1億7000万フォロワーの人気インフルエンサー「口紅アニキ」が原因不明の配信活動停止
美容系のインフルエンサーとしてTikTokだけでも3500万人以上、Weiboなどまで合わせると1億7000万人以上のフォロワーがいて、「口紅兄貴」などの愛称がある李佳琦(オースティン・リー)氏が2022年6月3日(金)の配信を最後に、活動を停止しています。当該配信は技術的な問題によって中断したと説明されていますが、その後に予定されていた配信も行われていない状態です。
Top China Livestreamer Li Jiaqi Goes Offline After Bringing Out “Tank Cake” - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-06-06/top-china-livestreamer-goes-offline-before-tiananmen-anniversary
Chinese Influencer’s Ice-Cream Pitch Inadvertently Introduces Fans to Tiananmen Square Massacre - WSJ
https://www.wsj.com/articles/chinese-influencers-ice-cream-pitch-inadvertently-introduces-fans-to-tiananmen-square-massacre-11654442707
Why a Top Chinese Influencer Got Taken Offline – Foreign Policy
https://foreignpolicy.com/2022/06/08/china-influencer-censorship-li-jiaqi-lipstick-king-tiananmen/
李佳琦氏は、2017年から配信活動を開始したインフルエンサー。化粧品会社ロレアルの店員だというキャリアを生かして、口紅を豊かな表現で紹介し自ら口紅を塗って紹介するのが特徴的で、「口红一哥(口紅アニキ)」「Lipstick King(口紅王)」の愛称で知られています。また、2021年にタイム誌の「世界で最も影響力がある次世代の100人」に選ばています。
しかし2022年6月3日(金)、李氏が配信においてアイスブランド「ビエネッタ」のアイスケーキを見せたところ、配信は中断され、そのまま復帰することなく終了してしまいました。
李氏はマイクロブログのWeiboで、配信終了は技術的な問題によるものだと報告しましたが、6月5日(日)に予定されていた次の配信はありませんでした。
なぜ配信が中断されてしまったのか、当時配信を見ていた人で理由に思い当たった人はほとんどおらず、当初は中国のお金持ちではよくある脱税問題があったのではないかとうわさされたそうですが、その後、「アイスケーキの形状が戦車のように見えたことが原因ではないか」という説が浮上しました。中国では「戦車」は天安門事件の政府批判にあたるキーワードであり、ちょうど天安門事件が発生した6月4日の前後に、中国政府はネットに投稿された戦車の写真を削除してまわっているのだそうです。
李佳琦直播间昨晚售卖和路雪品牌雪糕时有一个坦克造型的雪糕,随后直播被掐断... ... pic.twitter.com/QsinMi24SL
— bigguguji (@bigguguji1)
李氏のSNSアカウントなどは維持されていますが、検索エンジンやショッピングサイトで李氏の名前を検索しても何も情報が出てこない状況になっています。
今後、李氏が活動を再開するかどうかは不明ですが、ニュースサイトのQuartzは、配信プラットフォームである淘宝網(Taobao)にとって、2021年に脱税で同じように配信活動を停止したViya氏に続いてのトップインフルエンサー離脱は大きな打撃になると指摘しています。
また、李氏は中国で多数のブランドと契約して大きな売り上げを生んでおり、たとえば一大商戦として知られる「独身の日」の場合、2021年は12時間の配信を行って17億ドル(約2200億円)を売り上げた実績があります。別の一大商戦「6.18ショッピングフェスティバル」でも2021年は初日だけで6億1100万ドル(約820億円)を売り上げて過去の記録を更新していたとのことで、各ブランドは代わりの販売チャネルを探す必要があります。
なお、Quartzによると、独立系消費アナリストのTang Xiaotang氏は「トップライブストリーマーを追及する傾向は終わって、もっと多様化の方向に発展していくと思います」と述べているとのこと。これは、それほど広く知られているわけではなく手数料も安いインフルエンサーが視聴者を引きつける魅力的な手段を開発している一方で、トップインフルエンサーの手数料が膨大になってきていて割に合わなくなってきているからのようです。
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