発売前の初代iPhoneをジョブズが見せた相手は誰？

By Kenny Louie

初代iPhoneがアメリカで発売される2007年、当時のAppleを率いていたスティーブ・ジョブズ氏は大統領候補に立候補していたバラク・オバマ氏に発売前のiPhoneをひそかに見せていたことが明らかにされました。

Obama after sneak peek at original iPhone: ‘If it were legal, I would buy a boatload of Apple stock. This thing is going to be really big’ | 9to5Mac
http://9to5mac.com/2015/02/05/obama-after-sneak-peak-at-original-iphone-if-it-were-legal-i-would-buy-a-boatload-of-apple-stock-this-thing-is-going-to-be-really-big/

この一件は、オバマ政権で大統領上級顧問を務めるデイヴィッド・アクセルロッド氏による書籍「Believer: My Forty Years in Politics」の中で明らかにされたものです。2007年当時のオバマ大統領はまだ上院議員であり、同年2月に大統領選への立候補を表明した時期。一方のiPhoneは、同年1月に開催されたMacworld Expo 2007の場で発表があり、6月29日にアメリカで発売されたタイミングとなっています。

具体的な日時は明らかにされていないようですが、両者が設けた個人的な会談の場でジョブズ氏が発売前のiPhoneをオバマ氏の目に入れたとのこと。発表から発売に向けてのタイミングを思われる時期ですが、実機を見たオバマ氏は興奮を隠せなかった様子。BlackBerryのヘビーユーザーとしても知られるオバマ氏ですが、会談終了後には周囲に対して「すごいものになる」と以下のように打ち明けていたとされています。

もし法的に問題ないのであれば、私は可能な限りAppleの株を買い占めたい。この製品はすごいものになる

If it were legal, I would buy a boatload of Apple stock. This thing is going to be really big

オバマ氏が実際に買い占めを行ったことはなさそうですが、当時のiPhoneを取り巻く熱狂ぶりを垣間見ることができるエピソードの1つといえそうです。

By Photo Giddy

ただし、誰もがもろ手を挙げてiPhone称賛を行っていたわけでもないのも事実。特にMicrosoftのスティーブ・バルマーCEO(当時)はインタビューの中で「ハハハッ、色んな割引きで安くなっても500ドル(当時のレートで約6万円)もする電話だって！？キーボードが搭載されていないので、ビジネス用途には向かないマシンだろうね。ま、よく売れるんだろうけど、我々には我々の戦略がある」と意に介していないことを強調するようなバルマー氏らしいリアクションを見せていました。

Ballmer Laughs at iPhone - YouTube

また、「Androidの父」とも呼ばれる元Googleのアンディ・ルービン氏はタクシーの中でiPhoneのプレゼンテーションを見ていたのですが、その内容に思わずドライバーにタクシーを路肩に停めさせ、最後まで全て見続けたとのこと。そして見終わった後には「大変だ、ウチの電話が発表できなくなるぞ」とつぶやいたとAppleとGoogleの争いを描いた書籍「Dogfight: How Apple and Google Went to War and Started a Revolution」の中で語られています。

大変だ、ウチの電話が発表できなくなるぞ

Holy crap, I guess we’re not going to launch that phone.

オバマ大統領はその後もジョブズ氏が亡くなるまで数度の会談を設けていた様子。ホワイトハウスにもシリコンバレーのエグゼクティブを集めて「シリコンバレー・サミット」とも呼ばれる会談を定期的に行っているようです。

By The White House

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