政府機関のITインフラがサイバー攻撃を受けてルーマニア全土の不動産の登記や取引が停止

2026年7月、ルーマニアの地籍管理や不動産の登記を担うルーマニア国家地籍・土地登記庁(ANCPI)のITインフラを標的としたサイバー攻撃が発生し、ルーマニア国内の不動産登記サービスや不動産取引が事実上停止に追い込まれる事態となりました。この一件は、行政機関へのサイバー攻撃が国全体を揺るがすリスクとなる可能性を示唆するものです。
ANCPI - Agentia Nationala de Cadastru si Publicitate Imobiliara
https://www.ancpi.ro/
Romania races to restore land registry after cyberattack disrupts property market | The Record from Recorded Future News
https://therecord.media/romania-cyberattack-land-registry
Land Registry Cyberattack Exposes Holes in Romania’s Digital Defences | Balkan Insight
https://balkaninsight.com/2026/07/21/land-registry-cyberattack-exposes-holes-in-romanias-digital-defences/bi/
2026年7月14日にANCPIがサイバー攻撃を受けたため、ルーマニアの全国的な電子地籍・土地登記プラットフォームを含むITインフラが機能停止に陥りました。これによりオンラインの土地登記サービスやメールシステム、公証人・弁護士・地籍専門家・ANCPI職員などが使用するアプリケーションが中断され、ANCPIは新たな不動産取引の登録や処理ができなくなっています。
ルーマニア国家サイバーセキュリティ総局(DNSC)のダン・シンピエン局長は、今回のサイバー攻撃は金銭目的のものとみられると主張。当局がパッチを当てるよう警告していた既知のソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性と、以前に流出した認証情報を悪用して実行されたと説明しています。
サイバー攻撃はそれほど複雑なものではなかったそうで、これまでのところ個人データや土地登記証明書が盗まれた証拠は見つかっていません。しかし、攻撃者らはユーザー認証情報やアプリケーションのソースコードなど、限られた量の情報を外部に持ち出した疑いがあるとのこと。
実際、サイバー攻撃の犯行声明を出したByteToBreachと名乗るハッカー集団は、ANCPIの内部データベースやシステムのソースコードをフォーラムで販売すると宣伝しています。ByteToBreachは北アフリカのアルジェリアを拠点としており、首謀者とみられる人物は政府・銀行・航空会社のデータを大量に販売していることがわかっています。

ANCPIに対するサイバー攻撃は、ルーマニア政府が新築住宅の付加価値税を9%から21%に引き上げる直前に行われました。8月1日以降は税金が大幅に上昇するため、税金の変更前に不動産の登録を済ませたい人もいましたが、サイバー攻撃によって処理が進まない状況に陥っています。
ルーマニアの首都・ブカレスト郊外にある新築マンションの一室を購入したステファニア・グガ氏も、今回のサイバー攻撃に巻き込まれた人物の1人です。「8月1日までに取引を完了させて高い付加価値税率を支払わずに済ませたかったんです。でも、もう1週間以上も何も進展がなく、期限に間に合うかどうかもまだわかりません。問題はもはや私次第ではなく、ルーマニアの国家機関にあるんです」とグガ氏は語りました。
サイバーセキュリティ専門家のアンドレイ・アヴァダネイ氏は、「これはルーマニアにおける行政のデジタル化という比較的短い歴史の中で、間違いなく最も深刻なサイバーセキュリティ事件と言えるでしょう。今回の攻撃は、国内すべての不動産に関する記録も含め、重要な国家インフラに分類されるデータに影響を及ぼします。これは不可欠な公共サービスを混乱させ、不動産取引や行政手続きが脆弱な状態にある数十万人の市民に直接的な影響を与えています」と述べました。
ANCPIは過去20年間でデジタル化に約7億1000万レウ(約250億円)を投じてきましたが、このうちサイバーセキュリティに割り当てられたのはわずか0.2%に過ぎないとのこと。アヴァダネイ氏は、ANCPIがサイバーセキュリティに継続的に投資して強力な予防措置を実施していれば、今回のサイバー攻撃は防げた可能性が高いと指摘しています。

ANCPIは公式サイトの声明で、今回のサイバー攻撃は同機関の技術的または法的データベースに損害を与えておらず、中核となる土地登記記録は改ざんも破壊もされていないことを強調しています。また、アプリケーションをルーマニア政府のクラウドに移行し、専門家による包括的な整合性チェックの後、サービスを段階的に復旧させる予定だそうです。
ルーマニアの暫定デジタル化担当大臣であるイリネウ・ダラウ氏は、「この事件は行政機関全体にとっての警鐘となるべきです」「デジタル変革とサイバーセキュリティを真の国家優先事項とする時が来ました。これは、公共部門で働くサイバーセキュリティ専門家により良い給与を提示し、行政機関が重要システムを保護するのに必要な専門知識を持つ人材を引きつけ、定着させることも意味します」と述べました。
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in ネットサービス, セキュリティ, Posted by log1h_ik
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