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Intelが中国と関係の深い輸出規制対象となった企業の半導体製造装置をテスト中との報道、専門家からは「技術保護政策の重大な欠陥を浮き彫りにした」と批判の声


半導体大手であるIntelが、アメリカの輸出規制対象となったツールメーカーの半導体製造装置をテストしているとロイターが報じました。

Exclusive: Intel has tested chipmaking tools from firm with sanctioned China unit, sources say | Reuters
https://www.reuters.com/world/china/intel-has-tested-chipmaking-tools-firm-with-sanctioned-china-unit-sources-say-2025-12-12/


Intel tests chipmaking tools from sanctioned China-focused tool maker, report claims — move could raise political and national security concerns, firm was backed by CEO Lip-Bu Tan's investment firm | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/intel-tests-chipmaking-tools-from-sanctioned-china-focused-tool-maker-report-claims-move-could-raise-political-and-national-security-concerns-firm-was-backed-by-ceo-lip-bu-tans-investment-firm

半導体製造装置メーカーのACM Researchは、アメリカのカリフォルニア州フリーモントに拠点を置く企業ですが、事業の大半を中国で展開しています。ACM Researchの主要顧客は韓国の半導体ベンダーであるSK Hynixで、ウエハー洗浄装置などを供給しています。

ACM Researchは中国政府とのつながりも強く、中国政府による「商用半導体技術の軍事利用」や「高度な半導体や半導体製造装置の製造」に関与したとして、2024年12月にはアメリカ政府からACM Researchの上海事業部及び韓国事業部が輸出規制対象に指定されました。なお、ACM Researchは中国政府との取り組みはないと主張しています。

そんなACM Researchの上海事業部と韓国事業部から、Intelは半導体製造装置を入手したとロイターが報じています。この半導体製造装置は、半導体の材料であるシリコンウエハーから不要部分を除去するために使用されるウェットエッチングツールで、Intelの最先端チップ製造プロセスである「14A」への適用の可能性が検証されたものと予測されています。なお、Intelの14Aで製造される最初の半導体は、2027年に登場予定です。

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ロイターはIntelがACM Researchのウェットエッチングツールを14Aに追加する決定を下したか否かは確認できず、Intelがアメリカの規制に違反したという証拠も確認できなかったと報じています。Intelはロイターの報道に対して、「当社の半導体製造プロセスにおいてACM Researchのウェットエッチングツールは使用されておらず、適用されるすべてのアメリカの法律および規制を順守している」という声明を出しています。

ACM Researchは「具体的な顧客との取引内容」についてはコメントできないとしつつ、「ACM Researchのアメリカチームがアジアで開発された複数のツールをアメリカの顧客に販売したこと」については認めています。また、ACM Researchはアメリカの大手半導体メーカーに3つの半導体製造装置を出荷したことを公表しており、これらは現在テスト中の段階にあり、一部は既に性能基準を満たしていることが確認できていると明かしました。


この報道に対して、対中強硬派からは「株式の一部をアメリカ政府が取得しているIntelが、輸出規制対象となる部門を持つ企業が製造したツールを自社の最先端製造ラインに導入することを検討しているという事実は、国家安全保障上の重大な懸念を提起する」といった指摘が上がっています。

なお、中国政府が希土類鉱物の輸出規制を拡大したことを受け、ドナルド・トランプ大統領は中国への半導体輸出に関する強硬政策の大半を撤回し、NVIDIAが中国で最先端のAIチップを販売できるように規制を緩和しました。

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しかし、中国の半導体製造装置メーカーが世界市場に進出しつつある現状に、アメリカの議員の間では懸念が高まっています。2025年12月にはアメリカ政府から数千億円規模の補助金を受け取っている半導体メーカーは、中国製半導体製造装置の使用を禁止するという法案が提出されました。ジョー・バイデン大統領政権下で国家安全保障会議の職員を務めたクリス・マグワイア氏は、ロイターの報道に対して「(IntelによるACM Research製ウェットエッチングツールの採用は)アメリカの技術保護政策の重大な欠陥を浮き彫りにしたものであり、許されるべきではない」と語りました。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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