動物を電磁波でマインドコントロールする技術が発明される
「電磁パルスで脳の特定領域を刺激してマインドコントロールする」という技術が韓国の基礎科学研究所(IBS)の研究チームによって開発されました。研究チームはすでにマウスで実験に成功しています。
New Technology to Control the Brain Using Magnetic Fields Developed
https://www.ibs.re.kr/cop/bbs/BBSMSTR_000000000738/selectBoardArticle.do?nttId=24921
Scientists 'Mind Controlled' Mice Remotely in Extraordinary World First : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/scientists-mind-controlled-mice-remotely-in-extraordinary-world-first
これまでにも数多くの「マインドコントロール」動物実験が実施されてきましたが、その多くは動物に電極を刺して外部システムと接続させたり、侵襲的な手術が必要だったり、動物の行動範囲が制限されたりといったものでした。
研究チームは外科手術を伴わないマインドコントロールの手法として、「神経疾患の治療などに使われる経頭蓋磁気刺激法(TMS)を使って脳の特定部位を活性化・不活性化させる」というアイデアを思いつき、マウスで実践しました。具体的には、マウスの摂食行動に関連する視床下部外側野に「活性化イオンチャネル」もしくは「不活性化イオンチャネル」を遺伝的に組み込み、イオンチャネルを電磁パルスで刺激することで摂食行動に変化を与えることを目指しました。
実験の結果、視床下部外側野を活性化させるイオンチャネルを組み込んだマウスは、電磁パルスを当てた際に食事量が半減。一方で、不活性化イオンチャネルを組み込んだマウスのグループでは、電磁パルスを照射すると食事量が倍増しました。
また、視床下部外側野は社会性に関連するとされており、実際に視床下部外側野を操作された複数のマウスに電磁パルスを当てると、これまで出会ったことがないマウスでも友好的な行動が促進されることが明らかとなりました。
さらに、親子関係を形作ることが明らかになっている「内側視索前野」にイオンチャネルを組み込む実験も実施。その結果、内側視索前野のイオンチャネルに電磁パルスを当てた雌のマウスは、子マウスの鳴き声に強く反応し、「鳴き声を上げる子マウスに素早く近づき、覆いかぶさってあやす」といった行動を示しました。
研究チームは遺伝学やナノ粒子、および磁場の組み合わせを使用して脳内の特定の部位を刺激する技術を「Magnetogenetic Interface for NeuroDynamics(Nano-MIND)」と名付けました。研究チームのチョン・ジヌ氏は「Nano-MINDは、電磁パルスを利用して特定の脳領域を自由に制御できる世界初の技術です」と述べています。
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