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GoogleがオープンソースのAndroidから利益を生み出すカラクリとは?

small>By etnyk

Googleは「オープンソース」という言葉を自社の製品に対して繰り返し使用するほどオープンソースにこだわりを持っていて、スマートフォンやタブレットなど携帯情報端末用の「Android」もGoogleがオープンソースで提供している無料プラットフォームの1つです。オープンソースであり無料であるならば、Googleは一体どうやってAndroidから利益を得ているのか、そのカラクリをThe Guardianが公開しています。

How Google controls Android's open-source software | Technology | theguardian.com
http://www.theguardian.com/technology/2014/jan/23/how-google-controls-androids-open-source-software

オープンソースのAndroidは誰もが無料でダウンロード可能となっていますが、「Maps」「Gmail」「Google Play」などGoogleの公式アプリは含まれていません。アプリを購入できるオンラインストア「Google Play」が実装されていないAndroidは機能的に不完全であると言えます。

Google PlayやMapsなどGoogleの公式アプリをデバイスに実装するには、デバイスの製造メーカーが「Google Mobile Services(GMS)」と呼ばれるライセンスを取得しなければいけません。製造メーカーはデバイス毎にGMSライセンスを購入する必要があり、The Guardianが入手した情報によると、GMSライセンスはタブレット10万台につき7万5000ドル(約770万円)かかり、1台に換算すると約75セント(約77円)になります。

By Asim Bharwani

毎日100万台以上のAndroid搭載端末がGMSライセンスを取得しており、ライセンス料だけで四半期毎に約1億ドル(約103億円)を売上げていることになります。The Guardianが接触している有力な情報筋によると、GoogleはGMSのライセンス料に関して明確なコメントを避けているそうです。

ソース元の人物は「オープンソースを自社の売りにしているGoogleの評判が傷つくのを避けるため、GoogleはGMSライセンスに関する情報を公開していません。ライセンス料は、製造メーカーの規模や注文したデバイスの数を考慮して決定され、明確な料金表など存在しないのです。ライセンス料の交渉は個人間の取引で完結し、詳細については一切不明となっています」と発言。

OEMメーカーの中でも大きな企業は適切なプロセスを経てGMSライセンスを取得していますが、小さなメーカーはGMSライセンスを取得せずにGoogleのアプリをAndroidに搭載しています。GMSライセンスを取得せずにGoogleのアプリをデバイスに搭載することは違法である一方、GoogleにはGMSライセンスの取得を監視する部署が設置されていないため、小さなメーカーがGMSライセンスを申請しないことは黙認されているようです。

By Jake Maymar

2010年にSkyhookが「GoogleがSkyhookではなくGoogleの技術をAndroid端末で採用するようにMotorolaに対して要請している」とGoogleを提訴した一件では、Googleが自分たちの要求をOEMメーカーに飲ませるために「Compatibility Standards(互換性標準)」を振りかざしていたことが判明。Compatibility StandardsはGMSライセンスを取得するのに、一番最初にクリアしなければならないテストの1つです。しかしながら、小さなメーカーがCompatibility Standardsをクリアすることは非常に難しいため、結局ライセンスを取得することなくデバイスにGoogleのアプリをインストールする事態を招いています。

By Adam

GMSライセンスが有料で配布されていることが事実だとすれば、Androidがオープンソースであるという主張は部分的に正しいだけであることになります。また、AndroidはオープンソースであるLinuxやMySQLと違い、ソフトウェアの方向性を変えるような重要な変更はGoogle内部の人間でなければできないので、本当にオープンソースと言えるのか、疑問符を付けざるを得ないとのことです。

2013/01/25 12:35 追記
The GuardianがGoogleから明示された情報によると、GMSライセンスを取得すること自体に費用はかからないが、取得のためのテストに費用がかかるとのことです。製造メーカーは、テストを行うFoxconnやArchosにテスト料を支払うことになっています。

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