東野圭吾作品初のアニメ映画『クスノキの番人』を伊藤智彦監督はいかに作り上げたのかインタビュー

小説家・東野圭吾さんの作品として初めてのアニメ映画『クスノキの番人』が2026年1月30日(金)から公開中です。本作を手がけたのは『ソードアート・オンライン』シリーズや『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』『HELLO WORLD』などの作品で知られる伊藤智彦監督。東野作品の映像化はすでに何作品も行われていますが、アニメ映画はどのように作り上げていったのか、お話をうかがってきました。
映画『クスノキの番人』2026年1月30日(金)公開
https://kusunoki-movie.com/

GIGAZINE:(以下、G)
東野圭吾作品のアニメーション映画化が初というのは意外でした。監督は東野さんとは何度かお会いになっているのでしょうか?
伊藤智彦監督(以下、伊藤):
制作中、アフレコ見学にいらっしゃった際にご挨拶させていただいたことがあって、あとは完成披露試写の時にも来ていただいていて……実際に会ったのは3回ぐらいだったと思います。東野さんの作品の舞台にはモデルがあるということだったので、『クスノキの番人』でもモデルはどういう場所なのかと伺いました。漠然と東京都あきる野市あたりということだったので、実際に現地を自転車で走り回ったりしました。
G:
監督自らロケハンを。
伊藤:
はい。それで分かったのですが、原作の中では銭湯が出てくるんですけれど、あきる野市には温泉はあっても銭湯がなかったんです。「どこのイメージだったんだろう」と思い、現地を走り回りました。それで「こことここを参考にして神社にしよう」と舞台となる場所の設定を考えていきました。

G:
監督は2019年ぐらいからこの企画に携わっておられるということですが、企画の第一印象はどうでしたか?
伊藤:
当初は「東野圭吾作品のアニメをやろう」という内容でした。そのあと、『クスノキの番人』の出版が決まって作品を読ませてもらい、「これならアニメに向いているかもしれない」とぼんやりと思ったのがスタートでした。

G:
アニメ化にするにあたって、当初から形態は映画を想定されていたのですか?
伊藤:
やるなら映画しかないと考えていました。
G:
原作を読んで、どれぐらいの長さになりそうだというイメージも浮かぶものなのですか?
伊藤:
そうですね……ひとまず、2時間は絶対に切らないといけないということは考えていて、本当は脚本段階では今よりもうちょっと短い印象でした。でも、間尺をあまり切りすぎることはできないし、主人公がいわゆるヒーロー的なキャラクターではなくて周りの人を生かすような形になるので、これは110分より短くするのは無理だというのは、どこかで覚悟しました。
G:
監督としては、ある程度は短く縮めようという思いがあったのでしょうか。
伊藤:
アニメ映画は100分ぐらいが適正なのではないかと思っています。もちろん、それ以上に長い作品もありますが、たとえば『シン・エヴァンゲリオン劇場版』だったらエヴァだからこそ許されているというところはあるじゃないですか。それに、2時間を超えてくると、見ている人も集中力が持たないかなと。あとは現実的な部分ですが、お金の問題も……。
G:
なるほど。確かに「2時間」というのは映画制作に携わる方の中で1つのボーダーになっている印象があります。本作の場合、2時間に収めるにあたって苦労した点はありますか?
伊藤:
コンテ段階でもっと長い予定だったものを短くしていく作品もあるようですが、本作の場合、105分ぐらいだろうというところから少し延びた形なので、収める苦労というのではなかったですね。「このカットは難しかったから上がってこないかもしれない」と覚悟して欠番を出した……というのを言い訳にフィルムを整理するところはありましたが、「どうしても削れない」というようなことはありませんでした。
G:
本作には実在する場所もたくさん出てきて、エンドクレジットを見ていても「こんなにいろいろな場所が!」と思ったのですが、監督自ら足を運んだ場所も多いのですか?
伊藤:
そうですね、たとえばあきる野市の隣の日の出町に「羽生家」という立派なお屋敷があるんですが、自転車で走り回っていたら突然出くわしたので「これはぜひ使わせてもらいたい」と思って、自治体に連絡し、取材させてもらいました。外観から中まで、わりとそのまま登場しています。
G:
本作は背景もすごく実在感が高くこだわられていると感じました。これだけすべて作り込むというのは大変なのではないかと思うのですが……。
伊藤:
予告編でも出てくる、クスノキをパンアップで撮っている絵は、美術監督の滝口比呂志さんに美術作業のわりと初めのうちに描いてもらったものです。イメージスケッチみたいなところから始めたのですが、今回はこの描き方でいくということで「水彩で描いてみた」と渡されて、「これは……そのまま受け取ってもいいのだろうか?」と(笑)

G:
(笑)
伊藤:
そこからさらに1カ月後、「こういう風にしました」とすごいのが上がってきたんですが、「これを量産できるのだろうか?」と驚きました。「1カットだけならいいけれど、あと1000カットですよ!?」と。そこで1つ、覚悟が決まったというところはあります。
G:
ジャンプSQ.掲載のインタビューで、演出としての観点として「原作に隙があった方がアニメは作りやすいと思っている」という発言がありました。本作のような小説で、読んでいて「こういった点はアニメ化しやすそうだ」と思う部分はありましたか?
伊藤:
実際に読んだときに、たとえば玲斗がクスノキの祈念を「ウソだろう?」と思ったのに自分では試していないことについては、「試せる機会があれば試したのではないだろうか?」と疑問を持ったので、その点については相談の上で「実際に玲斗が試した方が映画として見た時にスムーズですし、面白さも入れることができる」とお話をさせてもらいました。
G:
小説を読んでいる時点で、映像化したときの最終的なイメージは頭に浮かんでいるのでしょうか?
伊藤:
読み込んでいった結果ですね。玲斗と母のくだりに関しては原作にはない部分で、脚本の岸本卓さんによるサービス精神が発揮されたところです。俺にはそこまでの人情味はなかった(笑)
G:
(笑) 同じく過去のインタビューで、『世紀末オカルト学院』のころは自分が面白いと思ったことをうまく伝えられず、シリーズ構成の水上清資さんから「やりたいことを3つだけはっきりさせる、3つ以上は入れない」と助言をもらったという話がありました。本作で、こういった部分をうまく映像化できれば勝ちだなと思った部分はどういった点ですか?
伊藤:
本作は「ファンタジー感のあるヒューマンドラマ」「地味めな話だからこそアートっぽい画面を作ろう」「柳澤千舟をかっこよく」の3つができればと考えました。
G:
見ていると、画風が極端に変わる部分がありましたが、それが取り組みの一環ということでしょうか。
伊藤:
通常時も、滝口さんの頑張りによってクスノキ周りはちょっと違う部分があるのですが、そこからさらに飛んだ画面を作ったほうがいいだろうということで、個人作家さんに入ってもらったりしています。祈念のところでは、ちょっと昔懐かしい、高畑勲作品の『かぐや姫』方式というか『山田くん』方式というか……。あれはセルを「実線だけ抜いたもの」「仕上げ用の実線がないもの」「色トレス線」の3つの動画を作らなければいけない、3倍手間がかかる方法なのですが、「こっちもやってみようぜ!」と(笑)
G:
やってみたんですか(笑)
伊藤:
手間をかけてやってもらいました。今回は「東野圭吾」という後ろ盾のビッグネームがありますから、絵もはっちゃけなければいけないと思って、普段やらないことにも挑戦しました。

G:
先ほど監督がおっしゃった「柳澤千舟をかっこよく」についてはまさに見ていて実感した部分でもありました。作品内で、千舟さんの存在感がすごいですね。
伊藤:
それゆえの天海祐希さんキャスティングというところもあります。日本のアニメで「印象に残る高齢女性キャラクター」というと、僕の中では『サマーウォーズ』の栄おばあちゃん以降そんなにいないかなと思っていました。

G:
確かに、すごく印象に残るキャラクターです。
伊藤:
それを15年越しに更新したいなと。
G:
天海さんはアフレコで玲斗役の高橋文哉さんと向かい合うようにして演技をしたと耳にしたのですが、その方がかけ合いとしていいという意図の演出だったのでしょうか?
伊藤:
正直なところ、思いつきです(笑)
G:
思いつき!(笑)
伊藤:
アニメを作るときにあまりない「ライブ感」を試したいという思惑があったんです。押井守監督曰く、アニメでそういうのが発生できるのが音響現場だけなので。もちろん、その方がもっと良くなるような気配を感じたというのはあるのですが、「どうやれば『面白い』を再現できるだろう」というのは毎度のように考えているんです。今回はアフレコの時にそういう思いつきがあったので「ちょっと、やってみませんか」と提案したら、意外とスタッフみんなで「面白そう」と乗ってくれました。
G:
なるほど、そういうことだったんですね。
伊藤:
絵を描いているときの「面白」というのは、どうしても作業そのものに時間がかかってしまうんですけれど、音響現場で「面白」を思いついた場合には瞬発的に試せるのがいいところですね。
G:
自分は映画を見ていて、音が残念だと「どうして……」と思ってしまうのですが、本作はそういうところがありませんでした。過去の作品やインタビューなどを見ると、伊藤監督は音と画面を合わせることをかなり意識しておられるのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。
伊藤:
音の師匠……といっていいのかわからないですが、音響監督の岩浪美和さんが仕事のメソッドとして「絶対に、セリフは誰もが聞こえる形で入れろ」とおっしゃっていたんです。「SEとかぶらないようにする」「音楽が盛り上がっても絶対聞けるようにする」と。それを俺も意識するようにしていて、一方で、音楽を聴いてもらうところではちゃんと音楽に委ねて、SEを立たせるところではちゃんとSEに委ねて、というバランスをダビング時に気を付けています。本作の場合、7.1ch制作ですから、劇場で見ていただくと音を色んなスピーカーに割り振っているのを最大限に体感してもらって、楽しんでもらえるのではないかと思います。
G:
家でもわりとしっかりした音響システムを組んで映画を見たりされるんですか?
伊藤:
いえ、まったく(笑) 家で見るときは、耳がダメにならないように音量は上げないようにしています。
G:
ファンタジー要素という点では、本作はそのまま実写にもなりそうなシーンと、完全にファンタジーなシーンが見事に溶け込んでいて、全体がまるで本当にありそうなバランスだと思います。うまく1つにつながっていて浮かないものなのだなと感じたのですが、なにか、監督が意図した部分、意識した部分というのはありますか?
伊藤:
俺の計算通り、ということにしておいてください(笑)
G:
(笑)
伊藤:
たぶん作品の早いうちから、マンガっぽいシルエット感のあるちっこいおじいさん、おばあさんのようなキャラクターと、普通の頭身に近い主人公とが一緒にいる場面が入ってきていて、本来はちょっと歪なはずなんですけれど、それが許されている世界というのを提示しているので「リアルっぽいけれど、リアルではないとこもある」ということを受け入れてもらっていて、ファンタジー性が増していっても違和感がないという点でうまくいった感じなのかなと思います。
G:
ああ~、なるほど。気付かないうちに受け入れていたのかもしれないです。一方でストーリーの方は、わりと玲斗の境遇は重たい部分があり、千舟さんも「圧の強い人が出てきた!」という感じで、序盤にちょっとプレッシャーがありましたが、ここはあえて強めにという意図があるのでしょうか。
伊藤:
昨今の視聴者はストレスをかけられるのが苦手な人が多いとも聞きますし、序盤は玲斗の境遇含めて、圧が強めに感じる部分があるかもしれませんが、結構そのあたりはテンポ感で押していて、辛いと実感しないまま第1幕を駆け抜けていくようにと意識しました。あまり辛い時間を長くしてしまうと「この先見るのはしんどいかも」となってしまうかもしれないので、その前に「なんだか可愛い女の子が出てきて話に絡んできたぞ?」「それで謎を追うことになるのか!」となるように編集をしていました。

G:
伊藤監督は多くのインタビューに答えておられるのですが、その中で「映画らしい映画にしたい」という言葉が出てきました。意外と、その答えの「こういうのが映画らしさ」までは語られていなかったのですが、どういった点で「映画らしさ」を意識していますか?
伊藤:
その答えをはっきりと言えないのが自分の弱点だなと思っています。押井守監督がコラムで、その映画が面白いかどうか宮崎駿監督はスチール写真を3枚見ればわかる、自分(押井監督)は冒頭5分を見ればわかるというように書いていました。それって「どこを切っても絵力の強さがある映画」というのがあるということだと思うんです。たとえば『もののけ姫』とかに如実で、『千と千尋』以降は話が難しくなりますが絵力の強さは本当にすごいと改めて思います。絵力を重ねると映画になるんですよね。でも、俺はたぶんそれができないタイプなので、違うところで勝負するしかないと思っています。
G:
そうなんですか?
伊藤:
押井さんが見たときに何と言われるかわからないけれど、なにか別のアプローチで「映画」にたどり着けないか、毎度思っています。印象的なカットや印象的なシーンから作品を作り上げられるということには、うらやましさというか、ジェラシーがいっぱいあります。「もうちょっとここ、いけるかな?」というところが、なかなかうまくいかないんです。本作では一番接近したように思いますが、理想の映画像にはまだ手が届かない感じがします。
G:
なるほど……。
伊藤:
正直、「映画らしさ」が何なのか、まだ正直わからないです。近づいては遠ざかっていく、砂漠の中のオアシスみたいな感じです。次の作品を作る機会があるかはわかりませんが、いつかたどり着けるといいなと思っています。死ぬ前に「これが『映画』だったんだ、俺は『映画』に最も近づいたんだ」と、その瞬間にしかたどり着けないものなのかもしれないですね。

G:
監督はインタビューで、シリーズものの続き以外の映画という意味ではこれが最後かもしれないと思って仕事をしていた、と語っておられたことがありますが、いろいろな作品を手がけてきた伊藤監督でもそう思ってしまう背景というのがあるのですか?
伊藤:
シンプルに、特に昨今、単発映画があまりヒットしないということです。たぶん、せっかく2000円も払うなら失敗したくないという消費者マインドがあるし、「みんなが見に行っているものを見に行きたい」という気持ちもあると思いますし、つらい思いや悲しい思いをしている映画をわざわざ見に行きたくないというのもあるかもしれません。理由は複合的だと思いますが、その中で、年に1本あるいは数本見る人の選択肢の中に入れてもらうというのは至難の業です。シリーズものの続きや、TVシリーズの延長線上のものであればまだチャンスはあるのかもしれないですが、単発で作るチャンスというのは難しそうだなと。細田守監督にも「映画を毎回作れると思ってはいけない」と言われました。
G:
そういった中で、本作は小説原作の映画ですが、やるにあたってプレッシャーは大きかったですか?
伊藤:
作り始めたときにはプレッシャーはなかったのですが、いざ制作を終えて公開にとなってからプレッシャーを感じるようになりました。「気軽に引き受けてしまったな」と思います(笑)
G:
監督は以前、仕事道具としてiPhoneやiMac、コンテソフトを導入したStoryboard Proなどを挙げておられました。本作制作時に、なにか変化はありましたか?
伊藤:
基本的には液タブとiMac、そしてStoryboard Proは手放せないです。Vコンを作って、自分でセリフを入れて、仮のSEと音楽を入れてという、新海誠さんと同じようなスタイルです。知り合いの監督たちに見てもらってアドバイスをもらっています。映画のエンドクレジットで、スペシャルサンクスのところに並んでいる荒木哲郎監督や津田尚克監督、タムラコータロー監督は、アドバイスや感想をもらった人たちということです。
G:
本作の主人公である玲斗は、ちょっと投げやりな姿勢があったりして「どうしてそんな態度を取るんだ」と思う部分もあります。監督としては、玲斗の描写で気を遣った部分はありますか?
伊藤:
年を取った人間からすると、それこそ千舟のセリフじゃないけれど「愚かな……」ですよね。
G:
まさに(笑)
伊藤:
会社を首になって、その仕返しのように金を盗もうとするなんて、かなり短絡的です。でも、そうであってもなるべくイヤな人間には見えないように、可愛げがある感じになるといいなと思いました。「こいつは、しょうがないやつなんだなと」思ってもらえればと。

G:
まだ20代なりたてぐらいですもんね。ちなみに作品から離れてしまうのですが、玲斗ぐらいのときの伊藤監督はどんな感じでしたか?
伊藤:
どうだっただろう……玲斗よりもちょっとはしっかりしていたんじゃないかと思いますけれど、それは大学に行っていたからかもしれません。バイトはしていたし、親からの仕送りもあって、境遇では玲斗と大きく違っていましたね。
G:
本作にまつわるインタビューで、監督は海外旅行とかにもうちょっと行っておくべきだったと話しておられましたが、いまはあまり行く機会がないですか?
伊藤:
以前は仕事で連れて行ってもらうことがあったんです。海外のアニメイベントに行くというときに手を挙げて、ヨーロッパや北米、アジアも行かせてもらって、それはそれで参考にしつつ、勝手に1人でちょっと脚を伸ばして、現地でしか売っていない本を買ってきて参考資料にしたり。押井さんも、ロケハンに行ってはそこでしか買えない本をカバンに入るだけ買ってくるというエピソードがあったので、なるべくマネをしようと。
G:
なるほど。若いころにできるだけ旅行をしておいた方がいいというアドバイスもありましたが……。
伊藤:
アニメでは異世界も含めた「非日常」を描くことが多いんです。日常であれば、普段の体験を再現するというか、その気持ちを乗っければよいのですが、いざ自分がそういった異世界や異なった環境に放り込まれたとき、完全にひとりぼっちになったという感覚をどうすればいいか。日常生活の中だと、たとえば新学期にまったく新しい土地の学校に行くとかがあれば味わえるかもしれないですが、本当にまったく言葉が通じないところにポツンと取り残されることはないですから。お腹を壊した状態で飛行機に乗らないといけなくなり「トイレに近い席にしてください」となんとか喋れない英語で伝えなければいけない辛さとか(笑)
G:
(笑)
伊藤:
今なら翻訳ソフトを使うところですが、なかったころ、どう伝えたらいいのか頭を振り絞りましたからね(笑) そういった必死さみたいなものは、どこかのタイミングで味わっておくと、表現しなければいけないときに経験から気持ちを乗せやすくなります。「こういう状況になったときの人の気持ちはこうだろう」と、同じではなくても、共感できる気がするんです。
G:
なるほど。またちょっと離れるのですが、伊藤監督のインタビューを読んでいると、よく『エヴァ』の名前が出てきていて。
伊藤:
(笑) 俺が一番最初に作り手を意識したアニメが『エヴァ』だったので、それがきっかけですという話をすることになるので毎回出てくるんですが、率先して名前を出しているわけではないですよ(笑)
G:
すみません(笑)
伊藤:
当時、アニメの放送が終わったあとに庵野秀明監督が『QUICK JAPAN』とかいろいろな雑誌にも出ていて、後年になると「そういうポーズを取っていたんだ」とわかるのですが、当時は「なんてすごい……ヤバい人なんだ、アニメはこういう人じゃなきゃ作れないんだ、俺なんて無理だ」と思って。作り手の顔が見えた初めての作品だったのですごく印象深いです。

G:
監督は、わりとアニメ業界で知り合いが多いほうですか?
伊藤:
どうでしょう……先ほど名前を挙げた宮崎さんや押井さんなどとはほとんど接点はないですが、同世代の人なら、知り合えるならなるべく会っておこうとは思っています。いざTVシリーズをやるときにコンテをお願いしたりできますから(笑)
G:
そういう利点が(笑)
伊藤:
あと、若くて才能のある監督については近くで仕事を見てみたいという思いもあります。松本理恵監督はすごく力があるので、気軽に仕事を引き受けたらコンテを全修されましたけれど(笑)
G:
なんと!(笑)
伊藤:
自分ではできない、異なったアプローチをする人として、見るのがすごく楽しいです。どこか、盗める技術があれば盗みたいと思っています。
G:
そろそろお時間ということで最後に、伊藤監督から本作『クスノキの番人』で「この人の仕事は見てほしい」と推すところはありますか?
伊藤:
滝口比呂志さんの美術はもちろんだし、作画監督・板垣彰子さんのがんばりによる「キャラの描写・芝居」もポイントです。菅野祐悟さんの音楽、Uruさんの主題歌も。そして、個人作家さんのアーティスティックな個性がちょくちょく入ってきますので、ぜひエンドクレジットまで見て、どういった方が参加しているかをチェックしてのちのち検索してYouTubeとかで作品を見ると楽しみが増えるのではないかと思います。そして、心地良く泣かせる作品になったという点で自信がありますので、ぜひ劇場でご覧いただけたらと思います。
G:
ぎっちりとお話いただき、ありがとうございました。
伊藤:
ありがとうございました。
映画『クスノキの番人』は2026年1月30日(金)から好評上映中です。
アニメーション映画『クスノキの番人』 本予告映像② 【2026年1月30日(金)公開】 - YouTube

©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会
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