Metaがファクトチェックに続き多様性・公平性・包括性に関するDEIプログラムを廃止
Facebook・Instagram・ThreadsなどのSNSを運営するMetaが、採用・トレーニング・サプライヤー選定などに用いられるDEIプログラムを廃止することが明らかになりました。この動きについて、海外メディアのAxiosは「Metaの従業員に対し、トランプ新政権への進出を目指す同社の取り組みが単なる姿勢を示すものではなく、ビジネス慣行に影響を与えるレベルの精神の転換であるという強いメッセージとなります」と報じています。
Meta rolls back DEI programs in latest bow to Trump
https://www.axios.com/2025/01/10/meta-dei-programs-employees-trump
Axiosが独自に入手したMetaの従業員向け資料から、同社のDEIプログラムが廃止される予定であることが明らかになりました。Metaの人事担当ヴァイスプレジデントであるジャネル・ゲイル氏は、従業員に向けて「アメリカにおける多様性・公平性・包括性の取り組みに関する法律と政策の状況が変化しているため」と、DEIプログラムの廃止理由を説明しています。なお、この資料はMetaが社内コミュニケーションに使用しているWorkplaceに掲載されていたものだそうです。
ゲイル氏は資料の中で、「アメリカ最高裁判所は最近、裁判所がDEIに取り組む方法に変化を加えることを示唆する決定を下しました」「『DEI』という用語は、一部の人々によって、あるグループを他のグループよりも優遇することを示唆する慣行であると理解されているため、批判されるようになっています」とも述べました。
MetaのDEIプログラム廃止における5つの重要なポイントは以下の通り。
・MetaのDEIチームの廃止
MetaからDEIに重点を置くチームがなくなります。同社の最高ダイバーシティ責任者であるマキシン・ウィリアムズ氏は、アクセシビリティとエンゲージメントに重点を置く新しい役割に就くこととなります。
・公平性と包括性プログラムの終了
公平性と包括性のプログラムを終了し、代わりに「経歴に関係なく、すべての人に対する偏見を軽減する公平で一貫した慣行を適用する方法に焦点を当てた」プログラムを構築するとゲイル氏は説明しています。
・サプライヤーの多様性への取り組みの終了
Metaは多様なオーナーが経営する企業からビジネスサプライヤーを調達する取り組みを終了します。今後について、「経済の多くを牽引する中小企業の支援に注力します」とゲイル氏は説明しました。
・採用における「多様性のある候補者リスト方式」の終了
Metaは引き続きさまざまな経歴を持つ候補者を募集していますが、あらゆる空きポジションに多様な候補者が考慮されることを保証する多様性のある候補者リスト方式の採用は取りやめるそうです。この理由について、ゲイル氏は「業界をリードする労働力を構築し、あらゆる経歴を持つ世界クラスの人材で構成されたチームを活用する方法は他にもあると考えているため」と説明しています。
・代表者目標の終了
代表者目標があると「人種や性別に基づいて決定が下されているという印象を与える可能性がある」として、Metaは代表者目標の終了も決定しています。これについてゲイル氏は「このような印象をなくしたいため」と説明しました。なお、ゲイル氏は以前にも女性や少数民族に関する代表者目標を終了したと述べています。
MetaはFacebookでの誤情報拡散を防止するため、2016年から独立機関によるファクトチェックを行ってきました。しかし、2025年1月8日にファクトチェックを廃止し、X(旧Twitter)が採用しているコミュニティノートへの移行を発表したばかりです。
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AxiosはMetaのDEIプログラム廃止について、「トランプ次期大統領とMAGA運動の政治的・文化的見解に同調するテクノロジー企業および幹部による一連の公的な動きに続くもの」と指摘しています。
DEIプログラムを廃止しているのはMetaだけではありません。2024年11月にウォルマート、2025年1月にマクドナルドが独自のDEIプログラムを廃止しています。
なお、Metaは2025年1月に入ってから、国際業務担当社長のニック・クレッグ氏を共和党寄りのジョエル・カプラン氏と交代したばかり。他にも、Metaはトランプ次期大統領の大統領就任式に100万ドル(約1億6000万円)を寄付しており、トランプ次期大統領の盟友であるUFCのダナ・ホワイトCEOを取締役に迎えています。
なお、トランプ次期大統領を支持するテクノロジー企業や幹部は多く、Appleのティム・クックCEOやGoogle、Microsoftといった企業も同氏の大統領就任式に多額の寄付を行っています。
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GoogleとMicrosoftがトランプ大統領就任式におよそ1億6000万円を寄付したことが明らかに - GIGAZINE
by Gage Skidmore
ゲイル氏はDEIプログラムの廃止について、「Metaにとって、当社の製品がすべての人に利用可能であり、世界中で経済成長と機会の促進に役立つことが重要です。当社はすべての人にサービスを提供し、あらゆる分野から多才で業界をリードする労働力を構築することに引き続き注力します」と従業員に説明しました。
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