ジョブズの新しいドキュメンタリー本「Becoming Steve Jobs」が3月24日出版予定

2011年にこの世を去ったAppleの創業者、スティーブ・ジョブズ氏を題材にした新たな書籍「Becoming Steve Jobs」が3月24日に発売されることが判明しました。

Becoming Steve Jobs
http://becomingstevejobs.com/

副題に「The Evolution of a Reckless Upstart into a Visionary Leader」(向こう見ずな成り上がり者から先見の明があるリーダーへの進化)と付けられたこの新しいジョブズ本は、Forbesやウォール・ストリート・ジャーナルの記者などを務め、25年にわたってジョブズ氏へのインタビューを行ってきたというブレント・シュレンダー(Brent Schlender)氏とFast Companyの編集長であるリック・テッツェリ(Rick Tetzeli)氏の両名によってまとめられたもの。

ジョブズ氏の死後、著者はジョブズ氏の妻や、Appleのティム・クックCEOやジョニー・アイブ氏、エディ・キュー氏など名だたるメンバーをはじめ、過去にAppleやピクサーで関わった多くの人物とのインタビューを行ってジョブズ氏の姿を描き出しているとのこと。AppleのiTunesストアに掲載されている説明では、「従来のジョブズ氏に対する神話やレッテルを覆す。向こう見ずで傲慢で、自分が作った会社から追い出された人物が、いかにしてビジョンを示す影響力を持つビジネスリーダーとなり、何十億という人々の生活を変えてきたのか？」とまとめられています。

iTunes - ブック - Brent Schlender & Rick Tetzeli「Becoming Steve Jobs」

ジョブズ氏の伝記といえば、2011年のジョブズ氏の死後すぐに出版されたウォルター・アイザックソン氏による「スティーブ・ジョブズ(I・II)」が代表的ですが、この作品に否定的な見方を隠さないジョン・グルーバー氏は、自身のサイトであるDaring Fireballで新しいジョブズ本について「これこそが世界が待ち望んでいたジョブズについての本だ。(中略)シュレンダーとテッツェリはジョブズの姿をビビッドに描いていると同時に、彼が携わった業界のこともよく理解している」などの賛辞を送っています。

「ジョブズ氏本人のインタビューがないのに、どうやってドキュメンタリーが？」という疑問も起こりそうなこの作品ですが、シュレンダー氏には過去25年にわたるジョブズ氏やその周辺の人物への取材という強力な武器があるとのこと。1991年にはForbesにMicrosoftのビル・ゲイツ氏とジョブズ氏との対談が掲載されましたが、このインタビューを行ったのもシュレンダー氏だったそうです。

By Adam Rifkin

アイザックソン氏による自身の伝記についてジョブズ氏は、事前の内容確認を行う権利を放棄するなど全幅の信頼を置いていたことが明らかにされていますが、一方では「専門分野に対する知識の無さが致命的」や「過去のインタビューをまとめただけ」という厳しい批判の声が挙がっているのも事実。このあたりは、藤シローさんのブログ「maclalala2」に詳しくまとめられており、興味深い内容になっています。

ジョブズ公認伝記本の徹底的批判：シラキューサとグルーバー | maclalala2

このような批判を行っていた人物からも賛辞の声が挙がっているという新しいジョブズ本がどのような内容になっているのか気になるところですが、日本語版の出版はまだ先になりそう。Amazonでは3月24日の発売に先立って書籍版・Kindle版の予約の受付が始まっています。

Amazon.co.jp: Becoming Steve Jobs: The evolution of a reckless upstart into a visionary leader (English Edition) 電子書籍: Brent Schlender, Rick Tetzeli: Kindleストア