生き物

人類の廃棄物をたくさん食べるように遺伝子操作されたハエが登場しつつある


ハエの遺伝子を操作し、ハエが食べられる有機廃棄物の種類を増やす試みが行われています。これにより人類が排出する生ゴミなどの有機廃棄物を効率的に処理できるほか、さらに成長したハエを人類のために有効活用する方法も検討されているそうです。

Diverting organic waste from landfills via insect biomanufacturing using engineered black soldier flies (Hermetia illucens) | Communications Biology
https://www.nature.com/articles/s42003-024-06516-8

Australian scientists genetically engineer common fly species to eat more of humanity’s waste | Australia news | The Guardian
https://www.theguardian.com/australia-news/article/2024/jul/24/australian-scientists-genetically-engineer-common-fly-species-to-eat-more-of-humanitys-waste

生ゴミや農業廃棄物をハエの幼虫に食べさせるという試みは既に実施されていて、ハエの一種であるクロソルジャーバエを使った方法は商業的にも利用されています。オーストラリアの科学者チームは、ハエの遺伝子を操作し、食べられる有機物と、食べた後に生産される特定の酵素を増やす試みを行っています。

マッコーリー大学のマチェイ・マセルコ氏らのチームがキイロショウジョウバエで実験したところ、遺伝子操作したキイロショウジョウバエに「ラッカーゼ」を分泌させることに成功したそうです。ラッカーゼは繊維加工や製薬に活用できるほか、工業廃水処理用の染料を脱色することも可能で、光の透過を妨げている染料を脱色することで、廃水が流れる水路の微生物に光合成を促すことが可能になります。また、ラッカーゼによりハエがプラスチック代替製品のリグニンなどを生分解できる可能性があることも示されています。


さらに、マセルコ氏らは大腸菌由来の有機水銀リアーゼと水銀レダクターゼという微生物酵素を発現するようキイロショウジョウバエを操作し、メチル水銀を生分解させることにも成功しています。これをクロソルジャーバエにも応用できれば、水銀で汚染された有機性廃棄物を浄化することなどが可能になると考えられています。


このほか、特定の酵素を発現させることで作物生育のための肥料として使うことも可能になります。「遺伝子操作したハエが逃げ出して環境にリスクをもたらさないのか」という懸念については、マセルコ氏は「遺伝子操作により飛行能力を取り除くこともできる」と話しています。

マセルコ氏らは「多くの種類の有機廃棄物から高価値の生体分子を生産できるようにするため、クロソルジャーバエのさらなる研究が必要です。有機廃棄物は世界的に豊富な資源であり、今回の技術が発展すると、産業廃棄物を生み出す事業やインフラにも活用できる可能性があります」と述べました。

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in 生き物, Posted by log1p_kr

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