中国政府がライブ配信に30個以上の禁止項目を定めて厳しく規制、配信者は法律や医学の専門資格を義務づけられるケースも

中国の文化観光部と国家広播電視総局が、インターネットに大きな影響力を持つインフルエンサーとライブ配信についての新しい規制を2022年6月22日に発表しました。この規制では、ライブ配信中の行動について31項目の禁止が設けられ、ライブ配信者が法律・金融・医学・教育などのトピックについて語る場合は専門資格を持つことを義務付けられます。

China bans over 30 live-streaming behaviours, demands qualifications to discuss law, finance, medicine | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/big-tech/article/3182767/china-bans-over-30-live-streaming-behaviours-demands-qualifications

中国ではゲームのプレイ実況や歌、雑談、商品紹介、解説などリアルタイムで行うライブ配信が人気で、すでにライブ配信関連の市場規模は300億ドル(約3兆9000億円)にまで急成長しているといわれています。そのため、中国当局はこのライブ配信業界に新しく規制を設けようとしていることが報じられていました。

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中国政府は2022年5月に、18歳未満の未成年に対して22時以降にライブ配信を見ることを禁止しました。

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そして、今回は視聴者ではなく配信者側に新しく規制が設けられたこととなります。ライブ配信中に禁止された31種類の行動には、「中国共産党の指導力、社会主義制度、国の改革と開放を弱体化、あるいはゆがめるようなコンテンツの公開」「ディープフェイク技術を使って指導者の画像を改ざんする」「機密問題を意図的に『誇大宣伝』して世間の注目を集める」というものが含まれています。

また、ライブ配信者が法律・金融・医学・教育などのについて語る場合は、話す内容に応じた専門資格を持つことを義務付けられます。そのため、解説系のライブ配信を行う配信者の一部は活動停止を余儀なくされることになります。

中国では、eコマース業界が急速に変化しつつあります。例えば、Alibabaグループは「Taobao Live」というチャンネルで視聴者に商品のメリットを訴えかけるライブ配信を頻繁に行っていましたが、近年の規制強化でライブ配信者が次々と苦しい状況に追い込まれているため、方針転換を強いられている状況となっています。

2022年6月3日には「口紅王子」「口紅兄貴」などの愛称で人気のTaobao Liverであるオースティン・リー氏が「戦車の形をしたアイス」を配信で映した直後、ライブ配信が突然終了し、リー氏は配信活動を停止してしまったという騒動が報じられています。これは配信のあった次の日が、天安門事件のあった6月4日だったことが関係しているのではないかといわれています。

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また、Taobao Liveで人気1位のインフルエンサーだった「薇婭(Viya)」は、2021年末に脱税で13億元(約260億円)の罰金を科され、それ以来世間の目から完全に姿を消してしまったとのこと。他にも人気インフルエンサーが脱税で罰金を科されたあと、ソーシャルメディアアカウントとTaobao Liveのショップが消滅したという例が2件確認されています。

今回の規制は、「高級品や現金を見せびらかすなど、ぜいたくな生活をライブ配信内で見せてはならない」「ライブ配信者は正直に収入を宣言し、法律にしたがって納税義務を果たさなければならない」と定めているほか、ライブ配信プラットフォーム側にも「法律違反あるいは倫理観の欠如が示された著名人には、自分の意見を公に表明したり、パフォーマンスを行ったり、新しいアカウントを作成したり、別のプラットフォームに切り替える機会を与えたりしてはならない」と命じています。