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演技をすることと執筆することは共通点があるという指摘、執筆に役立つ「メソッド演技」のトレーニングとは?


小説を執筆するためには小説を読むことはもちろんのこと、映画を見たりアクティビティを体験したりとさまざまなことに触れてみることも知識やアイデアを広げるために重要です。俳優兼歌手で作家でもあるエリザ・モス氏が、演技をすることによって執筆に生かすことができた「メソッドライティング」のアイデアについて解説しています。

Method Writing: What Novelists Can Learn From Actors About Self-Expression ‹ Literary Hub
https://lithub.com/method-writing-what-novelists-can-learn-from-actors-about-self-expression/


モス氏はデビュー作である「What It's Like in Words」の執筆時、アガサ・クリスティの戯曲「ねずみとり」の公演に参加しており、9か月にわたって約300回の公演で舞台に立っていました。モス氏によると、公演の合間に執筆を続けることで、「他人の心に入り込むために自分の心をどこまで押し広げるか」という点で、執筆と演技のプロセスがいかに似ているかに気づいたそうです。


執筆に影響する演技関連の要素として、モス氏は「メソッド演技法」を挙げています。メソッド演技法とは、演じるキャラクターの内面を深く追及し、キャラクターの感情を追体験するなどして、よりリアルで自然な表現を行う演技のこと。アメリカ映画で最高の栄誉とされるアカデミー賞では、メソッド演技法の影響を受けた「メソッド・アクター」がオスカー像を手にする確率が高いと言われています。

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メソッド演技法を確立したとされる俳優のリー・ストラスバーグが設立したリー・ストラスバーグ演劇映画研究所では、メソッド演技法を身に付けるためのトレーニングとして、「役柄に共感するために自分自身を理解すること」を説いています。恋人を亡くした人物を演じるために、実際に恋人を亡くした経験までは求めないものの、過去に失恋した経験を思い出すために、具体的な情景や感覚などを詳細に追って「演じる役柄に共感する」というのが、リー・ストラスバーグ演劇映画研究所によるメソッド演技法のトレーニングです。

モス氏によると、メソッド演技法のトレーニングプロセスは、文章に命を吹き込むのにも役立つとのこと。悲しいシーンを描くときに、描写すべきものは起きた事実と感情だけではありません。普段なら顔をよけてじっくり聞くことはないのに深い悲しみに襲われてじっと聞いたままのハエの羽音、床にへたりこんで触れるカーペットの感触、涙に反射して突き刺さるように感じる日光など、感覚的な詳細に焦点を当てることで、感情をより共感的に読者へ伝えることができます。これはメソッド演技法を身に付けるためにキャラクターへの共感力を鍛えるプロセスと一致しており、モス氏は「私たちの感覚は強力な引き金です。読者に、あなたのキャラクターが悲嘆に暮れていると説明するのではなく、読者にキャラクターたちと同じ悲嘆を感じさせるのです」と説明しています。


ストラスバーグは「俳優の仕事は、本質的に二つの領域にある。それは、一貫して現実を創造する能力と、その現実を表現する能力だ」という言葉を残しています。常に観客のためにデザインされる演技とは異なり、小説は自分のためだけに書くこともできますが、誰かに伝えたい作品を執筆する場合、自分が創造したストーリーをできる限り明確に表現する必要があります。

モス氏は演技をすること、そして小説を書くことについて「人生と芸術は本質的に結びついており、人間の状態を扱っています。それは、灰から人生を創造し、何かが本当はどのようなものか、言葉で表現するとどうなるか、自分自身に問いかけることです。自分のストーリーが誰の心に響くかをコントロールすることはできません。すべての人に響くわけではありません。しかし、あなたは誰かに届き、その人はあなたに届き、あなたは理解され、誰かに見てもらうことができるでしょう」と語りました。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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