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OpenAIのミッションが徐々に変化してついに「安全に」という言葉まで削除されたとの指摘


チャットAIのChatGPTや動画生成AIのSoraを開発するOpenAIは、非営利団体が傘下の営利企業を管理・保有するという構造となっていますが、2026年中の新規株式公開(IPO)を狙うなど営利企業としての性質を徐々に強めています。そんな中、OpenAIがアメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)に提出していたミッションステートメントの文言から、2024年版でついに「safely(安全に)」という言葉が削除されたことが指摘されています。

OpenAI has deleted the word ‘safely’ from its mission – and its new structure is a test for whether AI serves society or shareholders
https://theconversation.com/openai-has-deleted-the-word-safely-from-its-mission-and-its-new-structure-is-a-test-for-whether-ai-serves-society-or-shareholders-274467


The evolution of OpenAI’s mission statement
https://simonwillison.net/2026/Feb/13/openai-mission-statement/

OpenAIは2015年に非営利のAI研究機関として設立され、当初はAIの悪用を防ぐとともに研究結果を公開し、世界中の人々がAIの恩恵を受けられるようにすることが目的でした。

しかし2019年には子会社として営利企業の「OpenAI Grobal LCC」が設立され、非営利組織が営利部門を管理するという形態に転換。この際、Microsoftは10億ドル(当時のレートで約1080億円)を投資しており、その後もOpenAIとのつながりを深めていくこととなります。

OpenAIは2024年、株主の利益追求を第一に置けない状況を打破するため、「非営利組織の下に営利部門の子会社がある」という形態を改めて、営利企業主導の体制に転換すると発表。この方針は多方面からの反発を浴びて断念されましたが、2025年10月には組織再編が実現し、非営利団体の下に公益法人(PBC)であるOpenAI Group PBCが置かれるという形になりました。

OpenAIが組織再編、Microsoftとは引き続き提携するもののOpenAIが展開予定のハードウェアは対象から除外 - GIGAZINE


OpenAIをはじめとする非営利法人は免税資格の要件を満たしていることを確認するため、IRSに非営利法人の使命や活動、財務状況に関する詳細を記載した書類(納税申告書)を提出することが義務づけられています。この中には、企業理念を実現する判断基準であるミッションステートメントを記す項目も含まれています。ミッションステートメントの内容は、免税資格を維持するに値するかどうかの判断に活用され、法的拘束力を持っているとのこと。

そんなOpenAIのミッションステートメントの内容が、年を追うごとに変化していることが指摘されています。ソフトウェアエンジニアのサイモン・ウィリソン氏はOpenAIのミッションステートメントをGithub Gistで公開し、年ごとの変化をチェックできるようにしています。

Revisions · OpenAI mission statements · GitHub
https://gist.github.com/simonw/e36f0e5ef4a86881d145083f759bcf25/revisions


2016年に提出された最初のミッションステートメントには、「OpenAIの目標は財務的リターンの必要性に縛られることなく、人類全体にとって最も有益な方法でデジタル知能を進歩させることです。AI技術が21世紀を形作る一助となると考え、世界が安全なAI技術を構築し、AIの恩恵が可能な限り広く均等に分配されるよう支援したいと考えています。私たちはより大きなコミュニティの一員としてAIを構築しようとしており、その過程で計画と能力をオープンに共有したいと考えています」と記されています。


しかし2018年のミッションステートメントでは、「より大きなコミュニティの一員としてAIを構築しようとしており、その過程で計画と能力をオープンに共有したいと考えています」という部分が削除されました。


また、2020年には「人類全体にとって最も有益な方法で」という文言から「全体にとって」という表現が省かれ、2021年には「汎用(はんよう)人工知能(general-purpose artificial intelligence)」という文言が初めて登場。


2024年のミッションステートメントではそれまでの文言がほとんど削除され、「OpenAIの使命は、AGIが人類全体に利益をもたらすのを確実にすることです」という短い文章になりました。すでに「財務的リターンの必要性に縛られることなく」といった非営利団体としての姿勢や、「安全」を重視する方針は掲げられていません。


アメリカのタフツ大学で経営学教授を務めるアルヌール・エブラヒム氏は、OpenAIのミッションステートメントの変更について、自社製品の安全性よりも利益を優先していることを明確に示していると指摘。OpenAIの取締役会が安全性確保の使命を放棄し、カリフォルニア州やデラウェア州の司法長官がOpenAIの再編を許した結果、国民が重荷を背負うことになったと主張しました。

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in AI, Posted by log1h_ik

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