水を噴射して汚れをこすり落とす床拭きロボット「ブラーバ ジェット」を発売直前に一足先レビュー
ロボット掃除機「ルンバ」のiRobotから、2016年8月26日に新型床拭きロボット「ブラーバ ジェット」が発売されます。初代「ブラーバ 300シリーズ」から進化して、ジェットスプレーで水を噴射して汚れを浮かせ、細かく振動する3種のクリーニングヘッドで汚れをこすり落とすという新たな掃除方式を身に付けたというブラーバ ジェットを一足先に借りることができたので、実際にどんな掃除ができるのか使ってみることにしました。
床拭きロボット ブラーバ ジェット | アイロボット公式サイト
https://www.irobot-jp.com/braava/jet/
実際に大きめの会議室を清掃してみた様子をタイムラプス映像にしてみました。この時は、行ったり来たりを繰り返して最も念入りに床拭きを行う「ウェットモップモード」で清掃しています。早回しで見るとよくわかるのですが、直線上に往復を繰り返して着実に拭き掃除を行っている様子がわかります。
「ブラーバ ジェット」で会議室をくまなく清掃した様子をタイムラプスにて - YouTube
◆外観をじっくり見てみた
編集部にやって来たブラーバ ジェット。パッケージには新機能の水をブシャーっと噴射して掃除する様子が描かれています。
箱を開けると、真っ白なブラーバ ジェットと、付属品などが入った小箱が登場。
内容物はこんな感じ。ブラーバ ジェット本体と取説・保証書、リチウムイオンバッテリーと充電器、そして3種類の専用クリーニングパッドが入っています。
ブラーバ ジェット本体は、ほぼ立方体のシンプルなデザイン。サイズは幅178mm×奥行170mm×高さ84mmで、重量は約1.2kgとなっています。
前面にあるこの小さな部分が、水を噴射するノズル。
上面には電源ボタンを兼ねたクリーンスイッチがあるだけ。後述のように、ブラーバ ジェットはパッドの違いを読み取ることで、自動で掃除モードを切り替える機能を搭載しているため、操作UIをシンプルにできている模様。
本体の右側面には「日本正規品」のシールのみ。
左側面に至っては、まったく何もない状態。
背面にはバッテリーを装着するようになっています。前モデルのブラーバ300シリーズはバッテリー内蔵タイプで、充電するときには専用のクレードルにセットするようになっていましたが、ブラーバ ジェットは小型のリチウムイオンバッテリーを取り外して充電器にセットするだけでOK。
ちなみに、初代ブラーバと並べてみるとこんな感じ。300シリーズと比べると幅・奥行きとも一回り小さくなっていますが、高さはほとんど変わっていません。にもかかわらず実物は背が高くなったように見えるのですが、これは先代の天面が傾斜していたのに対し、ブラーバ ジェットは水平になって、真四角になっているために感じるようです。
本体の一部は以下のようにパカッと立ち上がるようになっており、持ち運び時のハンドルになります。
ハンドルを開けたところには、2つの青いボタン。
クリーニングパッドをワンタッチで取り外すためのボタンと……
洗浄用の水タンクのフタとなっています。
本体を裏返すと、2つの大きなタイヤとクリーニングパッド装着用の土台が見えます。また、本体の四隅には段差を感知して落下を防止するセンサーも内蔵されています。
このようにタイヤが左右に動くことで、多少の段差はクリアできるようになっています。いわゆる「亀の子状態」になって掃除をギブアップする事態も少なくなりそう。
クリーニングパッド取り付け面には前後に2つの差し込み部があり、ここにクリーニングパッドの取り付け用ボードをスライドさせて装着するようになっています。なお、手前に見える「目」の字のような部分が、パッドの種類を認識するためのセンサー。
クリーニングパッドは、床にこびりついた汚れやベタつきを拭き取りたい時に使う青色の「ウェットモップパッド (青色)」、日常的な汚れやホコリを拭き取る時に使う「ダンプスウィープパッド (オレンジ色)」、そしてホコリや汚れ、ペットの毛などをから拭きしたい時の「ドライスウィープパッド (白色)」の3種類がラインナップ。青色とオレンジ色のパッドには、あらかじめ洗浄剤が含まれており、噴射した水との相乗効果で床をキレイに拭き上げるようになっているとのこと。
青色とオレンジ色のパッドは、触り心地が少し堅めで、いかにも汚れをこそぎ落としそうな雰囲気。一方のから拭きタイプはフェルト生地のような手触りで、優しくホコリをキャッチできそうな感じ。
パッドには、本体に装着するための白いボードが取り付けられています。
このボードには、パッドの種類ごとに異なる形状の穴が開けられています。この穴はパッドの違いをブラーバ ジェットに認識させるためのもので、違いを読み取ることでブラーバ ジェットが自動で掃除モードを切り替えてくれるようになっています。
なお、上記のパッドは1回だけ使うことができる使い捨てタイプのパッドですが、洗濯することで繰り返し使える洗濯可能タイプのクリーニングパッドも別売りされています。
右の使い捨てパッドに比べ、洗濯可能タイプはカーペットのような起毛したパッドになっていました。実際に触ってみると柔らかい繊維の中に少し堅めのナイロン繊維のようなものが織り込まれており、これを利用して汚れをキャッチするようです。このパッドは最大で50回程度使えるとのことなので、コストが気になる場合はこちらを使うのもアリ。ただし、こちらには洗浄剤は含まれていないとのこと。
バッテリーを取り付けると……
使用する準備がほぼ完了。次からは実際にクリーニングパッドを装着して掃除を始めてみます。
◆掃除してみた・ウェットモップパッド編
さっそく使ってみます、ということで、まずは新しい機能をフルに活かすことができる「ウェットモップモード」を使って掃除してみます。このモードは、クリーニングヘッドを小刻みに振動させながら、同じ場所を3回念入りに拭くことにより、汚れをスッキリこすり落とすというもの。
このように、横からクリーニングパッドをスライドさせて……
「カチッ」と音がするところまで押し込めば、クリーニングパッドの装着完了。あとは水を入れてボタンを押すだけです。
タンクに水を注入。本体を少し傾けながら水を入れていくのが、できるだけ多くの水をいれるコツだそうです。ちなみにタンク容量は150mlほど。
準備が整ったら、床にブラーバ ジェットを置いて掃除をスタート。開始位置は以下の写真のように、清掃するエリアの左下隅にセットして、壁から30cm以上離した場所にセットします。
「CLEAN」ボタンを1度押すと本体が起動。続いてもう一度「CLEAN」ボタンを押すだけで、掃除が始まります。
実際に床を掃除している様子はこんな感じ。ボタンを押すと「ウィィィィ」という音とともに水を噴射し、左右に弧を描きながらジワジワと前進を続けます。時おり壁などに「ガン!」と激突しますが、1度当たった場所は記憶するので、次回以降は減速してショックを和らげるようになっています。
「ブラーバ ジェット」が水とパッドで床の汚れをこすり落とす「ウェットモップモード」で掃除してみた - YouTube
清掃中には、まずこのようにノズルから少量の水を噴射。次にブラーバ ジェット本体が前後や左右ナナメに動くことで、床を拭き上げるようになっています。
また、清掃中はクリーニングパッドが「ヴヴヴ……」と音をたてながら細かく振動。従来のモデルにはなかったこの動きにより、汚れをより効果的にすくい上げるようになっているとのこと。
床の汚れをこすり落とすブラーバ ジェット、ということで、ウェットモップパッドを装着した状態で床にこびりついた汚れに挑戦してみました。中央にある黒い輪染みのような汚れはハンドモップぐらいではほとんど落ちないガンコな汚れと化しています。
汚れに近づくブラーバ ジェット。さて汚れは見事落ちるのでしょうか!?
結果、汚れは少し軽減されたものの完全になくなるというわけではなく、両者引き分けといったところ。しかし、汚れが少し落ちたのも一方では事実であるので、この清掃を定期的に繰り返せば汚れは徐々に落ちていきそう。
清掃が終わったら、ゴミ箱の上でパッド取り外しボタンを操作するだけでゴミ捨て完了。清掃後のパッドを触らずに済むので安心です。
実際に清掃した後のパッドはところどころが黒ずんでおり、床の汚れが拭き取られていることがわかります。今回の部屋は毎日ルンバを使って掃除している部屋だったのですが、水と洗浄剤の力で汚れを拭き取るブラーバ ジェットによって、今までは落とせていなかった汚れが拭き取られたようです。
また、掃除後の床の濡れ具合が気になるところですが、指で触ってみると少ししっとりしている程度で、数分もすればすっかり乾いてしまいました。基本的にはフローリングの床などで使うため、実用上の心配は必要なさそうです。
◆掃除してみた・ダンプスウィープパッド編
次に、オレンジ色のパッドを使う「ダンプスウィープモード」で清掃してみます。
このモードは、ウェットモップモードより少ない水を噴射しながら同じ場所を2度拭きすることにより、日常的な汚れやホコリをキレイに拭き取るというもの。
どれほど汚れを拭き取る力があるのか、ためしに醤油を床にこぼして拭き取らせてみました。
ズズズイッとブラーバ ジェットが醤油の上を通過して行くと……
こぼれていた醤油はすっかり拭き取られてしまいました。横に少しだけ残っているのは、パッドがうまく当たらずに拭き残してしまった分ですが、逆にキレイに拭き取られている部分との違いがよくわかるはず。拭き残しの部分も、もちろんこの後の清掃で拭き取られてしまいました。
汚れたパッドを何度もお見せするのは気が引けますが、醤油を含む汚れがしっかりとパッドに吸着されていました。
◆掃除してみた・ドライスウィープパッド編
そして最後に、唯一の「から拭きモード」である「ドライスウィープモード」を使ってみました。使うのは白いドライスウィープパッド。
このモードは前出の2つとは異なり、水を使わず、クリーニングヘッドも振動させない状態でひたすら前進して、ホコリや汚れ、ペットの毛などをから拭きしながら、からめ取ります。
しばらく動かしてみると、床に落ちていたホコリや毛髪が絡め取られていました。むしろ、水拭きしてしまうと毛髪などはうまく取れなくなってしまうので、普段はこのモードで床のホコリを取って、数日おきに水拭きのモードを使い分けるようにすると一番うまくブラーバ ジェットを活用できるのかもしれません。
◆ブラーバ ジェットはスマートフォンアプリ「iRobot HOME」からも操作が可能
ブラーバ ジェットは本体のボタンを押すだけで清掃を開始しますが、スマートフォンのアプリ「iRobot HOME」からコントロールすることも可能。アプリはiOS版とAndroid版が提供されているので、どちらからでも利用が可能です。
アプリの画面にも大きな「CLEAN」ボタンが表示されており、タップすると実際にブラーバ ジェットが清掃を始めます。清掃済みエリアの表示などの機能は搭載されていないようですが、今後のバージョンアップに期待したいところ。
◆自宅の環境でも使ってみた
上記の使用例はオフィスの会議室を使っていましたが、やはり実際の使用環境じゃないと、ということで編集部員の自宅で使ってみることにしました。ブラーバ ジェットを動かしてみたのは、テーブルとチェアを置いたダイニング。家財道具に激突して影響がないかを確かめるために、ギターをスタンドに立てて置いてみました。
実際に動かしてみた様子はこんな感じ。時おりテーブルの足などに「ガン」と激突していますが、あとはうまい具合に激突を回避しながら清掃を行っています。とはいえ、やはり無衝突というわけではないので、高価な家具を置いている場合などは、あらかじめ保護用にパッドなどを巻き付けておいたほうが安心かも知れません。ちなみに、生け贄として提供していたギターは完全に無傷で済んだので一安心でした。
「ブラーバ ジェット」を一般家庭のダイニングで実際に走らせてみたらこんな感じ - YouTube
もちろん床の汚れがパッドに絡め取られていました。床の感触をビフォーアフターで比べてみると、掃除前はどこかザラッとしていた床でしたが、清掃後は明らかにさらさらとした歩き心地に変化していることがわかりました。
最後に、汚れがつきやすい台所の床もブラーバ ジェットで拭いてみました。もともと油飛びなどで汚れやすい台所ということもあり、2回繰り返して拭いてみると少しツヤがでてきたような変化が現れ、触り心地もサラサラ感が出てきたように感じました。数回の清掃だけで元の輝きがよみがえる、というわけではありませんが、「ちりも積もれば山となる」方式で日々の汚れを落としつつ、こびりついた汚れを徐々にかき取るというのがブラーバ ジェットに期待できる効果ということができそうです。
ブラーバ ジェットは2016年8月26日(金)に発売予定。本体価格は税抜価格2万9880円となっており、iRobot公式ストアでは税込み3万2270円で販売予定。また、交換用の使い捨てパッドは各タイプ10枚セットで税込1296円、繰り返し使用可能なウォッシャブルパッドは3タイプセットで税込4320円となっています。
床拭きロボットブラーバ ジェット240 | アイロボット公式オンラインストア
http://store.irobot-jp.com/item/240.html
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