サイエンス

男性型脱毛症(AGA)の治療に生体由来の糖が役立つ可能性


イギリスのシェフィールド大学の研究チームの研究によって、男性型脱毛症(AGA)の治療に「2-デオキシ-D-リボース(2dDR)」という糖が役立つ可能性が示されました。

Frontiers | Stimulation of hair regrowth in an animal model of androgenic alopecia using 2-deoxy-D-ribose
https://www.frontiersin.org/journals/pharmacology/articles/10.3389/fphar.2024.1370833/full

Cure for male pattern baldness given boost by sugar discovery | News | The University of Sheffield
https://www.sheffield.ac.uk/news/cure-male-pattern-baldness-given-boost-sugar-discovery


記事作成時点でアメリカ食品医薬品局が承認しているAGA治療薬は「ミノキシジル」と「フィナステリド」の2種類です。しかし、ミノキシジルは心筋梗塞や食欲不振を引き起こす可能性があるほか、フィナステリドには性欲を減退させる副作用があることが報告されています。

研究チームは生体内に存在する糖である2dDRについて過去8年にわたって研究しており、特に「2dDRが傷の治癒を補助する仕組み」について研究していました。研究チームは実験の最中に「2dDRで治癒している最中の部位では、ほかの部位と比べて毛が生えやすい」ということを発見。そこで、「2dDRにAGAを治療する効果があるのか否か」を確かめることにしました。

マウスに「何もなし(NC)」「テストステロン(T-1)」「ハイドロゲル(T-2)」「2dDRを含むハイドロゲル(T-3)」「ミノキシジル(T-4)」「2dDRとミノキシジル(T-5)」を塗布して毛が生える過程を観察した結果が以下。2dDRを塗布したマウスはテストステロンやハイドロゲルを塗布したマウスよりも毛が生えるのがはやいことが確かめられました。


さらに、塗布から21日後の皮膚切片を観察して毛の長さや密度を比較した結果が以下。2dDRを塗布したマウスはテストステロンやハイドロゲルを塗布したマウスよりも毛が長く、密度も高いことが観察されました。


研究チームはこれらの結果をもとに「AGAを発症したマウスにおいて、2dDRが発毛促進に有効であることが示された」と結論付けています。研究チームは今後も研究を継続し、2dDRが発毛を促進する原因などを解明していく予定とのことです。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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