世界中で大規模障害を起こしたCrowdStrikeをからかったパロディサイト「ClownStrike」にDMCA通知が送られる
日本時間の2024年7月19日にCrowdStrikeの製品が原因で大規模障害が発生し、世界中で850万台ものWindowsデバイスが影響を受けて、航空業界などのシステムに大きな混乱が発生しました。そんなCrowdStrikeの大規模障害をからかって作られたパロディサイト「ClownStrike」に、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく著作権侵害の通知が送られてきたと運営者が報告しています。
Clown Services Company - Unregistered Agent, Incompliance, Welfare, Debt Market, Analog, and Imaginary-Risk Solutions
https://clownstrike.lol/crowdmad/
7月19日に発生した大規模障害は、CrowdStrikeのWindows向けセキュリティシステム「Falconセンサー」のアップデートに起因していたと報告されています。7月26日にはCrowdStrikeのジョージ・カーツCEOが、「影響を受けたシステムの97%が復旧した」とする声明を発表しましたが、一連の大規模障害によって航空会社や病院、政府機関などさまざまな分野に影響が及びました。
特にアメリカの航空業界では大規模障害に伴って、多数のフライトが遅延あるいは欠航となりました。中でも甚大な被害を受けたデルタ航空は、障害発生から5日間で5億ドル(約750億円)もの損害が発生したとして、CrowdStrikeに対して損害賠償を求めることを明らかにしています。
CrowdStrike問題で5000便以上が欠航になったデルタ航空が5億ドルの損害賠償請求へ - GIGAZINE
そんな中、インターネット上ではCrowdStrikeをからかうような発言や画像、動画が多数投稿されており、そのうちのひとつに「ClownStrike」というパロディサイトがあります。以下のウェブサイトにアクセスすると、ClownStrikeがどのようなサイトなのかがわかります。
Failing What Matters Most - Your Premier EDR (Endpoint Destruction and Razing) Partner Since 2024!
https://clownstrike.lol/
ClownStrikeにアクセスすると、CrowdStrikeの主力製品・Falconのロゴにピエロ(Clown)の帽子をかぶせたものと、「CROWDSTRIKE」の文字が表示されます。
しばらく待っていると、ロゴが変化し始めます。
最終的にピエロの画像と「CLOWNSTRIKE」という文字になりました。下の埋め込み音声をクリックすると、おちゃらけた雰囲気のBGMを流すことができます。
非常にたわいもないパロディサイトに見えるClownStrikeですが、Cloudflareに対してDMCAに基づく削除通知が送信されたことを、ClownStrikeの運営者は報告しました。
CloudflareからClownStrikeに送信された通知が以下。72時間以内にCrowdStrikeの著作権を侵害するコンテンツを削除しなければ、DMCAに基づいてClownStrikeへのアクセスを遮断すると記されています。また、CloudflareにDMCA侵害の通知を送信したのは「Corporation Service Company(CSC)」という企業だということも記載されています。
CSCは経営管理やコンプライアンスソリューションのプロバイダーであり、オンラインブランド保護サービスも提供しているとのことで、CrowdStrikeに代わってDMCA侵害の通知を送信した模様。この著作権侵害報告がCrowdStrikeの依頼を受けて行われたものなのか、それともCSCの判断で行われたものなのかは不明です。
ClownStrikeの運営者は、「残念ながらDMCAは、ネットのいじめっ子である企業が、同意しないコンテンツを削除するために使用されていることがよく知られています」と述べ、反論通知システムも機能していないと指摘。パロディはフェアユースの権利として認められており、DMCAを使用してパロディサイトを削除しようとする試みは恥ずべきものだと批判しました。
なお、ClownStrikeの運営者はCSCのロゴにもピエロっぽいかぶり物を乗せ、「Clown Services Company(CSC)」というパロディロゴを作成しています。
この報告はソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも大きな話題を呼んでおり、ClownStrikeはDMCA侵害の通知を受ける前よりも注目を浴びる結果となりました。あるユーザーは、「CrowdStrikeが風評被害から自社を守るために雇ったベンダーに問題があったため、結果として風評被害に苦しんでいる可能性があるというのは皮肉な話です」とコメントしました。
CrowdStrike attempts takedown of parody site | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=41133917
◆つづき
パロディサイト「ClownStrike」が本家CrowdStrikeからのDMCA削除要請を拒否 - GIGAZINE
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