サイエンス

NASAの宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽でのフライバイに成功、太陽から約610万kmの距離を通過し史上最も太陽に近づいた人工物に


アメリカ航空宇宙局(NASA)が2024年12月24日、宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽の表面から610万kmの近距離を飛行するフライバイに成功したことを発表しました。


Parker Solar Probe:: Parker Solar Probe Begins Record-Setting Closest Approach to the Sun
https://parkersolarprobe.jhuapl.edu/News-Center/Show-Article.php?articleID=205

NASA's Parker Solar Probe completes historic Christmas Eve flyby of the sun — but it could take days to know if it survived | Live Science
https://www.livescience.com/space/space-exploration/nasas-parker-solar-probe-completes-historic-christmas-eve-flyby-of-the-sun-but-it-could-take-days-to-know-if-it-survived

NASAの宇宙探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」は、太陽の周囲を取り巻く高温のガス「コロナ」や高速で噴き出る粒子「太陽風」などの謎を解明するために2018年に打ち上げられた探査機で、金星を使ったスイングバイを繰り返すことで太陽に近づくことを目的としています。

そのため、パーカー・ソーラー・プローブは非常に高い温度にさらされることになりますが、炭素繊維を用いた特殊な断熱機構を持つ厚さ11cmの「シールド」を備え、を備え、機体の姿勢を自律制御することで過酷な太陽の熱エネルギーから身を守ることが可能で、最高1371℃までの高温に耐えることができるとされています。

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そしてパーカー・ソーラー・プローブは東部標準時2024年12月24日6時53分(日本時間12月24日20時53分)に、太陽表面から380万マイル(約610万km)の近日点を通過。その後ジョンズ・ホプキンス応用物理学研究所のミッションオペレーターが、東部標準時2024年12月24日19時20分(日本時間2024年12月25日9時20分)にパーカー・ソーラー・プローブからすべてのシステムが正常に動作していることを示すビーコンの信号を受け取っています。

今回パーカー・ソーラー・プローブが飛行した太陽から610万kmという距離は太陽と水星の間の距離の約10分の1に相当します。今回の飛行で2023年にパーカー・ソーラー・プローブ自身が達成した「太陽から約720万kmの距離を飛行」という記録を超えたほか、時速43万マイル(時速69万km)という速度を達成し、「史上最速の人工物」としての記録を打ち立てました。

ジョンズ・ホプキンス応用物理学研究所でパーカー・ソーラー・プローブミッション運用マネージャーを務めるニック・ピンキン氏は「人工物がこれほど太陽の近くを通過したことはこれまでありませんでした。したがって、パーカー・ソーラー・プローブは本当に未知の領域からデータを返すことになります」と述べています。


なお、あまりに太陽から近いため、近日点通過中にはパーカー・ソーラー・プローブと通信することができません。NASAによると、パーカー・ソーラー・プローブは2024年12月27日から再度自身の位置や健康状態を示す信号を送信し始めるほか、2025年1月上旬からは太陽へのフライバイ中に収集した画像の送信を行うとのこと。

NASAのパーカー・ソーラー・プローブのプログラムサイエンティストであるアリス・ポグナー氏は「パーカー・ソーラー・プローブはNASAの大胆なミッションの一例であり、私たちの宇宙に関する長年の疑問に答えるために、これまで誰も成し遂げたことのないことを行っています。パーカー・ソーラー・プローブから最初のステータスアップデートを受け取り、今後数週間で科学データを受け取り始めるのが待ちきれません」と語りました。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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