ハードウェア

Snapdragon X Elite搭載ノートPCは返品率が高いとIntelが主張


Intelのミシェル・ジョンストン共同最高経営責任者(CEO)が、QualcommのSoC「Snapdragon X Elite」を搭載したノートPCは高い返品率を記録していると発言しました。Snapdragon X EliteはMicrosoftが提唱する「Copilot+ PC」の要件を満たすチップですが、昨今の主流チップが「x86アーキテクチャ」であるのに対して「Armアーキテクチャ」を採用していることから、既存のソフトウェアをそのまま利用できない事例があるなどの問題が起きています。

Snapdragon X Elite laptops have high return rates, claims Intel co-CEO - NotebookCheck.net News
https://www.notebookcheck.net/Snapdragon-X-Elite-laptops-have-high-return-rates-claims-Intel-co-CEO.932646.0.html


Qualcomm: Return Rates For Snapdragon X PCs Are ‘Within Industry Norm’
https://www.crn.com/news/components-peripherals/2024/qualcomm-return-rates-for-snapdragon-x-pcs-are-within-industry-norm

Snapdragon X Eliteの供給経路として最も大きいのが、Microsoftが発表した「Copilot+ PC」と呼ばれるカテゴリーのPCです。Copilot+ PCはAI処理に特化したPC群で、このカテゴリーに認定されるには「Microsoft認定のSoC搭載&40TOPS以上のNPU搭載」「16GB以上のDDR5メモリ搭載」「256GB以上のSSD搭載」の3つの要件を満たす必要があります。Microsoft認定SoCの一つが、QualcommのSnapdragon X Eliteです。

Microsoftが「Copilot+ PC」発表、Armプロセッサ「Snapdragon X Elite」搭載でAIをローカル実行できる - GIGAZINE


発表当時、Snapdragon X EliteはIntelやAMDのチップを大きく上回る性能を示すとアピールされていましたが、実際に供給され始めると、IntelやAMDが採用する「x86」とは異なる「Arm」アーキテクチャを採用しているということで、対応するソフトウェアが少ないという、性能以前の問題が見受けられるようになりました。

テクノロジーの年次カンファレンス「Barclays Global Technology Conference」に参加したIntelのジョンストン共同CEOは、Snapdragon X Eliteを搭載したノートPCについて「返品率が高く、小売業者にとっての最大の懸念事項である」と大胆にも発言したとのことです。

ただし、ジョンストン氏の発言を裏付けるようなデータはなく、実際の返品率はわかっていません。テクノロジー系メディアのNotebookcheckは「彼女の主張を検証するのは困難ですが、大企業のトップが根拠のない発言をするとは考えにくいので、批評には真実味があるのかもしれません」と指摘しました。


テクノロジー系メディアのDigital Trendsは、調査会社・Canalysが発表した「Qualcommは2024年第3四半期に72万台のPCを販売し、市場シェアは約0.8%となった」という調査結果を引用して「このように売上が比較的低い商品の返品率を小売業者が大きく気にする可能性は低いと思われる」と述べています

また、Qualcommの広報担当者は「当社のデバイスは消費者レビューで4つ星以上を獲得し続けており、当社の製品は業界全体で数多くの称賛を受けています。当社のデバイスの返品率は業界標準の範囲内です」との声明を発表し、ジョンストン氏の主張を否定しています。この広報担当者は主流アーキテクチャの話題にも触れ、「当社は、今後5年間で、ノートPCの30%から50%がx86以外のプラットフォームに移行すると予想しています」と付け加えたとのことです。


多くの一般的なソフトウェアにはArmベースのネイティブバージョンがありますが、すべてのソフトウェアが正式にArmをサポートしているわけではありません。このギャップに対処するためMicrosoftとQualcommは互換レイヤーの「Prism」を開発しましたが、これでもすべてのx86ベースのソフトウェアを扱えるわけではないそうです。

Notebookcheckは「Snapdragon X Eliteの時代はまだ始まったばかりであり、Armベースのコンピューターがもたらす多くの利点を知っているのは技術に詳しい人だけだと思われます。普通に仕事をこなしたいだけの大多数の人々は、Armに最適化されていないソフトウェアが数多くあることを知れば、おそらく他を探すでしょう。しかし、WindowsにおけるArm互換性は間違いなく以前より良い状態にあり、ソフトウェアがユーザーの参入を妨げない段階に達すれば、Snapdragon X Eliteプラットフォームの採用が増える可能性は十分にあります」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ArmがQualcommにライセンス解除を通告、60日間の猶予期間で解決されない場合は製品販売停止or損害賠償請求へ - GIGAZINE

Microsoftの「Copilot+ PC」は主張されているほどAI処理性能が高くないというベンチマーク結果が報告される - GIGAZINE

QualcommがSnapdragon X Elite搭載のWindows開発キットが基準を満たさなかったとしてキャンセル - GIGAZINE

ローカルでのAIモデル実行に適したHPの14インチCopilot+ PC「OmniBook X 14 AI PC」フォトレビュー - GIGAZINE

Snapdragon X Elite搭載でDell XPS初のCopilot+ PC「XPS 13 9345」外観レビュー - GIGAZINE

AI処理特化のNPUとSnapdragon X Elite搭載のMicrosot「第7世代Surface Laptop」フォトレビュー - GIGAZINE

Snapdragon X Elite搭載で「Copilot+ PC」対応のテンキー付きノートPC「ASUS Vivobook S 15 S5507QA」フォトレビュー - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.