サイバートラックがトランプ・ホテル前で爆発した事件の犯人はChatGPTで計画を練っていた
2025年1月1日朝に発生した、トランプ・インターナショナル・ホテル・ラスベガスの玄関前でのCybertruck(サイバートラック)爆発事件で、運転席で死亡していたマシュー・リベルスバーガー容疑者が、ChatGPTを使って攻撃計画を練っていたことが明らかになっています。
Man in Tesla Cybertruck explosion used generative AI, including ChatGPT, police say | AP News
https://apnews.com/article/tesla-cybertruck-explosion-trump-hotel-las-vegas-248b41d87287170aa7b68d27581fdb4d
Las Vegas Cybertruck explosion latest: Police look for clues in suspect's writings - ABC News
https://abcnews.go.com/US/las-vegas-cybertruck-explosion-police-clues-suspects-writings/story?id=117326215
ChatGPT used in planning of Las Vegas Cybertruck blast
https://thehill.com/policy/technology/5072577-las-vegas-cybertruck-blast-chatgpt/
現地時間の2025年1月1日、トランプ・インターナショナル・ホテル・ラスベガスの前でテスラのサイバートラックが爆発しました。サイバートラックには叙勲受賞経験のあるグリーンベレーのリベルスバーガー容疑者が乗っており、爆発直前に自分の頭を撃って自殺していたことが明らかになっています。建物に被害はありませんでした。
この事件について調査を進めていたラスベガス警察によると、リベルスバーガー容疑者はOpenAIのチャットボットであるChatGPTを使って攻撃を計画していたことが明らかになっています。リベルスバーガー容疑者はOpenAIのチャットボットであるChatGPTを使って「爆破の標的」「特定の弾丸の飛行速度」「アリゾナ州で花火が合法かどうか」など、攻撃計画についての調べを行っていたとのこと。
ラスベガス警察のケビン・マクマヒル保安官は、犯罪行為に生成AIを利用したことを「ゲームチェンジャー」と表現し、ラスベガス警察は他の法執行機関と情報を共有していると述べました。さらに、「今回の事件は、個人がChatGPTを使って特定のデバイスを構築した、アメリカ国内初の事例です。これは憂慮すべき瞬間です」とも語りました。
OpenAIはAP通信に対し、「今回の事件において、ChatGPTはインターネット上ですでに公開されている情報で対応しており、有害または違法な活動に対する警告も提供しました。また、OpenAIは法執行機関と協力して捜査を支援しています」という声明を出しています。
犯行時、リベルスバーガー容疑者のサイバートラックには60ポンド(27kg)の花火用火薬と、70ポンド(32kg)の散弾が積まれていましたが、捜査当局は爆発の原因を正確に突き止めるには至っていません。リベルスバーガー容疑者はより大規模な損害を引き起こす爆破攻撃を計画していたとされていますが、サイバートラックが爆発の衝撃のほとんどを吸収したため、被害は軽微で済んでいます。
なお、リベルスバーガー容疑者は「警察に追跡されている」と考えており、「監視」と題した日記をつけていました。しかし、リベルスバーガー容疑者に犯罪歴はなく、警察署やFBIが容疑者を追跡していたという記録もないとマクマヒル保安官は述べました。
また、リベルスバーガー容疑者はアリゾナ州にあるグランドキャニオン・スカイウォークで爆発を実行することを検討していたことも明らかになっています。ラスベガス警察のドリ・コーレン副保安官は、容疑者が爆破攻撃の実行場所を変更した理由が分からないと記者会見で語りました。なお、日記によると、容疑者は「自身がテロリストとみなされること」や「自分以外の人を殺害しようとしている思われること」を心配していたことも明らかになっています。
リベルスバーガー容疑者は爆破攻撃について、「国家の苦難に対する警鐘とするための仕掛け」であるというメモを残しており、具体的には政治的な不満、社会問題、ウクライナ戦争を含む国内外の問題について触れています。また、容疑者は自身の携帯電話に「失った兄弟たちのことを心から思い出し、自分が奪った命の重荷から解放される必要がある」というメモも残していたそうです。
リベルスバーガー容疑者はトランプ・インターナショナル・ホテル・ラスベガスの前で爆破攻撃を実行したため、容疑者が政治的な主張をしようとしていた可能性を捜査当局は見極めようとしています。ただし、捜査当局によるとリベルスバーガー容疑者はドナルド・トランプ次期大統領に対して悪意を抱いていなかったと考えられており、容疑者の残したメモには「国が自分とテスラのイーロン・マスク氏の周りに結集する必要がある」と書かれていたそうです。
・関連記事
元旦に連続発生した自動車による殺傷事件には身元確認が厳密なはずのカーシェアリングサービス「Turo」の車両が使われていた - GIGAZINE
AIが書いたマルウェアが標的型攻撃に使用された可能性があることが判明 - GIGAZINE
AIによる尋問で人間が偽の記憶を植え付けられてしまう危険があることが明らかに - GIGAZINE
ついに現実がSF映画に追いつく、AIとドローンを駆使して「未来の犯罪を予測」する計画がアルゼンチンで始動 - GIGAZINE
ChatGPTなどの優れたチャットボットAIがいかに犯罪に使われやすいかをユーロポールがまとめて公開 - GIGAZINE
「AI検察官」は口頭説明を受けるだけで97%の精度で犯罪を特定可能 - GIGAZINE
・関連コンテンツ