カナダからアメリカへ行って突然2週間も拘留された実録体験談

就労ビザでアメリカに入国したところ突然拘置所に送られてしまったという体験談を、カナダ人のジャスミン・ムーニー氏が記しました。突然の勾留の裏には、収容人数に応じて政府から資金援助を受ける民間組織の「ビジネス」があると指摘しています。
I’m the Canadian who was detained by Ice for two weeks. It felt like I had been kidnapped | US immigration | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2025/mar/19/canadian-detained-us-immigration-jasmine-mooney

ムーニー氏はカナダ生まれの俳優、実業家で、アメリカの健康食品ブランド立ち上げの機会を得たということで就労ビザを取得し、アメリカに渡航しました。
ところが、滞在中に国境警備隊員に詰め寄られ、弁護士と話す機会もなく、アメリカ合衆国移民・関税執行局(ICE)が管轄する拘置所に移送されてしまいました。

ムーニー氏は過去に何度かカナダとアメリカを行き来していましたが、何らかの理由でビザを取り消されたという過去がありました。ムーニー氏は理由を明らかにしていません。
今回の経緯としては、まずムーニー氏がアメリカへ渡ったときに入国審査官からビザ取り消しの件について尋問され、なぜメキシコ寄りのサンディエゴの国境までビザを再申請しにいったのかを問われたのが始まり。これは専属弁護士の事務所が近くにあるためでした。審査官は「ビザが適切に処理されていないので再申請が必要だ」と伝え、ムーニー氏はサンディエゴの移民局へ移りました。
サンディエゴの移民局では「領事館を通してビザを申請する必要がある」と伝えられたため、ムーニー氏は諦めて帰りの航空券を調べていました。ところが、ムーニー氏の前に警備員が現れ、荷物を取り上げて事情聴取を始めました。その後ムーニー氏は房に入れられ、何が起きているのか説明もされず、「最悪、数カ月の勾留を覚悟する必要がある」などと告げられたそうです。
ムーニー氏が同じく房に入れられた人の話を聞いたところ、オーバーステイをした人が多く、中には最高10カ月もの間拘留されているという人もいたとのこと。全員が警告なしに拘留されていて、説明もなく終わりの見えない拘留措置に不満を表明していたとムーニー氏は伝えています。加えてムーニー氏は「本当の問題は拘留システムから抜け出すのにどれだけの時間がかかるかわからないということであり、明確な答えも、期限も、事を進める方法もないのは疑問に思います」と補足しました。
とはいえ、オーバーステイは間違いなく違法で、ムーニー氏についても何らかの法的な問題があったためにトラブルに巻き込まれているのだと推測できます。実際、ソーシャルサイトのHacker Newsでは「移民手続き中の中国人の友人がいるが、彼は『なぜ規則を破ったくせに不当だと騒ぎ立てるのかわからない』と言っている。他国でもオーバーステイの問題はあるが、なぜアメリカだけオーバーステイを甘く見ろという声があるのか」といった意見が寄せられています。ところが、この意見に対しては「そうは言っても何の情報も与えられず何日も勾留するのはやりすぎ」などのコメントが返されています。

ムーニー氏は複数の拘置所に移送されましたが、環境は著しく悪く、パニックにならないようにするのが精いっぱいだったとのことです。
しばらくの後、ムーニー氏が友人にコンタクトを取ったところ、その友人が記者に相談したため、ムーニー氏の件は大々的にメディアに取り上げられることとなりました。話が大きくなったためかムーニー氏は釈放されることとなり、およそ2週間ぶりに外の空気を吸えたといいます。
ムーニー氏は「私にはカナダのパスポートがあり、弁護士がいて、リソースがあり、メディアに注目され、友人や家族、政治家までもが私を擁護してくれました。それでも私は2週間近く拘留されたんです。他の人はどうなるのか、想像してみてほしいです」と語りました。

後にムーニー氏は「自身が受けたような勾留措置にはビジネスが関係している」との主張を始めました。
いわく、ICEが人々を移送する施設は民間所有で、収容人数に応じて政府から資金援助を受けており、そのために移民政策の厳格化を求めてロビー活動を行っているようなところもあるとのことで、例えばアメリカ合衆国の刑務所や収容所を運営するCoreCivicは1年間で5億6000万ドル(約840億円)以上をICEとの契約で得ており、矯正施設を運営するGEO Groupは7億6300万ドル(約1100億円)以上の援助を受けているとのこと。
ムーニー氏は「被拘禁者が多ければ多いほど、もうけは大きくなります。このような企業に被拘禁者を迅速に釈放するインセンティブがないのは当然です。このように考えると、私がなぜ2週間も拘留されたのかが理解できます。これは私だけの話ではありません。いまだ囚われている何千、何万の人々の物語なのです」と語りました。
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