TSMCがアリゾナ工場で台湾人を優遇しているとして提訴される
by 李 季霖
台湾の半導体製造企業・TSMCは、台湾だけでなく日本の熊本県やドイツなどに工場を建設しています。ところが、アメリカのアリゾナ工場において「台湾人従業員を優遇し、アメリカ人従業員を冷遇している」とする訴訟が提起されました。
2024 08 22 - Complaint - DRAFT_Howington reviewed - gov.uscourts.cand.435057.1.0.pdf
(PDFファイル)https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.cand.435057/gov.uscourts.cand.435057.1.0.pdf
TSMC sued for race and citizenship discrimination at its Arizona facilities (updated) | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/tech-industry/tsmc-sued-for-race-and-citizenship-discrimation-at-its-arizona-facilities
Taiwan economic minister says TSMC's core advanced tech like 2nm chips won't leave country | TechSpot
https://www.techspot.com/news/105552-taiwan-economic-minister-tsmc-core-tech-not-leave.html
原告のデボラ・ハウィントン氏は「TSMCはアリゾナ工場において、アジア人以外の従業員は台湾人を含むアジア人従業員よりも人事部による厳しい監視を受ける職場作りをしている」と主張しています。
具体的には、会議やビジネス資料がすべて北京語で記されており、北京語話者以外の従業員は翻訳サービスを使用せざるを得なかったことや、マネージャーが従業員に対し、言語学習アプリ「Duolingo」を用いて中国語の勉強を行うことを求めたことが指摘されています。
また、TSMCは「高額な」ビザを持つ台湾人従業員に対しより良い業績評価と職務割り当てを行っていることも海外メディアのForbesは報告しています。加えて、台湾にあるTSMCの人事チームが、すぐにアメリカで働くことができる台湾人候補者の履歴書をTSMCのアメリカ部門に送付し、アメリカ部門は現地での募集の有無にかかわらず、台湾人候補者をただちに採用していた実態をハウィントン氏らは主張しています。
New:
— sarah emerson (@SarahNEmerson) November 13, 2024
World's biggest chipmaker, TSMC, is being sued by U.S. employees for what they allege is a culture of "anti-American" discrimination that favors Taiwanese visa workers.
Among their claims are TSMC's use of of "Asian headhunters" and "Chenglish."https://t.co/1iPZwNaW0f
原告の弁護士であるダニエル・コッチェン氏は「CHIPS法に基づく補助金を受けたうえで、アメリカ国内での競争を選択したTSMCは、連邦差別法を順守し、すべての人種や出身国、市民を平等に扱うことが不可欠です。私たちは今回の主張と訴訟に自信を持っており、陪審員に今回の事件を提示することを待ち遠しく思っています」と述べました。
一方でTSMCは「私たちは、多様な労働力の価値を強く信じており、性別や宗教、人種、国籍、支持する政党に関係なく雇用し、昇進の機会を与えています。なぜなら、私たちは違いを尊重し、平等な雇用機会が競争力を強化すると信じているからです。また、従業員が自身の懸念を提起するためのさまざまなチャネルを提供し、建設的に懸念に対処するよう努めています」と反論しました。
なお、台湾の郭智輝経済大臣は2024年11月7日に、「台湾には自国の技術を保護するための規制があるため、現状TSMCが海外で2nmチップを生産することはできません。将来的に、TSMCが海外で2nmチップを生産することになっても、その中核技術は台湾に残るでしょう」と述べ、TSMCは当面2nmチップの生産能力を海外に移転する予定がないことを示しました。
また、台湾政府は半導体産業における世界的なリーダーシップを維持するために研究開発への投資を継続するほか、台湾に設計・材料センターを設立するために国外のパートナーを誘致する取り組みが進行中であることを郭氏は2024年11月7日に行われた経済委員会の場で伝えています。
・関連記事
TSMCがHuaweiのAIチップを製造していたことが判明、アメリカの輸出規制に抵触する可能性 - GIGAZINE
「TSMCの半導体がHuaweiのAIチップに使われていた」という報道の直後にTSMCが中国企業「SOPHGO」への出荷を停止、SOPHGOが仲介して半導体を作らせていた可能性が浮上 - GIGAZINE
Intelのパット・ゲルシンガーCEOが台湾に関する発言でTSMCを怒らせて値引きを失っていた事が判明 - GIGAZINE
半導体メーカーのTSMCとGlobalFoundriesがCHIPS法に基づく補助金助成について商務省と合意 - GIGAZINE
TSMCが中国の全顧客に対して7nmプロセス以下のAIチップの供給停止を通告 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in メモ, Posted by log1r_ut
You can read the machine translated English article TSMC sued for favoring Taiwanese workers….