国産2nm半導体の生産を目指す日本の半導体メーカー・RapidusがASMLの量産対応EUV露光装置「NXE:3800E」の設置作業を開始
日本の半導体メーカーであるRapidusが、オランダの半導体露光装置メーカー・ASMLの量産対応EUV露光装置「NXE:3800E」を北海道千歳市の新工場に搬入し、設置作業を開始したと発表しました。2022年に設立されたRapidusは国産2nm半導体の製造を目指しており、日本政府や大手企業から多額の出資を受けています。
Rapidus、日本で初めて量産対応EUV露光装置「NXE:3800E」のIIMへの設置作業を開始 - Rapidus株式会社
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Rapidus is first Japanese company to install ASML's cutting-edge EUV machine — chipmaking tool for 2nm chips expected to be operational this year | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/semiconductors/rapidus-is-first-japanese-company-to-install-asmls-cutting-edge-euv-machine-chipmaking-tool-for-2nm-chips-expected-to-be-operational-this-year
Rapidusは最先端半導体の国産化が日本の産業や安全保障にとって重要だという認識を背景に、トヨタ・デンソー・ソニー・NTT・NEC・ソフトバンク・キオクシア・三菱UFJ銀行といった大手企業から73億円の出資を受けて2022年に設立されました。
Rapidusは2023年から、北海道千歳市に最先端半導体の開発および生産を行う新工場「IIM-1」を建設しており、日本政府は2024年4月に5900億円の補助金を承認したことを発表。Rapidusに対する日本政府の支援は総額9200億円に上っています。
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2024年12月18日、RapidusはIIM-1にASML製の量産対応EUV露光装置「NXE:3800E」を搬入し、設置作業を開始したことを発表しました。EUVリソグラフィは2nm半導体を実現する上で重要な技術のひとつであり、NXE:3800Eは2nmやさらに微細化した半導体を製造するために設計された最先端のEUV露光装置です。
NXE:3800Eは重量71トン、高さ3.4メートルという巨大な装置であり、4段階に分けて組み立てる必要があるとのこと。Rapidusは設置作業を12月中に完了する予定し、2025年4月にはIIM-1で2nmプロセスのパイロットラインの稼働を開始し、2027年からは商用半導体を生産し始める予定です。
今回のEUV露光装置導入は、Rapidusの2nmプロセスでの半導体製造において重要なマイルストーンとなります。テクノロジー系メディアのTom's Hardwareは、Rapidusによる2nm半導体の量産開始はIntelやTSMCから1.5~2年遅れるものの、日本の半導体業界にとっては飛躍的な進歩になるだろうと述べました。
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