「SSD」を簡単に理解できるフォームファクタ(形状・規格)まとめ
By SamsungTomorrow
長らくストレージの主役と言えばハードディスクドライブ(HDD)でしたが、近年、SSD(solid state drive)がその座を奪いつつあります。HDDを圧倒する性能で急速に普及するSSDですが、まだまだ過渡期にあるためサイズ・形状・端子などの規格は多種多様。なんとなく難しいと感じられるSSDを簡単に理解できるようフォームファクタでSSDを分類したまとめがこちらです。
SSD Form Factors: Everything You Need to Know - TechSpot
http://www.techspot.com/guides/768-ssd-form-factors/
◆サイズ
SSDは主としてノートPCのHDDを代替する用途で登場しました。下の写真はノートPCに搭載され始めたころのSSDで、ケースには入っておらずサーキットボード上のメモリチップやコントローラーがむき出しになった状態でした。この最初期のSSDのコネクタにはハードディスクでも取り入れられているSATAが採用されています。2.5インチHDDの代替SSD(右)が一般的なSATAコネクタなのに対して、1.8インチHDDの代替SSD(左)はより小さなMicro SATAというコネクタが採用されています。
SSDの部材のうち、最も大きな面積を占めるのはメモリチップです。メモリチップやコネクタの配置や基板サイズなどのフォームファクタ(形状規格)はJEDEC(Joint Electronic Device Engineering Council)によって基準が策定されているため、SSDのメーカーはJEDEC基準に合わせて製品を作っています。SSDのサイズはメモリチップの搭載量に合わせて変更されるため、大容量のSSDで大量のメモリチップが搭載される場合には大きな基板が用いられることもあります。
写真赤枠がメモリチップ。
SATA接続タイプのSSDは一般的な3.5インチHDDよりもサイズは小さくなります。多くのノートPCやほどんどのデスクトップPCでは2.5インチサイズのSSDが搭載されています。これは、2.5インチHDDを代替するのに用いられることが多かったというSSDの普及してきた経緯に由来します。
By Yutaka Tsutano
しかし、写真のようにPCIeを使って接続する、より高速・高性能なSSDは比較的大きなサイズです。PCIeはグラフィックボードを挿すために使われるコネクタなので、PCIeの高性能SSDの中にはグラフィックボードくらいの大きさを持つものもあります。
その他にも、製品に合わせた特注モデルのSSDも一部には見られます。これは、SSDがメモリチップとコントローラーという小さな部品から構成されていてそのサイズ・形状を自由自在にデザインできるからこそ。プラッタとヘッドが必要なHDDに比べて、SSDは自由度の高い設計が可能となっています。
◆コネクタ
SSDをコンピュータに装着するためには、そのコンピュータに合ったコネクタを選ばなければ、SSDを使用することはできません。そのためSSDのインターフェースコネクタ(接続端子)の規格は最も大切なフォームファクタと言えます。
初期のSSDはHDDと同じ形状のSATAコネクタ(写真下)を採用していましたが、より小さなPCへの搭載できるように独自の形状(写真上)へと進化してきています。
下の写真は現在のノートPCや小型のモバイル端末などで一般的なmSATA(Mini SATA)と呼ばれるコネクタ。写真左が標準サイズ(縦5.08センチ×横2.99センチ)のmSATAで、写真右はメモリチップを多く搭載できるようにカスタマイズされたモデル。mSATAのSSDは「カード」と呼ぶのがぴったりの小さく薄いパーツです。
mSATAはノートPCに広く採用されているMin PCI Expressスロットに装着するための規格で、ノートPCだけでなくNUCなど一部のデスクトップPCにも採用されています。なお、前述した1.8インチサイズのSSDでよく用いられているMicro SATAとmSATAは非常によく似た名前ですがまったく別物なので注意が必要です。
モバイル端末に使われる多くのSSDがmSATAコネクタモデルですが、より小型化・薄型化を狙って新しい規格である「NGFF(Next Generation Form Factor)」が2012年にIntelによって提案され、その後、名前を「M.2」に変えて正式な規格として誕生しています。M.2はSATAとPCIeの両方をサポートしており、さまざまなSSDのサイズが策定されており、今後、mSATAに取って代わる形で普及することが予想されています。
なお、コネクタにもメーカー独自のモデルが存在します。例えば、AppleのMacBook Airでは全てのモデルにSSDが採用されていますが、その形状はそれぞれ微妙に異なっています。Appleは一般的なJEDEC準拠のコネクタではなくオリジナルのコネクタを採用しており、2010年から2012年まではSATAでしたが、2013年にはさらなる高速化のためにPCIeに切り替えているとのことです。
さらに、SSDのなかにはコネクタにUSB規格を採用したものまで登場。SSDはどんどん身近な存在になっています。
HDDに比べて容量単価が極めて高いSSDは、当初、高性能PCに限って採用されていましたが、その圧倒的な高性能のおかげで急速に普及が進み、普及が進むことで容量単価がどんどん下がっていくという好循環が生じた結果、今では手軽に導入できるパーツになりつつあります。今後、さらに容量単価が下がれば、すべてのHDDをSSDが置き換える日が来るかもしれません。
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