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NASAの古い衛星Swiftを救う「宇宙のロードサービス」ミッションが進行中


老朽化したNASAの人工衛星「Neil Gehrels Swift Observatory」を救うため、民間企業Katalyst Space Technologiesのロボット宇宙船「LINK」が打ち上げられ、軌道上でSwiftを追いかけるミッションが進行しています。

Swift Boost Mission - NASA Science
https://science.nasa.gov/mission/swift/swift-boost-mission/


Katalyst's satellite rescue mission is now in pursuit of NASA's Swift - Ars Technica
https://arstechnica.com/space/2026/07/katalysts-satellite-rescue-mission-is-now-in-pursuit-of-nasas-swift/


自分で軌道を上げる推進装置を持たない人工衛星は、放っておくと少しずつ大気の抵抗を受け、最終的には大気圏に再突入して燃え尽きてしまいます。


Swiftは2004年に打ち上げられたNASAの宇宙望遠鏡で、宇宙最大級の爆発現象であるガンマ線バーストなどを観測してきました。古い衛星ではあるものの、可視光、紫外線、X線、ガンマ線を扱う複数の望遠鏡を備えていて突発的に起こる天文現象を素早く追跡でき、まだ科学的な価値が残っています。

近年は太陽活動が活発になり、地球の上層大気が膨らんだことで衛星にかかる抵抗が増え、Swiftの軌道の低下が当初の見込みより早く進んでいました。2026年の夏には大気圏に再突入してしまうという計算結果が出たことを受けて、Swiftの運用チームは観測対象を減らしたり、衛星の向きを変えたりして空気抵抗を抑えましたが、根本的な解決には軌道を押し上げる必要がありました。

by NASA’s Goddard Space Flight Center/Michael Shoemaker and Francis Reddy

そこでNASAは2025年9月、アメリカ・アリゾナ州のKatalyst Spaceに3000万ドル(約43億円)規模の契約を発注しました。Katalystは1年未満でLINKを設計、製造、試験、打ち上げまで進め、さらに軌道上でSwiftに接近してつかみ、より高い軌道へ持ち上げる必要があります。通常の衛星打ち上げではなく、すでに宇宙を飛んでいる衛星を後から助けに行く「宇宙版ロードサービス」といえるミッションです。

LINKは2026年7月3日、南太平洋のマーシャル諸島クェゼリン環礁から打ち上げられました。打ち上げにはノースロップ・グラマンの空中発射ロケット「Pegasus XL」が使われ、改造されたL-1011航空機「Stargazer」が高度約4万フィート(約12.2km)までロケットを運び、空中でPegasus XLを切り離して宇宙へ送り出しました。

by NASA/Ron Beard

軌道投入後、KatalystとNASAのチームはLINKとの通信確立に成功しました。LINKはすぐにSwiftをつかむわけではなく、まず推進系、センサー、航法システムなどの点検を数週間かけて行う予定です。点検が完了するとSwiftに接近し、21年以上飛び続けている衛星の状態を調べてから、ロボットアームで捕獲して軌道を持ち上げる流れになります。

LINKはSwiftのように捕獲されることを前提に設計されていない衛星をつかむため、3本のロボットアームを搭載しています。LINKは約1カ月かけてSwiftの近くまで移動し、その後さらに接近して捕獲を試みる予定です。捕獲に成功した場合、Swiftを高度約600kmの目標軌道まで持ち上げる作業にはさらに約60日かかるとされています。

衛星を修理したり、燃料を補給したり、軌道を押し上げたりする「軌道上サービス」は、人工衛星を使い捨てにしないための重要な技術として注目されています。高価な衛星を宇宙で延命できれば、新しい衛星を一から作って打ち上げるより低コストで済む可能性があります。Swiftの場合も、5億ドル(約716億円)規模の観測衛星を3000万ドル(約43億円)規模のミッションで延命できる可能性があるというわけです。

ただし、Swiftはもともと宇宙でつかまれることを想定して作られた衛星ではありません。LINKが安全に接近し、姿勢を乱さずに捕獲し、長期間かけて押し上げる作業にはリスクが残ります。NASAはミッションの進行状況をSwiftブログで引き続き更新するとしており、宇宙から落ちかけたベテラン観測衛星が無事に高い軌道へレッカー移動されるかどうかは今後数カ月の作業にかかっているとのことです。

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