メモ

「なぜ最初は素晴らしかった企業が理念を失って変貌してしまうのか」という問いに『リーン・スタートアップ』の著者が回答


最初は素晴らしい理念を掲げていたはずの企業が成長するにつれ、徐々に当初の理念から逸脱していく様子を見たことがある人もいるはず。日本でも話題となったビジネス書『リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす』の著者であり起業家のエリック・リース氏が、一体なぜ優良企業が衰退してしまうのかについて、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsで質問を受け付けています。

I'm Eric Ries, author of "The Lean Startup" and new book "Incorruptible" – AMA | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=48477135

リーン・スタートアップとは、低コストかつ短期間で必要最低限の製品を開発し、リリース後の顧客の反応を見て実践・検証を短いサイクルで回していくという手法です。リース氏が書いた『リーン・スタートアップ』は、無駄がない起業プロセスであるリーン・スタートアップを広めるために書かれた書籍で、日本でもベストセラーとなりました。


そんなリース氏は2026年5月、新たなビジネス書である『Incorruptible: Why Good Companies Go Bad and How Great Companies Stay Great(腐敗しない:なぜ優良企業が衰退するのか、そして優れた企業はなぜその地位を維持し続けるのか)』を刊行しました。この本の主な焦点は、「なぜ優良企業が徐々に衰退していってしまうのか」という点です。


リース氏はHacker Newsに自ら立てたスレッドで、「私は、優良企業が創業時の理念から徐々に逸脱していく様を目の当たりにしてきました。誰かが突然悪に染まろうと決めたからではなく、企業が築かれた構造そのものが、ゆっくりと彼らをその方向へと引きずり込んでいったからです。私はその引力を『金融の重力』と呼んでいます。私たちは皆、愛着や尊敬の念を抱いていた企業がかつての面影を失い、見る影もなく崩壊していく様を目の当たりにした経験があるでしょう。かつての面影は消え失せ、あるいはそれ以上に悲惨な状況に陥ることもあります。私はその理由を知りたかったのです。そしてこうした事態を防ぐため、私たちに何ができるのかを知りたかったのです」と述べています。

リース氏の新著『Incorruptible』では組織を形作る目に見えない力について、そしてコストコパタゴニアノボノルディスクといった企業がいかにして「金融の重力」に逆らい、当初の理念を数十年にわたって維持しながら繁栄し続けられているのかについて記したとのこと。


Hacker Newsではリース氏にさまざまな質問やコメントが寄せられています。あるユーザーはコストコが組織構造をうまく維持できた理由について、組織のトップが正しい意見を持っていたからだろうと主張。これに対しリース氏は、自分もかつては同じ誤解を持っていたものの、コストコが存続できたのはリーダーシップや企業規模のおかげだけではなかったとしています。実際のところ、ウォール街は何度もコストコの企業理念を破壊しようと試みたものの、そのたびに「コストコの独特な構造」が抵抗力を発揮したとリース氏は述べています。


自らもスタートアップを立ち上げた経験があるという別のユーザーは、重要なのは「創業者が去った後の経営陣が、創業者のビジョンや価値観を同じように共有しているかどうか」ではないかと述べています。リース氏も、確かに『Incorruptible』ではほとんどの企業が後継者育成の試練に失敗している現実を突きつけていると認めつつ、金融の重力にあらがって組織を変革することは可能だと主張。「私が『青写真』と呼んでいる本書の後半部分では、こうした組織を私たち全員が働きたいと願う、長期的かつ使命に根ざした腐敗のない職場へと変えるために、私たちが利用できるガバナンスとリーダーシップのツールについて論じています」と述べました。


またリース氏は、ほとんどの企業にとって「ミッション主導型(ミッションドリブン)」という言葉はまったくのうそであり、せいぜい「ミッションに希望を抱いている」程度だと指摘。ミッションに沿ったビジネスを実践するには経営システムやリーダーシップ、構造的要素を変える必要があると主張しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
トヨタの生産方式をベースにしたビジネス理論「リーンスタートアップ」の提唱者がKickstarterで限定著書を発行 - GIGAZINE

なぜ会社ではわかりにくい「ビジネス用語」が使われるのか? - GIGAZINE

「相乗的なリーダーシップ」「新たなレベルの適応的一貫性」などのデタラメなビジネス用語を好む労働者は仕事の能力が低い - GIGAZINE

わざと「恥知らず」になる戦略が有効であることがビジネスや選挙を通じて明らかになりつつある - GIGAZINE

最も重要なビジネス上の意思決定に集中する方法 - GIGAZINE

駆け出しのスタートアップが投資家にがっつりアピールするためのプレゼンの仕方とは? - GIGAZINE

「スタートアップが成功するためには」をベンチャーキャピタル代表が語る - GIGAZINE

ピーター・ティールの「ゼロ・トゥ・ワン」のようなビジネス書は「読むだけ時間の無駄」との主張 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article The author of 'The Lean Startup' answers….