レビュー

どんどん低くなる高度・迫り来る滑走路・エンジンやフラップをサイコロで制御し墜落を回避せよ!2人で協力し飛行機を無事に空港へ着陸させるボードゲーム「スカイチーム」プレイレビュー


ボードゲーム専門販売店のすごろくやから、2人協力ボードゲーム「スカイチーム」の日本語版が2024年6月に登場しました。すぐれたボードゲームに贈られるドイツ年間ゲーム大賞で2024年度大賞を受賞した作品で、飛行機の着陸をテーマにしたゲームになっているとのことで、どんなゲームか非常に気になったので実際に遊んでみました。

スカイチーム | すごろくやのボードゲーム | すごろくや
https://sugorokuya.jp/p/sky-team/

・目次
◆内容物
◆ゲームの準備
◆基本ルールを確認しながらプレイしてみた
◆上級モジュールを使って高難度シナリオに挑戦

◆内容物
スカイチームのパッケージはこんな感じ。


プレイ時間は20分、対象年齢は12歳を想定。プレイ人数は「2人専用」となっています。


フタを開けると、「着陸手順書」と書かれたルール説明書が入っていました。


着陸手順書と一緒に入っていたフライトログ(右)は上級ルールなので、基本ルールをプレイするまでは中身を見ないように指示がありました。


ゲームで使うメインボードとなる「コントロールパネル」


ごみ箱アイコンが描かれているパネルをすべて外します。切れ目が入っているので、カッターやハサミは不要です。


コントロールパネルはこんな感じで、飛行機の計器を模したデザインとなっています。外したパネルは処分してOK。


飛行機傾度ディスク


機長(青)と副操縦士(オレンジ)のついたて。


ついたては組み立て式になっており、中にルールの概要が書かれていました。


青のダイスとオレンジの6面サイコロが4つずつ。


青・オレンジの空気力学マーカーと赤いブレーキマーカー、コーヒーコマが3つ、飛行機コマが12個。


振り直しタイルが2枚、スイッチが10個。


進入トラックと高度トラック。


さらに箱には上級ルール用のカードやボードもありましたが、これらも基本ルールをプレイしてから触るようにということで、ひとまずそのまましまっておきます。


◆ゲームの準備
まずコントロールパネルの中央にある丸いくぼみに、飛行機傾度ディスクを置きます。


コントロールパネルの上部に、進入トラックと高度トラックを以下のように配置します。また、進入トラックの上には飛行機コマを置きます。飛行機コマを置くマスと数は、左側に書かれている飛行機アイコンの位置と数に従います。なお、進入トラックにはそれぞれ実在の空港が設定されており、今回プレイする空港はモントリオール・トルドー空港です。


コントロールパネル下部で、以下の画像で赤い枠で囲った部分にスイッチを配置します。スイッチは右側に置き、左側が空くように置きます。


青の空気力学マーカーとオレンジの空気力学マーカー、赤のブレーキマーカーを以下のように配置します。


コーヒーコマは3つとも、コントロールパネルの左下に置いておきます。


振り直しタイルは左上のポケットに1枚置きます。


機長と副操縦士のついたてを組み立てて、機長に青のダイスを、副操縦士にオレンジのダイスを4つずつ配ります。2人のプレイヤーで、機長と副操縦士を分担します。


これで準備OK。


◆基本ルールを確認しながらプレイしてみた
ゲームの進め方は非常にシンプルで、「戦術を相談するフェイズ」「ダイスを振るフェイズ」「ラウンド終了処理」を順番に進めていき、6ラウンドが経過したら終了。ゲームの目的は「安全に空港に着陸すること」です。

戦術を相談するフェイズでは、「たとえばあの飛行機コマを取り除こう」「先に進むことを優先しよう」など、飛行機の動かし方を相談します。ただし、「3の目が出たら置きます」「ここに一番大きな目を置きます」など、ダイスの目に関する具体的な指示はアウト。あくまでもラウンドでの行動指針を決めるだけです。


相談したらダイスを振ります。つまり、相談を行っている時点では、自分のダイスがどんな目なのかはわかっていないというわけ。


ダイスを振ったら、出目をそのままにしながら交互にダイスをコントロールパネルに1個ずつ配置します。ダイスはどの目か、またコントロールパネルのどのマスに置いたかによって、異なる効果を持ちます。ただし、配置する際、機長と副操縦士はルールのミスを指摘する時以外、一切会話をしてはいけません。


まず安全に着陸するためには、飛行機の姿勢を保つ必要があります。飛行機の傾度を制御するためには、機長と副操縦士が息を合わせなければなりません。飛行機傾度ディスクの左右にある傾度マスに、機長と副操縦士が1つずつダイスを置いたら、その時点で両者のダイスの目を比較します。同値であれば、飛行機の傾きはそのまま。


しかし、両者が異なる出目だった場合、その差の分だけ飛行機を傾ける必要があります。例えば、以下のように青のダイスが3、オレンジのダイスが4だった場合、飛行機傾度ディスクをより大きな目を出したオレンジの方向に、4-3=1目盛り分動かします。


しかし、左右にある「✕」の目盛りにまで飛行機傾度ディスクを動かすことになった場合、「飛行機の姿勢を制御できなくなった」ということでミッション失敗。即座にゲームオーバーとなってしまいます。なお、機長と副操縦士はラウンドごとに必ず1つのダイスを傾度マスに配置しなければなりません。


また、飛行機を空港に着陸させるためには、空港まで到着する必要があり、エンジンを吹かして飛行機を前に進める必要があります。1~12まで書かれた目盛りの下にあるエンジンマスには、1ラウンドごとに機長と副操縦士が必ず1個ずつ置く必要があります。エンジンマスに置かれた2つのサイコロの目を合計し、上の目盛りを参照し、「目の合計数が青のブレーキマーカーより左」ならそのまま進まず、「目の合計数が青のブレーキマーカーとオレンジのブレーキマーカーの間」なら1マス進み、「目の合計数がオレンジのブレーキマーカーより右」なら2マス進みます。


飛行機を進める場合は、進むマス分だけ進入トラックを下にずらします。ただし、進入トラックの上にある飛行機コマは、自分の航路に存在する飛行機を意味します。そのため、飛行機コマが残っているにもかかわらず、進入トラックのマスを通過しようとすると、「空中衝突」してしまうため、その時点でミッション失敗でゲームオーバー。なお、機長と副操縦士はラウンドごとに必ず1つのダイスをエンジンマスに配置する必要があります。


航路上にいる飛行機に退いてもらうためには、無線を使って連絡する必要があります。無線マスはコントロールパネル上部にあり、機長は1つ、副操縦士は2つまで置くことが可能。


無線マスにダイスを配置します。今回は3の目が出たダイスを配置します。


そうすることで、進入トラックの現在の位置を1マス目にして、無線マスに配置したダイスの目の数だけ進んだマスにある飛行機コマ1個を即座に取り除きます。今回は、進入トラックの下から3マス目にあった飛行機コマが取り除かれました。無線で連絡してすべての飛行機に退いてもらわなければ安全に空港に着陸できないため、積極的に無線を実行しておきたいところ。


さらに、着陸するためには着陸装置を展開しなければなりません。着陸装置は機長のみが操作可能で、コントロールパネルの左にある着陸装置マスに、そのマスに書かれている出目のダイスを置くことで展開できます。


例えば一番上は1か2の出目のダイスを置くことができます。配置したら下にあるスイッチをスライド。ちゃんと緑色のインジケーターが現れるので、展開したかどうかは一目でわかります。なお、着陸装置のスイッチにダイスを置く順番は自由です。


着陸装置を1つ展開したら、青の空気力学マーカーを1つ右にずらします。つまり、着陸装置を展開するほど飛行機は前に進みにくくなるというわけです。


副操縦士は飛行機の揚力と風圧抵抗を増やすため、フラップの操作を行う必要があります。フラップのスイッチは4つあり、着陸装置と違って「上から順番にスイッチを入れなければならない」という制約があります。


指定された出目のダイスを配置したら、スイッチをスライド。


そして、オレンジの空気力学マーカーを右に1つずらします。


さらに着陸時に滑走路でオーバーランをしないためには、しっかりとブレーキをかけることが必要です。ブレーキをかけるのは機長の役目で、マスの指示にしたがってダイスを配置します。ただし、ブレーキマスには左から右に向かって順番にダイスを配置しなければなりません。


このようにコントロールパネルにダイスを置く時は、最初に振って出たダイスの目をそのまま置かなければなりませんが、どうしても思うようにいかない出目がでることもあり、時には運が悪く致命的な出目になってしまうことも。そういう時に機長や副操縦士に求められるのは冷静さと集中力。というわけで、コントロールパネルの一番下にある集中マスに任意の目のダイスを置くと、コーヒーコマを1つゲットできます。ゲットしたコーヒーコマは以下のようにコントロールパネル上に配置します。


例えば、どうしても4の目のダイスがほしいのに、5の目しか出なかった場合。


コーヒーコマを1つ使うことで、ダイスの出目を1増減できます。今回は5の目のダイスにコーヒーコマを1つ使い、4の出目に変更して着陸装置に配置することができました。なお、コーヒーコマは1度に複数使うことができ、使用しなかったコマは後のラウンドで使うこともできます。


また、振り直しタイルを1つ使うことで、その時点で配置していないすべてのダイスを振り直すことができます。これは機長も副操縦士も使えますが、どちらか1人が使うと2人ともが配置していないダイスを振り直すことになるので注意が必要。なお、振り直しタイルは未使用の場合、次のラウンドに持ち越すことができます。


機長と副操縦士がダイスを4個ずつ交互に配置し終わったら、そのラウンドは終了。高度トラックを1つ下げて、ダイスを回収します。なお、ラウンドでダイスを配置し始めるのは、高度トラックでその時一番下のマスの枠色のプレイヤーです。


前回のラウンドの結果を受けて、機長と副操縦士で相談する必要があります。しかし、出目に関する情報は相談できないので、「とりあえず飛行機コマがやばい」「そろそろフラップを展開しないと着陸に支障がでそう」など、ふわっとした意志のすり合わせを行うことに。相談してからダイスを振るので、「直前に話していた内容に全く合わないダイスの目が出たんだが?」という展開もよくあります。そういう時に、「どこに何の出目を配置するか」で相手に自分の情報や意図を暗に示さなければなりません。


高度トラックが着陸のマスになった6ラウンド目が終わるとゲーム終了。基本ルールの勝利条件は4つあり、1つは「6ラウンド終了時点で進入トラック上の飛行機コマをすべて取り除いていること」、2つ目は「飛行機の傾度がちょうど水平になっていること」です。


3つ目は「着陸装置とフリップがすべて展開されていること」


そして、「最後にエンジンマスに置いたダイスの出目の合計値が、赤のブレーキマーカーよりも左の数値になっていること」が4つ目。これらの条件を1つでも満たすことができなかった場合、着陸失敗となってしまいます。


今回、基本ルールを把握するための初プレイでしたが、なんとかすべての条件を満たすことができ、クリアできました。感覚としてはかなりギリギリで、合間合間にコーヒーコマを使って調整したり、振り直しタイルを使ってピンチを切り抜けたりする場面も。プレイ時間はルールを確認しながらで、だいたい1時間程度でした。

実際にスカイチームを遊んでみて、「飛行機の機長と副操縦士の2人で操縦しながら着陸に備える」という協力ミッションをボードゲームで再現している精度に驚きました。コントロールパネルや飛行機傾度ディスク、スイッチなど、実際に飛行機の計器を操作しているような感覚も得られました。また、さまざまなデータを見ながら、相手と暗黙のコミュニケーションを取り、着陸に成功した時の達成感はかなりのもの。ルール自体は非常にシンプルでわかりやすいのですが、「相談してからダイスを振り、ダイスの配置によって相手に自分の出目ややりたいことを悟ってもらう」という空気を読む力、そして状況をみて優先順位が判断できる力が求められます。ダイスの目に応じてゲームが進むので運も重要なのですが、それ以上に戦略とコミュニケーションが求められるゲームとなっていました。

◆上級モジュールを使って高難度シナリオに挑戦
基本ルールを把握したので、今度は上級モジュールを使ってより高難度なシナリオに挑戦してみます。シナリオは全部で21種類あり、大量の進入トラックが用意されています。難度は進入トラックの一番上の色で分類されています。


基本ルールは初回で一発クリアできたので、これはいけるのではないか?と一番難度の高い黒色の進入トラックを選択。


空港はアイスランドのケプラビーク空港。滑走路は雪と氷に覆われてよく見えない上に強い風に揺られるので、「とにかく集中するしかない」とのこと。進入トラックの右上にあるのが、シナリオをプレイする上で用意する必要のあるモジュールや設定を示すアイコンです。


風速計のアイコンは、風モジュール。飛行機傾度ディスクの指す目盛りにしたがって、風に対する飛行機の向きが変化します。初期状態だと後ろから追い風を受けているので加速され、「エンジンマスの合計値に3プラスされる」ことになります。つまり、あえて飛行機を傾かせることで、風の影響を回避することが求められます。


氷のアイコンは、アイスブレーキ。「滑った滑走路に着陸するために通常とは異なるブレーキを展開する」というわけで、ブレーキマスの上に重ねるように配置します。同一ラウンドで上下のマスに指定された出目のダイスを同時に配置する必要があります。また、左から順番にブレーキをかけなければならず、ゲーム終了までに赤のブレーキマーカーを一番右に持っていくことができなければ、任務失敗でゲームオーバー。


これはあまりにも過酷すぎるのでは、と心配になりましたが、高難度シナリオでは機長と副操縦士は特殊能力を選べることも。今回のケプラビーク空港は「星2」アイコンだったので、特殊能力を2つ選べます。さまざまな能力や組み合わせを考えて、状況に合ったものを選択する必要があります。


また、高難度の進入トラックには、「旋回」マークの描かれたマスがあります。進入トラックを先に進めることになった時、飛行機の傾度が▼・▽で示されている角度に収まっていない場合、即座にゲームオーバーとなります。


そして、黒いダイスアイコンは「混雑ダイス」を振るという意味。ラウンド開始時にその位置表示画面に黒いダイスアイコンがあれば、その個数だけ混雑ダイスを振り、ダイスの目に応じたマスに飛行機コマを1つ追加します。つまり、のんびりしていると自分の航路上に飛行機がどんどん増えてしまうというわけ。


まがまがしく黒く輝く混雑ダイス


ゲーム開始時のコントロールパネルはこんな感じ。


ゲームでは、とにかく追い風で飛行機がぐんぐん進んでしまうのがやっかいでした。


自分の航路上には大量の飛行機が存在しています。無線を使って他の飛行機に退いてもらいところですが、出目が悪いと飛行機コマのあるマスを指定できないため、どうやっても飛行機コマを排除できないラウンドもあります。


さらに困るのが、アイスブレーキの存在。上下に同ラウンドで指定された出目のダイスを配置しなければならず、さらにそれを計4回プレイしなければなりません。ゲームは6ラウンドなので、少しでもダイスを大事に使いたい中で4ラウンドもアイスブレーキにダイスを割り振らなければならないのはかなり大きな制限。


そんな中で活躍するのが特殊能力です。例えばこの「適応」は、ゲーム中各自1回だけ、まだ配置していないダイスを天地逆にして数値を変更できるというもの。「アイスブレーキで2を指定されているけど、手元に2がない」という状況でも、5があれば「適応」で2の出目に変更することが可能です。ただし、ゲーム中1回だけなので使いどころを見定めるのが非常に重要。


限界状況の中でコーヒーマスや振り直しタイルも使いながら進めていましたが、最終的にすべての策が尽きた状態で飛行機が右に大きく傾いたため、任務失敗となってしまいました。


今回は一番高い難度でプレイしましたが、追加されている上級ルールの難度は4段階あり、モジュールや特殊能力を追加することでどれも個性的なシナリオとなっており、リプレイ性はかなり高いと感じました。ダイスの出目によっても展開が大きく変わるので、同じシナリオでも遊ぶたびに新鮮な感覚でプレイできます。2人協力のボードゲームとしてはかなり完成度が高く、ボードゲームを遊び慣れていない人でもルールは簡単に把握でき、プレイヤーの経験値に応じて難度も調整できるので、スカイチームは初心者にもおすすめのゲームといえます。

スカイチームはAmazon.co.jpで、税込5120円で購入可能です。

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in レビュー,   乗り物,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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