ポンペイ遺跡で「秘密主義的なディオニュソスのカルト教団」を描いた巨大なフレスコ画が発見される

イタリア・ナポリ近郊にある古代都市のポンペイで、ギリシア神話に登場する豊穣(ほうじょう)とブドウ酒と酩酊(めいてい)の神・ディオニュソス(ディオニューソス)を信仰する謎のカルト教団を描いた巨大なフレスコ画が発見されました。
POMPEII, DISCOVERY OF A ROOM WITH FRESCOES DEPICTING THE INITIATION INTO THE MYSTERIES AND THE DIONYSIAC PROCESSION - Pompeii Sites
https://pompeiisites.org/en/comunicati/pompeii-discovery-of-a-room-with-frescoes-depicting-the-initiation-into-the-mysteries-and-the-dionysiac-procession/

Rare fresco discovered in Pompeii shows type of woman who 'breaks free from male order to dance freely, go hunting and eat raw meat in the mountains' | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/romans/rare-fresco-discovered-in-pompeii-shows-type-of-woman-who-breaks-free-from-male-order-to-dance-freely-go-hunting-and-eat-raw-meat-in-the-mountains
ポンペイは西暦79年に発生したヴェスヴィオ山の大噴火で丸ごと飲み込まれた古代ローマの都市であり、一瞬で火砕流に埋もれたために当時の様子がそのまま残されています。ポンペイの遺跡を管理するポンペイ考古学公園は2025年2月26日、過去数週間の発掘調査で「ディオニュソスを信仰する教団を描いたフレスコ画」のある部屋を発見したと報告しました。
ディオニュソスはブドウ酒や酩酊の神であったことから、ディオニュソスをあがめる教団にはワインやアヘンといった中毒性物質を使用し、信者にトランス状態を誘発する「Dionysian Mysteries(ディオニュソスの秘儀)」という信仰も存在しました。ディオニュソスの秘儀は秘密主義的な側面があったため、現代に残る資料はそれほど多くありませんが、1909年にポンペイで発見された秘儀荘と呼ばれる建物では、ディオニュソスの秘儀を物語る一連の壁画が見つかっています。
今回新たにディオニュソスの秘儀のフレスコ画が見つかった建物は、ポンペイ考古学公園によって「Casa del Tiaso(ティアソスの家)」と名付けられました。フレスコ画は大きな宴会場を囲む3つの壁に描かれており、残る1つの側面は中庭に向かって開いていたとのこと。
以下の写真を見ると、宴会場を囲む3つの壁にフレスコ画が描かれているのがわかります。

フレスコ画には生死問わずさまざまな動物や、ディオニュソスの巫女(みこ)であるバッカンテス(メナド)の女性の姿が描かれています。

一部のバッカンテスは、肩に屠殺(とさつ)されたヤギの死体を担いでいたり、剣を持っていたりと、ハンターとして描かれています。

一連の壁画は、ディオニュソスの秘儀が野生動物や狩猟のイメージと結びついていたことを示唆しています。

また、ディオニュソスの秘儀に入信しようとしていると思われる女性と、年老いたサテュロスを描いた壁画もありました。

ポンペイ考古学公園のディレクターを務めるGabriel Zuchtriegel氏は、「古代人にとってバッカンテスあるいはメナドは、女性の野性的で飼いならされていない側面を表現していました。これは子どもや家、町すらも捨てて、男性の命令から解き放たれ、山や森で自由に踊って狩りに出かけ、生肉を食べる女性のことです」と述べています。
イタリアのアレッサンドロ・ジュリ文化大臣は、「100年後には、今日の発見が歴史的な出来事と見なされているでしょう」「これは並外れた歴史文書であり、秘儀荘のフレスコ画と共に、ポンペイをほとんど知られていない古典期の地中海生活の一面を示す特別なものにしています」とコメントしました。
なお、今回発見されたフレスコ画は、ポンペイ考古学公園の発掘調査ツアーの一部として間もなく一般公開されるとのことです。
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