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Uberで事故に遭ったカップルが「Uber Eats」の利用規約に同意していたせいで訴えを起こすことができなくなり嘆く


配車サービス「Uber」の利用中に事故に巻き込まれた夫婦が会社を訴えたところ、同じ運営会社の配食サービス「Uber Eats」の利用規約に同意していたため裁判を起こせなくなったことがわかりました。この件をきっかけに、複雑な利用規約を設けて大事な情報をわかりにくした上、別サービスの利用規約を持ち出す企業の姿勢に批判が集まっています。

US couple blocked from suing Uber after crash say daughter agreed to Uber Eats terms | New Jersey | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2024/oct/01/new-jersey-uber-eats-car-crash

An Uber driver ran a red light and crashed. A NJ couple can’t sue thanks to Uber Eats terms | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/world/americas/uber-crash-lawsuit-forced-arbitration-b2622363.html#comments-area

Uberを相手取って裁判を起こそうとしたのは、ニュージャージー州に住むジョン・マッギンティ氏とジョージア・マッギンティ氏夫妻です。マッギンティ氏らは、ある日Uberが手配した車に乗車していたところ、運転手が赤信号を無視して他の車と衝突したため、骨移植を必要とするほどの重傷を負いました。


夫妻は骨折などの身体的損傷に加え、精神的、経済的損害を被ったとして、事故から約1年後にUberを告訴しました。

ところがUberは、事故の数カ月前にジョージア・マッギンティ氏がUberの利用規約に同意しており、その利用規約に「何らかの問題があったときは裁判ではなく仲裁を利用すること」といった趣旨の内容が書かれていたとして、本件は仲裁で解決すべきであり、訴訟は棄却されなければならないと主張しました。


Uberの主張によると、Uberは2021年12月に仲裁条項を含めるよう利用規約を更新しており、2015年からUberとUber Eatsの両方を利用しているジョージア・マッギンティ氏は2022年1月にUberのアプリ上で規約に同意していたとのことです。Uberの記録によると、ジョージア・マッギンティ氏のアカウントを使用した誰かが規約を確認して同意しており、18歳以上であることを示すボックスにチェックを入れ、「確認」をクリックしたことがわかっているそうです。

一方のマッギンティ氏は心当たりがないと主張しましたが、調査によりマッギンティ氏の娘が利用規約に同意していた可能性があることが判明。話によると、当時12歳だった娘が親のUber Eatsアカウントで食事を注文した際、利用規約を確認せず流れで同意してしまったと考えられるとのことです。


仲裁を求めるUberの申し立ては2023年に下級裁判所によって棄却されていましたが、Uberはその判決を不服として控訴。数カ月にもわたる法廷闘争の末、上級裁判所は「利用規約に同意したのは娘であるとの主張をもって同意から逃れることはできない」とするUberの主張を支持して下級審の判決を覆し、「Uberの仲裁条項は有効で強制力がある」と結論づけました。

この判決に対し、マッギンティ氏の弁護士は「消費者保護と権利を企業が侵食している」と指摘し、ニュージャージー州最高裁判所に上告する姿勢を見せています。

人身傷害案件に詳しいリチャード・スタガード弁護士は、「Uberのようなサービスでは、企業は50ページにも及ぶ文書を小さなスマートフォンで読ませようとします。多くの人は規約を読まずに『同意する』を押してしまい、自分が何に同意しているのかもわからないままでしょう」と指摘。

カリフォルニア大学ロースクールで仲裁を専門とするデビッド・ホートン法学教授は、今回のケースについて「普通の人々が法廷で争うことがどんなに難しいかを物語っています」と話し、この種の細かい仲裁条項を用いる企業が増えていると紹介しました。


マッギンティ氏夫妻は「控訴裁判所の判決に驚き、心を痛めています。食べ物を注文したことで裁判を受ける憲法上の権利が放棄されるなんて、考えたこともありませんでした。傷害の原因となったサービスとは無関係のサービスの、何十ページにも及ぶ利用規約に埋もれた文言のために法廷で訴えられなくなったことについて、ぞっとする思いです」と話しています。

本件は、ディズニーリゾートのレストランでアレルギー反応を起こし亡くなった女性が「Disney+」の仲裁条項を含む利用規約に同意していたせいで、夫の訴えが取り下げられた件と比較して語られています。この件でも、同じ運営会社の全く別のサービスの利用規約が訴訟という重大な問題に影響する点が問題視されたため、ディズニーは仲裁の権利を放棄して法廷で争うことを決定しています。

ディズニーがDisney+の利用規約同意を盾にした不法死亡訴訟取り下げ要求を撤回 - GIGAZINE

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in Posted by log1p_kr

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