかけあわせると面白いということに気付いたんです。それで実際に自分でやってみたかったので今の会社を立ち上げました。
G:
最初からかなりビジョンを持って、ビジネスマン寄りでやっているんですね。
藤:
そうですね。
G:
このSEEKS以前からいろいろやっていて、そのツテでこういうコンテストを開いたら面白いんじゃないかとやってみたということですか?
藤:
この開催は全く違う方向からです。最近の学生、特に関西の学生は卒業したら「普通の就職」しか選択肢がない。選択肢自体は他にもあるんですけれどその選択肢をほとんど見ていないんです。そこで、例えば友達がベンチャーやっている、ニートやりながらも生活できている、ブログを書いてそれをビジネスにしている、とか内容はなんでもいいんですがいろんな選択肢で生きている人を見ることで学生の視野が広がるかなと思ったのがきっかけですね。それをやるためには、自分たちでアクションを起こしている人を見るのが早いんですが、その代表格のベンチャー企業なんかが京都にはあまりないんですよ。じゃあそういう活動をしている人を増やすしかないんですが、どうしても学生だと勉強会レベルで終わってしまう。そこで、起業という種を与えることでそういった学生を増やし、その学生を見ることで気づきを与えたいです。
G:
かなり崇高な目的ですね。
藤:
そうでもないですよ(笑)ただそういうまじめな目的だけでやると本当にただのまじめなコンテストになるので、キャラ採用の踊れる委員長の力で、ちゃんとイベントとしても楽しめるようにしています。
G:
コンテストの応募はどれくらいきましたか?
藤:
34通の応募がありました。どれも面白いプランばかりでかなりレベルは高いですね。
G:
立松さんは1年生ですが、大学に入るまでビジネスをやる気はありましたか?
立:
ビジネスには興味があったのですが、小中高ではずっと野球をやっていてどちらかというとそちらの方ばかりだったので、こういうことをやると決めていたわけではないです。
G:
野球からビジネスへの転向は社会に出てからだとあるのですが、大学の段階で転向するのは珍しいですね。そこは何かあったんですか?
立:
ビジネスの根底にあるやる気はスポーツと変わりないと思いますし、組織もチームスポーツということであまり変わりらないなと。
G:
なるほど、藤本さんがなぜ立松さんを入れたかわかりますね。SEEKSに入ってからはどういった活動をしているんですか?
立:
SEEKSでは山田さんや藤本さんと一緒に会社を回ったり、どういう学生が面白そうだろうと話をしたりしています。
G:
どういう学生が面白そうだろう、というので何か面白そうな学生はいましたか?
立:
学生で起業したり、学生団体で動いている人は面白いですね。
・ITを知ったきっかけ
G:
では次なのですが、変なことを聞きますが山田さんはPCとかやってるんですか?
山:
もちろんmixiやGoogleは使いこなしてますよ。
G:
ビジネスプランコンテストはもうITと切り離せないようなところもあるので、ある程度ITを知らないと判断できない面もあると思うのですが、どういったきっかけでPCやインターネットを使い始めたんですか?いつごろ、どういった感じで使い始めたとか。
山:
学校の授業で情報教育があるのでそのころからPCは触っていました。本格的にインターネットに触れ始めたのは大学に入って自分でLet's noteを買ってからですね。それを機にPCをすごく使うようになりました。私は完全に「Googleっ子」で、最初はYahoo!を使っていたんですが、だんだんGoogle Earthにひかれるようになって。私は旅行が大好きで、Google Earthを見ていればどこでも行けますよね。それが楽しくてきっかけになり、GoogleカレンダーやGmailの活用というようにGoogleにはまって、今はPCのとりこになっている状態です。
G:
ほうほう。
山:
もともとは一文字消すやり方もわからないぐらいPCスキルがまずかったんですが、自腹でLet's noteを買ってIT触り始めてからITの話ができるようになって、ITがわかるようになってきましたね。
G:
なるほど、なかなか「Googleっ子」というのは面白いですね。では立松さんはどんな感じですか?高校までは野球をやっていたそうですが。大学に入ってからですか?
立:
PCをやり始めたのは中一か中二ぐらいですね。ケーブルテレビを引くのと同時にインターネットを始めました。最初はYahoo!で好きなアーティストのレビューを見たりしていただけですね。
G:
そこから入っていったわけですか、年月でいうとけっこう長いですね。ある程度本格的にやり始めたのは大学に入ってからですか?
立:
Officeなどを使い始めたのは大学に入ってからですね。
G:
なるほど、ある意味由緒正しい感じですね。藤本さんはどういう感じでIT関係をはじめましたか?
藤:
PCが家に入ったのはちょっと遅くて高校3年生の時です。卒業して予備校生になる時に遠距離恋愛になって、電話料金がかかるのでテレホーダイでチャットを使わざるを得なくなって、それでインターネットを活用するようになりました。
G:
すごいですね、必要に迫られたわけですね。なるほど、三者三様なんですね、だいたいみんな似通ったパターンなのかと思ってました。
・届いたプランはどんな感じなのか?
G:
コンテストへ応募してくるのはやはり大学生が多いですか?
藤:
そうですね、1、2回生や4回生が多いですね。内定が決まった4回生がまだ自分のアイデアを諦めきれずにという感じでしょうか。やはり4回生のプランはしっかり考えていて、本気の企画書が来ていますね。
G:
中には首をかしげるようなのもありますか?
藤:
そこはノーコメントです(笑)
G:
審査のポイントはどんな点ですか?
藤:
一見してビジネスになりそうかどうかを学生が振り分けて、それを起業家に見てもらってこぼれたプランに本当にいいものがないか二段階でチェックしていく形です。
G:
なるほど、こぼれたのを見るというのはかなりしっかりした審査ですね。応募された中から一次を突破するのはどれぐらいを予定していますか?
藤:
12を予定しています。
G:
では私が審査に行く時点で残っているのはその12個ということですね。
藤:
はい。その12個を、プロのコンサルタントが中に入って、きちんとしたプランにしたものを審査してもらうという形ですね。
G:
当日の流れとして、こういう審査をして欲しいという要望はありますか?
藤:
今のところ審査員の残り3名が調整中なのですが、その審査員のバランスを見ながら、どの部分を重点的に審査するかを決める予定です。
・GIGAZINEに審査を依頼したきっかけ
G:
GIGAZINEに依頼したきっかけは何なんでしょうか?
藤:
もともと読者だったからですね。
G:
いつごろから読んでいたんですか?
藤:
1年ぐらい前からで、リニューアルの前からですね。
G:
結構古いですね、まだタイトルが一行で並んでいたころですね。最近声をかけてくる人はみんなリニューアルした後というのがほとんどだったので、リニューアルする前から見ている人は珍しいです。何のきっかけでGIGAZINEを読み始めたんですか?
藤:
いわゆるネットオタクの友人がいて、面白いのがあるから一度見てみろと紹介された形です。
G:
なるほど。
・アピールポイント
G:
アピールポイントなどありますか?
藤:
本来ビジネスの世界でちょっとやってるだけじゃ会えない人を審査員にお招きしていて、そういう人たちと自分のビジネスプランを戦わせることができるというのは魅力かなと思います。
G:
実行委員長として何かありますか?
山:
藤本さん、立松くん、その他みんなや企業さんに応援されて頑張ってます。印象に残っているのはセレブリックスの三戸会長がmistakeという言葉について教えてくれて、mistakeはmissとtakeに分かれていて、missをしてもtakeして吸収していくことで間違った以上の価値を出せるから間違いは恐れるなということを聞いて、間違っても頑張るという気持ちで頑張っています。
G:
立松さんはアピールポイントはありますか?
立:
アピールポイントではないですが、こういう活動をしていると色んな方に会っていると、普通の大学生活にはもう戻れないのかなという気持ちはありますね。
G:
藤本さんは会社をやってらっしゃいますが、他の二人は就職はどんな方向に行こうとかもう考えてますか?
山:
まだ定めていないですね。踊ると言いましたけど、私は別にダンサーとして生きていくのではなくて、ビジネスで頑張っている人たちとオフの時に踊って楽しくやることかなと思っています。藤本さんに連れられてビジネスの世界に足を踏み入れてみて、ビジネスをやっている人は喋って盛り上げるのがうまいので、そういうのに応援されています。
というわけで、2007年3月12日(月)の最終審査にて、お会いしましょう。興味のある学生の方は当日、会場に来れば、あるいはGIGAZINEの中の人に直接会えるかも知れません……。
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