ハードウェア

「2027年までにHuawei製品を5G通信網から完全に排除する方針」をイギリス政府が公式に発表

by Kārlis Dambrāns

アメリカは中国の大手通信機器メーカーであるHuaweiに対して、「中国共産党の指示でHuawei製品にバックドアを設けており、情報通信上のリスクがある」と強く非難し、さまざまな制裁を加えています。そんな中、イギリスも「2027年までに全てのHuawei製品をイギリスの5G通信網から排除する」という方針を公式に発表しました。

Huawei to be removed from UK 5G networks by 2027 - GOV.UK
https://www.gov.uk/government/news/huawei-to-be-removed-from-uk-5g-networks-by-2027

UK bans Huawei from 5G networks, with total removal by 2027 - The Verge
https://www.theverge.com/2020/7/14/21322880/uk-bans-huawei-5g-network-infrastructure-trump-administration-pressure

Huawei to be stripped of role in UK's 5G network by 2027, Dowden confirms | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2020/jul/14/huawei-to-be-stripped-of-role-in-uk-5g-network-by-2027-dowden-confirms


近年、アメリカ政府はHuaweiへの締め付けを強めており、2019年にはドナルド・トランプ大統領がHuawei排除に向けて「情報通信上のリスクがある外国製品の取引を禁止する」大統領令に署名。そして2020年6月30日に連邦通信委員会(FCC)は、HuaweiをスマートフォンメーカーのZTEと共に「国家安全保障上の脅威」に指定しました。

この動きはアメリカ国外にも波及しており、2020年7月14日にイギリス政府は「2020年12月31日以降に新しいHuaweiの5G関連製品を購入することを禁止する」「2027年末までに全てのHuawei製品をイギリスの5G通信網から排除する」といった新たなHuawei排除の方針を発表しました。今回の方針は国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のアドバイスに従ったものであり、2020年7月14日に開催された国家安全保障会議で決定されたとのこと。

かつてイギリスはHuaweiが5G通信網に参入することを容認しており、2020年2月にはHuawei製品を一部で使用することを認める一方で、占有率を35%までに制限するという決定を下していました。ところが、この決定には現政権と対立する国会議員や与党の保守党内からも反発が上がっており、アメリカからの圧力もあって今回の決定に踏み切ったとみられています。


NCSCは、今回の決定によって英国企業が現在依存しているHuaweiのテクノロジーにアクセスできなくなり、十分な代替策も欠如していることから、大規模なサプライチェーンの再編が必要となると指摘。それでも、将来的なセキュリティ面の問題を鑑みて、政府はHuawei製品の排除を決定したとのこと。

イギリスにおけるデジタル関連分野を担当するオリバー・ドウデン文化大臣は、国を安全に保つことは国家の義務であり、可能な限り安全なインターネットを保証する責任が政府にはあると主張。2020年5月15日にアメリカ商務省がHuaweiおよび関連企業への輸出管理を強化したことにより、Huaweiの製品供給能力やサプライチェーンに不確実性が生じたと指摘し、Huawei製品のセキュリティを保証できなくなったと述べています。

Huawei製品を5G通信網から完全に排除する方針により、イギリスにおける5G通信網の展開は2年~3年ほど遅れ、追加のコストが20億ポンド(約1兆6000億円)ほどかかるとのこと。また、今回の決定は2022年の総選挙までに法律で定められ、不可逆なものとなる見込みです。ドウデン氏は今回の決定が簡単なものではなかったと認めつつも、イギリスの通信ネットワーク・国家安全保障・経済を長期的に見た場合、正しい決定だと主張しました。


トランプ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めるロバート・オブライエン氏は、「イギリスの行動は『中国共産党に支援されているHuaweiなどの信頼できないベンダーが、国家安全保障上の脅威になる』という国家的な合意が強まっていることを反映しています」とコメント。イギリスや他の同盟国と協力してイノベーションを促進し、5Gベンダーの多様性を推進して5Gのセキュリティを確保すると訴えています。

Huawei UKで広報担当者を務めるEd Brewster氏は、今回の決定がイギリスに住む携帯電話ユーザーの誰にとっても悪いニュースだと指摘。5G通信網からHuaweiを完全に排除することにより、イギリスはデジタルの波に乗り遅れ、デジタル格差が深まると主張しました。

また、イギリスに駐在する劉暁明大使は「Huaweiに関するイギリスの誤った決定に失望しています。イギリスがオープンで公正かつ差別のないビジネス環境を外国企業に提供できるのかどうか、疑わしくなっています」とTwitterで述べています。


なお、Huaweiの2020年上半期決算によると、期間中の売上高は4454億元(約6兆8000億円)で前年比13.1%増、純利益率は9.2%でした。アメリカから厳しい規制を受けながらも、COVID-19のパンデミックによって情報通信技術の重要性が増していることなども受け、業績は堅調に推移しているとのことです。

Huawei Announces 2020 H1 Business Results - Huawei
https://www.huawei.com/en/news/2020/7/huawei-announces-2020-h1-business-results

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
HuaweiとZTEがついに「国家安全保障上の脅威」に指定される - GIGAZINE

Huaweiがモバイルネットワークの傍受疑惑に対し「アメリカには世界中の通信網をスパイしていた過去がある」と反撃 - GIGAZINE

トランプ大統領が「情報通信上のリスクがある製品」の取引を禁止する大統領令に署名、Huawei排除に向けての動きか - GIGAZINE

中国が「Huaweiと5G契約しないと貿易協定を締結しない」と外国の首脳を脅迫していたと判明 - GIGAZINE

中国大使が「ドイツがHuaweiを締め出せばドイツの自動車産業に影響が出る」と示唆、専門家は「オープンな脅迫だ」と主張 - GIGAZINE

「Huaweiがモバイルネットワークに侵入可能なことを証明する」とアメリカが発表、イギリスやドイツ陥落による焦りか - GIGAZINE

HuaweiとZTEに代わる西洋ベースの5G技術開発を1300億円規模で支援する法案登場 - GIGAZINE

アメリカ政府が「オープンソースの5G対応技術」を通信機器メーカーに求めている - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.