取材

3月で運行を終了する寝台特急「トワイライトエクスプレス」食堂車で提供される「さよなら特別メニュー」を一足先に食べてきました


寝台列車のトワイライトエクスプレスは26年にわたって大阪・北海道間を運行してきましたが、老朽化のため2015年3月12日で運行が終了します。有終の美を飾るべく昨年8月ごろから開発が進められていたディナーメニュー「さよなら特別メニュー」が完成し、プレス向けの発表会で試食が行われるとのことだったので、どんな仕上がりになっているのか一足先に食べてきました。

今回プレス発表会が行われたのは新大阪駅近くにある中央ビル。


中に入っていき……


7階にある株式会社ジェイアール西日本フードサービスネットのオフィスに到着。


こんな感じでオフィスの中にテーブルが並べてありました。


オフィスっぽくない並びの机にはお水やお皿・スプーン・フォークなどがセットされていました。


写真の男性が今回さよなら特別メニューの開発を行った1人である、JRフードサービスネットの伊福部さん。トワイライトエクスプレスの引退は2014年5月に発表されたのですが、8月にはグッズの売れ行きがすごいことになり「事務所がAmazon倉庫のようだった」とのこと。しかしトワイライトエクスプレスのメインというとグッズではなくやはり食堂車で、特に日本海の夕日を見ながら食べるフランス料理はメインイベントであるため、初めて辻調グループとコラボレートして、トワイライトエクスプレスの集大成を形にするべくメニューの開発に取り組んだそうです。


左がプロデュースを担当した辻調理師専門学校のフランス料理教授の中田淑一さんで、右がフランス料理技術顧問の西川清博さん。西川さんは2000年の九州・沖縄サミット 首脳晩餐会で料理長を務めていました。


ということで、試食タイム開始。さよなら特別メニューはトワイライト沿線の食材をふんだんに取り入れた料理になっており、まず出てきたのは「北海道イクラのコルネ」


北海道産のイクラがたっぷり。


手で持てるくらいのミニサイズで、アイスクリームのように黒ごま入りのコーンが使われています。


中にはスモークサーモンのムースが使われれており、食感はふんわりなめらか。ニジマスを燻製にしたものも使われており、味はしっかりしています。


前菜は「青森産鴨のテリーヌ、新潟県産『おけさ柿』のチャツネソース」。女性に喜ばれそうな色取りでかわいい盛りつけになっています。なお、今回の試食で提供される料理はすべて2分の1から3分の1ほどのサイズなので、前菜も本来はこの2倍程の量があります。


年配の方も多く乗車されるため、青森産鴨のテリーヌは「きんつば」風。「肉をスパイスと塩につけるのに1日、サツマイモを加えて形を作り1日おき、翌日焼き上げたものをさらに1日おく」という、作るのに4日もかかっている手間隙かけた1品です。


中には荒く刻まれた鴨の肉とさつま芋。あんぽ柿をチャツネにした、少しシナモンの香りがする甘いソースが使ってあるので、全体的にふんわりと甘い仕上がりで、コースが60歳前後を対象としていることもあり柔らかな食感です。


野菜はマリネっぽく酢漬けにされていました。


パンも提供されたのですが、バターは利尻昆布とマルドンというイギリスの海塩を加えてあり、ほのかに磯の香りです。


続いて登場したのは紙コップ。なんだ?と思い中身を見てみると……


スープでした。これは「蟹と蛤のビスク、ようていJA産ユリ根のコンポート」


大きなワタリガニの身や蛤の身と一緒にユリ根のコンポートが入っていました。「ようてい」とはユリ根裁培で有名な地域のJAのこと。蟹の濃厚なスープと蛤の煮汁が合わさっており、濃厚さはありつつも塩っぽい感じはなく、アメリケーヌソースなどが好きな人ならたまらない仕上がりです。


……と、ここで登場したのが4種類のお酒。食堂車ではドンペリや「くどき上手」という日本酒が提供されるとのこと。「くどき上手」は辛口ですがフルーティーで飲みやすいと評価されているお酒で、今回の料理の中にも使われているそうです。


実際にその場で調理が行われる一幕もありました。


お皿に盛りつけられているのは「日本海産あんこうのサルティンボッカ、香草入り手打ちパスタ添え」


ソースがかけられ……


テーブルに到着。


トッピングとしてパルメザンチーズとからすみが振りかけられています。


日本海産あんこうは歯を立てる瞬間にプリプリとした食感を感じますが、非常に柔らかく、ふわりとソースに使われた日本酒「くどき上手」の香りを感じます。あんこうの上には生ハムが載せてあり、からすみやチーズが使われていることからもお酒に合いそうな一品となっていました。


手打ちパスタは柔らかめで茹でられており、3種類の香草が入っているので、パスタそれぞれが別の味になっています。


メインの肉料理も盛りつけられていきます。


出てきたのは「トワイライト厳選の黒毛和牛のグリエと牛舌の煮込み、里芋のムーステリーヌ」


手前にあるのが牛舌の煮込み。表面にはオレンジの皮やローズマリーをあえたものがトッピングされています。


牛舌は噛む必要がないほどにトロトロ。ソースの旨みとオレンジなど柑橘類の皮とローズマリーの香りが相性よく口の中に広がります。


牛舌の下に敷いてあるのは里芋のムーステリーヌ。マッシュポテトよりも粘りがあり、味もなんとなく和の雰囲気。ソースにも里芋のゆで汁が使ってあるそうです。


黒毛和牛フィレ肉のグリエ。


上には赤ワインを使ったバターソースが載せられていたのですが、香草やマリネのようなほのかな酸味も感じられ、これだけパンにつけて食べてもおいしそう……と思わずにはいられませんでした。


赤ワインバターと柔らかな黒毛和牛の組み合わせのよさはすさまじく、ほとんど噛まずに食べられるお肉に感動していたのですが、伊福部さんによると今回用意されたお肉は本来使われる予定のものとは別モノで、本当のディナーコースはさらによいお肉が使われるとのことでした。


デザートには「『プレヤデス』パルフェ・グラッセ、マカロン、果実のサラダ、ハスカップのソース」


見た目がまずかわいいデザートですが、てっぺんに載せられている果実のサラダはトワイライトエクスプレスのステンドグラスをイメージしているそうです。トワイライトエクスプレスはクラシカルで美しい車両を持っており、何か残したいということで食堂車「プレヤデス」の名前が付けられる共にこんなデザインがなされたというわけです。赤いソースは北海道で有名なハスカップが使われており、泡立てたミルクに「ドランブイ」というウイスキーにハーブと蜂蜜を加えたお酒で風味をつけたものが添えられています。


女性に人気のマカロンも添えられています。


食堂車という制限された環境のなかで溶けやすいアイスクリームを提供するのは難しく、しかしやはりデザートには冷たいものを提供したいと考えた結果が、生クリームをたっぷり使い、アイスクリームよりもキメ細かく滑らかな氷菓「パルフェ・グラッセ」。細かくカットされた果物のサラダはさっぱりとした口当たりで、ハスカップのソースは「このソースはすごい。こんなにおいしいハスカップは食べたことがない」と声があがるほどの仕上がりでした。


試食の最後には今回提供されたメニューのアイデアスケッチも公開されました。


こんな感じで細かく料理のアイデアが描かれています。北海道イクラのコルネは白ごまの入ったグラスに挿しての提供でしたが、そのほかスタンドに挿しての提供も考えられていた様子。


なお、さよなら特別メニューの提供は2月から。また同時に車内限定でオリジナルプレミアムグッズも販売される予定で、オリジナル化粧箱ピンバッジ(1500円)など好きな人にはたまらないグッズも登場します。


・つづき
なんと「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」が2017年・春に新登場、寝台列車内はこうなる - GIGAZINE

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in 取材,   試食, Posted by darkhorse_log

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