サイエンス

香港の研究者らが脳卒中治療のための点鼻スプレーを開発


香港大学の研究チームが、虚血性脳卒中の応急処置に利用できる点鼻スプレーを開発したと発表しました。このような点鼻スプレーは世界初とのことです。

HKUMed develops world-first nasal spray as potential prehospital emergency aid for ischemic stroke, animal studies show reduction in brain damage, clinical trials in the pipeline - Press Releases - Media - HKU
https://www.hku.hk/press/press-releases/detail/29102.html


Hong Kong researchers develop ‘world-first’ nasal spray for rapid stroke aid | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/hong-kong/health-environment/article/3352496/hong-kong-researchers-develop-world-first-nasal-spray-rapid-stroke-aid

今回開発された点鼻スプレーは「NanoPowder」と呼ばれる薬剤を届けるものです。NanoPowderは鼻粘液に接触すると一定の塊となり、鼻から脳への経路を移動し、血液脳関門を迂回して脳に直接届くとのこと。従来の中枢神経系を標的とする薬剤は血液脳関門を通過できないため治療効果が落ちていたそうですが、この薬であれば効率的に薬剤を届けられるそうです。

開発チームのアヴィヴァ・チョウ・シンファン教授は、現在の治療法である血栓回収術や、血栓を溶解するための組織プラスミノーゲンアクチベーターの静脈内投与は病院でしか実施できず、治療が成功しても半数以上の患者は十分な機能回復を得られていないと説明しています。


動物実験では、脳卒中発症後30分以内に点鼻スプレーを投与することで、虚血性梗塞を80%以上軽減し、神経機能および運動機能を効果的に保護できることが実証されているとのこと。

香港では年間約2万5000件の新たな脳卒中が発生しており、その80%は脳内の血管が血栓で塞がれる虚血性脳卒中です。中国本土では年間410万件の新規患者が報告されており、2500万人が脳卒中による障害を抱えています。

研究を主導したシャオ・ズートン博士は、「現在、病院到着前に使用できる緊急神経保護薬は存在せず、脳卒中治療は時間との戦いです。このスプレーは、そのニーズに応えるために開発されました。このスプレーにより、患者は病院へ搬送される途中から早期の神経保護を受けることができ、虚血状態での脳細胞の死滅を大幅に遅らせ、その後の治療のための貴重な時間を確保できます」と述べました。


この点鼻スプレーは第51回ジュネーブ国際発明展において「中国代表団特別大賞」と「審査員特別賞」を受賞。シャオ博士は「脳卒中のような一般的な疾患に対する緊急治療薬という役割を踏まえれば、当局による優先審査が行われ、5~7年以内に医薬品として承認登録されることを期待しています」と語りました。

研究チームは2030年までに臨床試験を開始する予定です。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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